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使命の槍と宿命の刀  作者: 里見レイ
終局 急
134/153

それぞれの想いと現れた豪将

・前回までのあらすじ

三郎と華香を相打ちにさせる形でコウモリとの戦いを終えた秀介達。秘められたカリスマを駆使した茂たちを滅ぼした太一。

しかし、勝者の中にも悲しみに暮れる者がいた。

「どうして! どうして華香もサブローも救ってくれなかったんですか!? この戦国が死んでも実際に死んだ扱いにはならない世界だからって酷過ぎます!」


 争いの収まった虚無の空間。優姫は泣き叫び、自分の先輩にこぶしを振り上げる。


「では、逆に聞くが。二人を同時に殺す以外に被害を最小限に抑える方法はあったか?」


 秀介は槍をコンと地面に叩き、瞬間で氷の壁を作り上げる。話は聞くが、後輩の暴力を受ける気はないという事なのだろう。


「既に戸谷はこの世界では死んでおり、改めて殺さない限り呪縛からは解放されない。そして、黒木は戸谷を救ったらその後に戦意は持つわけがない。で、お前はそんなお荷物であろうと必死にかばおうとする。これ以上こちらに支障が出るような行動は、して欲しくないんでね」


 秀介と優姫の関係は、秀介と叶以上に険悪になっている。いや、秀介と叶については険悪というよりは互いに理解していないだけかもしれない。


「中山さん......」


「ごめん、優姫」


 歩、叶、共に秀介の行動を否定できないでいた。歩の場合は秀介が全体を考えて取った行動だという事を認識しているため。叶は優姫よりも秀介を優先した結果だ。


「先輩。もう私は、戦えません。けど、死にたくないのでずっとここにいます」


 そして、ついに優姫の精神は限界を迎えた。地面に丸まって静かに泣き出す。


「そうか。なら、ここで休んでいればいい。黒木は自暴自棄になって我々に危害を加える恐れがあったが、中山はないだろうしな。それに、戦闘が終わってまで殺戮をすることは我も気分が悪いわけだしな」


 秀介は優姫に背中を向けこう答えた。そして、心配そうに様子を見ていた茶々子の頭をゆっくりと優しくなでる。


「父上、大丈夫ですか? 辛かったら、無理しないで欲しいでございます」


「茶々子。我はお前がいる限り精一杯無理をするつもりだ。絶対に、もう娘も息子も失いたくないんだからな......」


 秀介は茶々子にだけ見えるように笑った。できる限りの、取り繕った笑顔で。


「ったく。お前らってこんなにも感情のある連中だったっけか? 厳格な空気はあっても、しんみりとした雰囲気はにあってないのだがねえ」


 とその時、全てを壊すかのような張り上げた声がする。そして、どこからともなく姿を現した。


「!」


「......久しぶりだな。ま、この戦国で直接会うのは初めてかもしれないけどよ」

 

 驚きの表情を表す歩と、殺気を再び発し始める秀介。


「人の気も知らないでこの態度か。まあ、俺もこの戦国については教えてもらった身だから何も言えんがな」


 皮肉めいた笑いをするのは、前田利家役の石山竜牙。東の戦線で速水陸に殺されたと言われた槍の使い手である。

久々の竜牙登場です。彼もまた、一つの形で未来の実験者に巻き添えを食らう事になりますがそれはまた次回です。

お手数でなければ、ブックマークと評価の程宜しくお願します。

里見レイ

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