絵日記
夏休みの宿題は、絵日記は、僕の分だけ変だ。
何も書いてないのに、なぜか朝起きると一日先の未来の日付の分が誰かの手で書かれているのだ。
8月20日
今日は図しょかんに行った。ゆうまくんもいた。本をかりた。
20日になって図書館に行くと、たしかに珍しくサッカー少年のゆうまくんもいた。大好きなサッカー選手の伝記を借りに来たらしい。
8月21日
今日は母さんといっしょにプリンをつくった。おいしかった。バニラエッセンスを入れわすれた。
21日になると、母さんがプリンを作ろうと言い出した。たしかに母さんはバニラエッセンスを入れ忘れてたので、指摘したらありがとうと言われた。
8月22日
父さんがしゅっちょうから帰ってきた。おみやげは人形やきだった。白あんだった。
22日になると、日記の通り、父さんが東京出張から帰ってきた。珍しく、いつもの東京ばな奈じゃなくて、白あんの人形焼きを買ってきた。
8月23日
うらやまの森の川のそばで探検ごっこをした。おたからはっけん!
お父さんやお母さんにほめられた!
23日になって、何が見つかるかワクワクしながら友達と一緒に裏山に遊びに行った。
川のそばには、先日の大雨で川に流され行方不明になった子の遺体があった。親からも「よく見つけてあげたね」と褒められた。
それ以来、勝手に日記が書かれるようなことはない。