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使命の槍と宿命の刀  作者: 里見レイ
姉川
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三者の戦場

あとがき長いので割愛します。

・前回までのあらすじ

 鈴木桜庭丸という天才の指揮官を家族として迎え入れ、朝倉を敗走させた松平家康役の和田吉樹。それを受け、秀介達浅井軍は苦戦を強いられることになるのだが......

 ところ戻って、ここは浅井本陣。秀介は、朝倉敗走を受け、陣の立て直しを図っていた。


「清綱と清貞は松平を迎撃、5千の兵で奴らの進軍を食い止めよ! 無理は必要ないからな、守りに専念してくれ。残りは全力で織田を迎え撃つ! 軽く押し返し次第撤退だ! 犠牲を最小限にすることだけ考えろよ、朝倉が敗走した今、我らの敗北は確定事項なんだからな!!!」


「はっ!!!」


 秀介の指示に従い各々行動に移る。


「長政様! 撤退合図はどういたしましょう?」


 弓を構えながら、先のことを考えて助言する藤堂高虎。本当に能力の高い側近である。


「追撃の合図だったのろしを使おう! 伝令で、合図の意味を変更したと各武将たちに伝えてくれ」


「かしこまりました!」


 そう言って、走り出す高虎。自身も伝令の一人になるつもりなのだろう。


「......頼んだぞ、高虎」


 秀介にとって、高虎はなくてはならない家臣となっていた。しかし、彼の本職はあくまで武将。いつまでも雑用ばかりさせる訳にはいかない。


「もっと人がほしい。そうでなくては、織田に勝てない......」


 側近衆も家老陣も武将隊も充実してこそ戦国で生き残ることができる。

 それを歴史書より学んでいる秀介だからこそ、今の苦戦から人材について悩んでしまうのだった。

 握りしめた拳は、表情以上に心境を表していた。



 さて、こっちは本陣より前方に位置する三郎の陣。

 迫りくる織田勢を目の前に、自分が何をすべきなのかが分かっていない。

 織田を迎撃すれば、秀介のいる本陣が手薄になってしまう。しかし、織田を放っておけば、彼らと戦っている優姫が危なくなる。

 どちらを選べと言われても、優柔不断な三郎には無理なのだ。


「直経様ー!」


 ここでやって来たのは高虎。彼は、三郎を遠藤直経と認識している。


「長政様より伝令です。松平への迎撃は清綱様と清貞様が行いますので、直経様はのろしが上がるまで織田を迎撃するように、とのことです! 追撃の合図だったのろしを今回は撤退の合図といたします!!」


 てきぱきと要件を伝える高虎。


「あ、うん、了解」


 三郎、いまだに顔に表情を出せていない。まだ恐怖が体を支配しているのだ。


「全軍、磯野隊の救援に向かう。僕に続け」


 斧を構え、無機質な声で命令を出す三郎。兵たちも、バラバラとついてくる。


「大丈夫なのか、あの方?」


 遠藤隊の進軍を見て、心配になる高虎。引き際を全く心得ていない指揮の取り方に見えるのだ。

 後の戦国で名をはせる高虎の目に狂いはない。もしそこに間違いが生じるとしたら、三郎すら制御できない要因が働いた場合のみであろう。



 そして、ここは戦闘の最前線。優姫が鉾を振り回している場所である。


「まさか、ここであんたと会えるなんて。神も悪戯好きだな」


「ほんと、邪神の信者になってもいい気分ね」


 優姫の鉾と相手の十字槍が、ぶつかり合う度に飛ぶ火花は数知れず。力の拮抗を示している。


「で、どうする? このままあたしを殺しにかかる? 果理奈先輩の時みたいに......」


「華香、知ってたの?」


 戸谷華香、これが彼女の名だ。優姫と同級生にして一番の親友。テニス部員で、織田家屈指の猛将である柴田勝家として召喚された。

 この時代では、優姫と同じく怪力となっており、織田の先鋒を任されている。


「先輩が秀吉だったことはみんな知ってる。浅井長政についてもね。ねえ、優姫、あたしたちの側に来ない? あんたとだけは殺し合いをしたくないのよ」


 豊臣秀吉として召喚され、秀介に討ち取られた石山果理奈は、華香の部活の先輩にあたる。華香はもう身近な人を殺されたくないし、殺したくないのだ。


「井田先輩を裏切るなんてできない」


 苦痛の表情で答える優姫。華香の気持がわかる分、辛さが前より増している。


「そうよね、あんたに寝返りという器用な真似できるわけないか......よし!この勝負はもう終わりにしよう。戦うべき相手なんて、他にいくらでもいるんだから」


「相変わらずサッパリしてるわね。変わってなくてよかったわ。もちろん、その提案受けるわ。また会いましょう」


 華香の提案に、今度は同意する優姫。考えていることは、立場違えど同じである。

 アイコンタクトで構えている武器を下ろし、相手に背を向けたその時だった。


「戸谷ー! 敵将を目の前で逃がしてんじゃねー!!!」


「手加減は駄目だよ!!! 背中を向ければ君が殺されちゃうんだから......」


 織田、浅井両陣営より、一騎ずつ武将が二人に迫ってくる。

 一人は超長い槍を持つ、ツンツン髪のタフマン。

 もう一人は、冷酷な瞳をかざす斧を持つ少年、三郎だった。

どんどんキャラ増えていきます。あと、前の話も一部手直ししました。キャラたちの武器に関する描写です。それぞれ、あまり被らないようにしています。

実際の戦国では、存在している武器ですが、使われたかはわかりません。その辺、なんか格ゲーぽいですがご了承ください。それでは。

お手数でなければ、ブックマークと評価の程宜しくお願します。

里見レイ

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