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命は大切に
私には霊感がある。だから、町の片隅でひっそりと暮らす妖精さんとも会話をすることができる。
「こんにちは、青い羽根の妖精さん」
『あらこんにちは、ヒトのお嬢さん』
「ずいぶんな騒ぎだね。何かあったの?」
『ええ、大変だったわ。最近、死刑制度を作ろうとか言う方が多いから。さっきも議論が白熱しすぎてね』
「どうして?」
『私たちが住むエリアは治安があまり良くないの。けどだからって死刑は良くないわ。命は大切にしなきゃいけないもの』
「そうなんだ」
『すぐに殺しちゃったら、皮も肉も髪も羽も限界まで取れないもの』
「…………」
『死んだものから剥ぐより生きている者から剥ぐほうが新鮮で、長持ちするの』
「痛くないの?」
『痛いわ。痛いから罪人でしかできないのよ』
「…………」
『命は大切にしないと思わないといけないと思わない? ねえ』
「………………………………」