表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
使命の槍と宿命の刀  作者: 里見レイ
姉川
15/153

考えられない進展

パソコンがトラブってます。

ペース遅くなるかもしれません。

・前回までのあらすじ

姉川に陣を構えた浅井軍と朝倉軍。しかし、秀介と共に居る誠二にも。そして、前線にいる優姫と三郎にも思う節があるようで......

 浅井軍は、姉川を挟んで向かい側に構えている織田軍に向かい、陽動なしで突撃を開始。

 しかし、それを行っているのはほんの一部、優姫率いる磯野隊だけである。

 その他の部隊は、一歩も前に進んでいない。


「合図ののろしの手筈は整っているな?」


 秀介は、馬にまたがりながら傍にいる高虎に確認する。


「ええ、報告がやって来次第すぐに打ち上げ可能です」


 弓の手入れをしながら、答える高虎。その長身から放たれる矢は、並大抵のものでは急所から体をずらすことすらできないだろう。


「よし、後は奴次第だな。一気に片付けばいいのだが......」


 秀介の立てた作戦はこうなる。

 まず、先鋒の優姫が敵陣に深く食い込む。織田軍は、史実通り十三段に陣を構えており、その内六段目にまで優姫が隊を進めたら、右翼の清綱、左翼の綱親が突撃を開始。その後、織田軍の十段目まで崩れたら、秀介達本軍が進みけりをつける。っという作戦だ。

 二倍以上の相手に対し、軍を分けながら攻撃するのは愚策である。秀介も、そのことは知っている。

 しかし、これはあくまで織田との戦いを膠着させるため。

 誠二率いる朝倉軍3万が、松平軍を敗走させ、織田の側面を突かせるまでの時間を稼ぐためである。

 そのためには、出来るだけゆっくりと、しかし完全に織田軍の意識を正面の浅井軍に向けさせる必要があるのだ。

 向こうが油断するような戦法をあえてとりつつ、犠牲を最小限にするための策である。

 万が一織田が突撃してきた時に備え、優姫を除く部隊には守備用の鶴翼の陣をさせている。

 この作戦に、隙はなかった。本来は......


 開戦時刻は午前中、今は正午近辺。

 案の定、浅井対織田の戦いは、ちっとも先に進まなかった。

 優姫の部隊が全方向に注意を払いながら進んで、前方の織田軍も下手に攻撃に移らない。

 双方の大半は、事態を傍観しており、ほぼにらみ合い状態。


(これなら、伊藤の軍が間に合うはずだ!)


 秀介がそのように展望を明るく考えたその時だった。


「申し上げます! 朝倉軍敗走!」


「松平が我らの側面に回り込もうとしています!」


「織田軍が反撃を開始しました!」


「磯野隊、苦戦!」


「織田が姉川を渡り、本陣に突撃してきています!!」


 見張りの兵が次々とやって来て、衝撃的な知らせを持ち込んでくる。


「朝倉が敗走!? 3万対2千だぞ! なぜそうなる! ありえない!!!」


 絶望の声を挙げる秀介。しかし、これは始まりに過ぎなかった。




「さて、この圧倒的な兵力差、どうするべきかねぇ」


 これより数時間前のことである。

 ここは松平、後の徳川の陣。

 松平家康として召喚されたこちらの天然オーラ全開少年。名を和田吉樹という。

 戦場の中だというのに、「毎日枝豆食べないと落ち着かない」という理由で呑気に枝豆をつるむしゃと食べている。


「兄貴! ここは玉砕覚悟で全軍で突撃をしよう! 先陣は俺がやっから!!」


 隣で無謀論を叫ぶのは和田輝人、吉樹の弟。重臣、徳川四天王の一人である本多忠勝として召喚された。


「それは最後の策、お前も少しは考えろ」


 筋肉頭の弟に何度言ったか分からない台詞を投げかける吉樹。


「で、どうすんだよ?」


 考えもせず丸投げ宣言をする輝人。和田兄弟、一日に一度は発生する恒例トークイベントである。

 考えること約二秒。吉樹の結論が出た。


「あー、あの人、輝人、あれだよ。えーと徳川四天王最後の一人の......」


「えーと、サカイバラヤスマセ、だっけ?」


「そうそう! 榊原康政だ! 彼呼んで!」


「えー、あの根暗っぽい人呼ぶの?」


「あーうん! 制限時間三十秒ね。はい、スタート!」


 その言葉を聞いた瞬間、ダッシュで陣内を走り始める輝人。

 そして、丁度三十秒後......


「連れてきたよー! 兄貴!」


 輝人は、とある少年をヘッドロックしながら戻ってくる。


「イタタタタ......呼ぶときはちゃんと呼んでください、家康様」


 頭を押さえつつ吉樹をにらみながら参上し、挨拶をするこの少年。名前は鈴木桜庭丸という。徳川四天王、榊原康政として召喚された......ボッチである。


「朝倉の側面を攻撃してほしいんだけど、出来る?」


 吉樹は、彼に朝倉を奇襲させようとしている。


「手勢は?」


「百!」


「兄貴ー! いくら何でも3万に百で攻撃って!!!」


 筋肉頭輝人が珍しく考えた発言をする。それほど、吉樹の提案が無謀なのだ。


「君なら、あの坊ちゃま軍団に大きなショック与えられると思うよ。さっさ片付けたいから手勢百もつけるけど、最悪十人でいけるよね?」


 どうやら、吉樹は本気のようだ。


「......御意」


「えー!!」


 少し考えるも、あっさり承諾する桜庭丸に対し、驚きの叫び声をあげる輝人。

 康政役の少年は、吉樹の意図を理解したようだ。

 そして、わずかな手勢で陣を出る。


 数時間後、桜庭丸の奇襲は、最初は大した効果がなかったものの、徐々に波紋を大きくし、ついには朝倉軍敗走へと導くのだった。

榊原康政、ご存じな方は全戦国マニア以外にどの位いるのでしょうね?

徳川軍は、アットホームになると思います。

次は朝倉勢のカットからスタートします。お楽しみに。

お手数でなければ、ブックマークと評価の程宜しくお願します。

里見レイ

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ