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悪戯

 私には霊感がある。『隠し虫さん』という妖精さんは、そんな私のお友達の一人だ。


「こんにちは、隠し虫さん」

『やあやあヒトのお嬢さん! 見てくれよこの大物を!』

 隠し虫さんは、手のひらサイズの、蜘蛛に似た真っ黒な妖精さんだ。悪戯好きで、よく人や動物の持ち物を隠してあわあわしているところを見るのが趣味の、困った妖精さんだ。

 よく部屋の中でさっき使ったばかりのものや、いつも同じ場所に置いているはずのものがなくなったら、それは隠し虫さんの仕業だ。

 でも隠し虫さんは悪戯好きなだけで泥棒ではないから、後でちゃんと返してくれるのだ。

「よく運べたね。今度はこれを隠すんだ」

『ああ! 俺は群れで一番デカいし、力持ちだからな! こんな大きなものがなくなるとは思ってなかっただろうからよ、持ち主の慌てぶりったら、ハハッ、今までで一番だったな!

 さてどこに戻してやろうかな。やっぱり見つかったときにびっくりするようなところに戻したいんだよ』

「じゃあいいアイデアがあるよ」

『うん? ふむふむ……でもそこは外だろ。他のやつが拾ったりして持ち主のところに戻らねえのはオレの主義じゃねえ』

「大丈夫大丈夫。そこなら絶対元の持ち主のところに戻るから。それに、家の中でなくなったものが外で見つかったらすごくびっくりするよ?」

『! ほっほう! たしかに! そりゃ楽しみだ!』


 撲殺死体が交番の前に捨てられていた事件。犯人はすぐ捕まったものの、「家の押し入れに隠したはずなのになぜか死体がなくなっていた」と供述しているという。

 真相を知っているのは、もちろん私と隠し虫さんだけだった。

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