表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
103/548

痴情の縺れ

 私と彼は、ずっとずっといっしょ。


 生まれたときからずっといっしょ。愛し合っている。体が朽ちるまでずっといっしょだと誓ったのだ。

 なのに、裏切られた。浮気されたのだ。■■■なんかに。絶対に許せない。

 殺してやる。殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す─────────。

 無惨に、ズタズタに、絶対に、殺してやる。


*****


「うわあああああん!!!!!」

 子供部屋から幼稚園児の娘の泣き声。どうしたのと駆けつけると、床に散らばっていたそれを指さした。

「え、どうしたのこれ!?」

「わかんない! おへやに入ったらこうなってた!!」

 お気に入りのクマとウサギのぬいぐるみが、原型を留めぬほどにバラバラになっている。子供がイタズラでやったとは思えない。かといって、こんなことするような大人にも心当たりがないし、うちにペットもいない。


 カラン


 金属音。振り返ると、刃の出たカッターが落ちていた。こんなもの、子供部屋に置いてないのに。

「これ、どこから……」

 しゃがんで拾い上げて、上を見る。位置的に、クローゼットの上から落ちてきたのだろうか。

 クローゼットの上にあるのは、ズタズタになったクマのぬいぐるみとセットで買った、メスという設定なのか、リボンがついたクマのぬいぐるみ。

 普段は正面を向いて置かれているそれは、今はなぜかこちらを向いて、そして少しうつむいて、こちらを見下ろしている。

 まるで、そのクマのぬいぐるみが、カッターを落としたかのような、そんな気分に私はなった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
script?guid=on
― 新着の感想 ―
[一言] キチクマ再来のお知らせ
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ