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使命の槍と宿命の刀  作者: 里見レイ
終局 急
149/153

実験の終わらせ方

「か、叶」


 全てを見てもなお、秀介は己の目の前で起きている事実を理解できずにいた。


「はい、秀介様」


 いつになく見返り美人な叶、秀介に対しては怯えも悲しみも表していない。


「その能力、この空間に来てから習得したものなのか?」


「ええ。恐らくここ自体が特殊能力(観察者の権限)で構成されており、私たちに与えられた特殊能力も完全な管理下に置かれなくなった為かと」


 彼女は淡々と述べてはいるが、本来あり得ないことに更にあり得ないことが起きていることを理解している顔ではない。


「出鱈目な、世界なんだな」


「......」


 そして、秀介以上に絶句しているのは歩と優姫。特に、優姫はずっと無言で歩にしがみついているだけである。


「父上。これから一体どうなるのでしょうか?」


 秀介の傍を離れようとしない茶々子。全てが終わりかけたこの空間で、彼女の立場はもはや何処にでもにでもいる一人の少女以外の何者でもなくなってきている。


「おい、叶」


「はい、秀介様?」


「我らはいつこの実験から元の時代に戻れるのだ? 最高権力者を倒しても、この空間は残っている訳だからな。死ぬまでここにいるのは御免だのだが」


 叶なら全てを知っている。既に秀介は妻に対しての認識はこれくらいに減ってしまったのかもしれない。表情には憎しみも悲しみも存在していなかったから。


「そうですね。この空間を作成した人物が空間自体を解除するか。本来のやり方で実験を終了させるかの二択になります」


 夫婦の会話に表情が見られない。現実でも離婚寸前の状況ならよくある光景なのかもしれない。


「......本来のやり方以外で能動的に解決する手段は?」


「ざ、残念ながら見つかりません。私の権限はあくまで実験場でのもの。現実世界への影響を持っていないのです」


 二人の会話を眺めながら、歩は冷や汗をかき始めた。秀介・叶それぞれのことを考えて、事態が最悪の方向へと進もうとしている気配しかしないのだ。


「では、本来のやり方を適応するか。自動プログラムに仕込まれているならむしろ邪魔されずに実験場から元の時代に帰れるかもしれないからな」


 直後、辺りのオーラに変化が起こった。そう、秀介の歪んだ笑顔が、冷え切った槍が、全てを受け入れきれない右手が標的を定めた。

 そう、彼は覚悟を決めたのだ。今まで散々振り回され、狂わされて、揺さぶられ続けた女へケジメをつけるという事に......

うーーーーーー。進まない。色々悩みながら最終話に導きたいです。

里見レイ

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