開戦宣言
非常に不定期な投稿です。とりあえず、出来たら出します。数日に一回ペースを目標にやっていきたいです。
・前回までのあらすじ
主人公井田秀介は浅井長政、その後輩中山優姫は磯野員昌として戦国に召喚された、以上!
タイムスリップと転生、その両方が中途半端に行われたら、どうなるのか。その答えの一つが、今の井田秀介の状態であろう。
彼は戦国大名、浅井長政としてこの時代の人に認知されつつ、自分の容姿、体格は同じまま。なぜ違うと分からないのか不思議だが、他にもその様な人がいるから認めざるを得ない。
秀介の後輩、中山優姫。彼女は長政の家臣、磯野員昌としてこの時代に召喚された。
そして、もう一人。
「ユーキー! 先輩いたの~?」
あどけない声と共に走り寄って来る少年。
「大声出すんじゃないわよー!!!」
優姫、その少年にラリアット。大きく吹っ飛ぶ少年。近くの木に激突。
「中山、手加減しろよ」
いつも以上の光景に、唖然とする秀介。
「いつも通りのつもりだったんですが、ここではパワー上がってたの忘れてました」
「パワーが上がる?」
「はい、何故かわかりませんけど、私ここじゃあ怪力なんです」
「都合がいいのか悪いのか......」
「どういうことですかぁ!?」
「お前の短気が裏目に出る一体どれだけの人が被害に会うか」
「むぅ......」
「あ、あのぅ。少しは僕の心配もしてくれませんか、井田先輩?」
よろよろと先ほどの少年が戻ってくる。秀介の後輩にして戦国研究会最後の会員、黒木三郎である。優姫と同い年にして幼馴染。二人とも同じ高二なのに三郎は中学生のような顔つきをしている。そのうえ、いつも優姫の陰に隠れ気味。将来が物凄く心配な後輩である。
「まあ、お前中山に打たれなれてるし、死にゃあせんと思ってな。お前のタフ具合は、俺が信頼を置く数少ない要素なんだからな!」
気楽に返答する秀介。
「直経はあと三年で死んじゃうんですよ!」
わめきながら三郎は、自分が長政の家臣、遠藤直経であるということ、優姫みたいに怪力ではなくそのままひ弱だということを話す。
「直経こそ怪力なんだけどなぁ」
溜息をつく秀介。頷く優姫。彼ら戦国研究会にとってはまずまずの常識である。
「で、どうすんですか、先輩? もう皆さん集まってますよ」
三郎が話を戻す。現在浅井軍は織田との戦に向けて待機中、秀介の合図を待っているのだ。
「戦うまでだよ」
そう言って陣へと歩き出す秀介。
「浅井長政としての務めを果たす。とりあえず、史実に沿って動くさ」
諦めた笑いを浮かべつつ、垂れ幕をめくる秀介。意外に早く適応した秀介に安堵しつつ、優姫と三郎も後に続いた。
「待たせたな、皆の衆」
秀介は陣の内外に響く声でそう話し始める。
「我は知っている、何を守るべきで、何を尊重すべきかを。守るべきは盟友朝倉、尊重すべきは民と家臣の願い。そのために、我はこれより義兄織田信長を討つ! 我らを軽く見たことを、冥土にて後悔させてやるのだ。いざ進め、浅井の勇者たちよ! ここにその武勇を後世に残すのだ!!!」
ひび割れるかのような歓声の後、浅井の兵は次々に駆け出していった。
「......話盛りすぎたかな?」
兵がほぼいなくなった後、後ろにいる優姫と三郎に尋ねる秀介。
「いいんじゃないですか。士気が低いよりは」
と優姫。
「聞いているこっちが恥ずかしいくらいですし」
これは三郎。
「多少芝居がかったほうが違和感ないと思ってさ」
秀介はそう答えて夜空を見る。やるべきことは、まだ分かっていない。
三郎は、作者のご都合調整キャラ、つまり全然方針の固まってないキャラです。個性が不安定になりそうで、今から不安です。
まあ、キャラ解説話も終わりましたし、次からようやくテンポアップすると思います。
戦闘シーン、五里霧中です......頑張ります。
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里見レイ