表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
140/548

足音

 足音が、聞こえる。


 ボロアパートなせいか、他の部屋の住人が帰ってくるとすぐ音で分かる。どんなに静かに歩いても、カンカンという音が外の階段から響いてくるからだ。特にうるさいというわけではないので、それについては文句はない。


 カンカン

 カンカン


 問題は、いつの頃からか、毎日夜中の十二時になると階段を上る音、そして玄関前の通路を歩く音がするようになったこと。

 そしてそのあとに、階段を下りる音や、ドアを開ける音はしないということだ。

(薄気味悪い……)

 どこかの怪談で聞いたようなシチュエーションには微かな不快感と不安感を覚える。


 カンカン

 カンカン


 今夜も音が近づいてくる。最近は慣れてきて時報代わりになってきた。


 カンカン

 カンカン


 廊下を歩く音がする。だんだんと、近づいてくる。

 音がなくなった。まるで静止したのかのように。


 トントン


「え?」

 いつもよく聞く、家の中を誰かが、いや自分自身が歩く音。けれど自分は今ベッドに寝転んでいる。 

「………………」

 意を決して近くにあった分厚い雑誌を防具代わりに手にし、玄関へ続くリビングのドアを開ける。

 明かりを点けても、誰もいない。


 トントン

 トントン


 それでも、『誰か』の足音は、静かに静かに響いてくる。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
script?guid=on
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ