一騎打ち開始
最近(2020年9月)、また編集作業してます。より良い作品の為にまた頑張ります。
・前回までのあらすじ
ある程度押し返して撤退を決めた秀介は各武将に伝言を出す。そんな中、最前線にいる優姫は親友の戸谷華香と撃ち合う事に。しかし、二人とも相手と戦いたくないと考えており引きさがろうとするが......
秀介が織田・松平それぞれに適切な対応をしたことで、浅井軍はとりあえず壊滅だけは免れることができた。
しかし、彼らの苦戦ぶりは歴然。朝倉軍が敗走した今、兵力差は歴然。3万6千対1万5千では話にならない。
特に優姫のいる前線は大変なことになっていた......
「浅井は妹の敵、全員殺す!!!」
突如優姫に勝負を仕掛ける超長槍使い。その殺気は本物だ。
「死にな!!!」
走っている馬から大ジャンプ!一気に優姫に槍を突き出す。その鋭さは秀介とは比べ物にならない。
戦国に来てから、なぜか身についた馬鹿力のみで戦ってきた優姫に、この洗練された槍さばきをかわせるはずなどなく、
(やられる!)
と思い目をつぶったその時だった。
ガンッ!
鈍い金属音が優姫の目の前に響く。敵だが友人である戸谷華香が助けてくれたのかと思い、目を開ける優姫。しかし、実際は違った。
「僕の仲間を殺させはしない......」
三郎だった。確かに、彼は先ほど後ろから優姫に「手加減するな」と叫んでいたが、二十メートル以上離れていた。
超長槍使いと同じく馬に乗って駆け寄っていたとはいえ、ゼロコンマ数秒で間合いを詰め、あの鋭い槍を防ぐなど、人間卒業レベルだ。
「お前、只者じゃあねえな。名は?」
超長槍使いが眉を少し動かして尋ねる。
「黒木三郎。浅井家家臣、遠藤直経役。そちらは?」
冷酷な瞳を一切動かさずに答える三郎。
「石山竜牙。お前らに殺された石山果理奈の双子の兄だ。ここじゃあ前田利家だな」
「なるほど、それでその長槍。前田利家の槍は六・三メートル。この姉川で彼は『槍の又左』として天下にその武勇をとどろかせた」
「博識さんだねえ、さすが戦国研究会」
「! 知っていたのか?」
「うちには超能力者の軍師がいてね。あいつがあっちこっちテレポートしてるから情報筒抜けさ」
「......」
「サブロー......」
黙り込む三郎。それをばつが悪そうに見る優姫。超能力者の軍師とは、優姫が以前会った竹中半兵衛に他ならないからである。
「あ、あのっ、先輩! あたしはこの優姫と休戦協定結んでてもう戦えなくて......」
開戦の予感を察し、事前報告する優姫の親友の華香。何が何でも、優姫と戦うことを避けようといている。
「んじゃ、俺がそいつの相手する。生け捕りなら構わんだろ?」
「え、ええ。それなら......」
竜牙の提案に、渋々賛同の意を示す華香。しかし。
「どうせ打ち首にするくせに」
三郎、話に割り込みながら手で持っている斧に力を入れ、竜牙の槍を弾く。
「捕らえた敵将は、寝返らせるか処刑が定番。多数決で処刑させるつもりだったろ。お前、浅井皆殺しにするって叫んでいたしな」
その冷酷な瞳に、怒りの色が映し出される。
「フッ、どうやら先に坊主を片付けた方がよさそうだな」
後ろに跳んで間合いを取る竜牙。
「相手しよう......」
三郎も斧を構えなおす。いつものあたふた感どころか、無表情により表す恐怖感もない。
とらえどころのない狂気と言うべきなのだろう。
「くたばりやがれ......」
竜牙、槍を強く握りしめる。すると、どうだろう。槍の先が炎に包まれているではないか!
「あれは!」
「石山兄妹の特殊技、なのか? 二人とも武器から火を出せるんだよな」
驚く優姫。その横で軽く知っていることを話す華香。
「アァァァァァ......」
三郎のその目には、生き物というより化け物のような色が出ている。この機械のような怪物のような声がそれを顕著に表す。
「消えろ!!!」
「アァァァァァァァ!!!」
二人の渾身の一撃が重なり合ったその時、姉川を爆風が襲った。
前田利家、出したかったんですよねえ。織田の有名武将はほぼ全員出す予定ですが、出番に差が出そうです。それでは。
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里見レイ