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使命の槍と宿命の刀  作者: 里見レイ
終局 急
131/153

実験者の最終手段

 そこからわずか数分後の話だろう。コウモリの動きに大きな変化があった。これまでは、秀介を狙いつつも彼を動揺させるために茶々子へも軽く攻撃をしようとしていた。その後も彼は茶々子への攻撃するそぶりを止めなかったが、毎回動きがぎこちなくなっていったのだ。


「ちょこまかと非戦闘員を狙って卑怯だと思わないのか?」


 秀介はそのぎこちなさを利用して心理戦にも持ち込む。良心は誰にもあり、そこが人間の弱さとなる。彼はそれを痛いほど知っている。


「......妬ましいものだな。たかが実験場の一人の人間を殺すことにこの俺が躊躇しているなんてな」


 そのような愚痴を吐きつつも、コウモリの秀介に対する攻撃は止まない。その重さのある大剣を二つも自在に操ること自体至難の業である。しかし、先ほどのぎこちなさ以外は何の変化がない。また、完全に秀介対コウモリの戦闘の動きになっているので歩は応戦できずにいる。


「特殊能力を使う暇がないのも意外と痛いな。我の能力で一時的な回復もしたかったのだが......」


「井田、交代する時はすぐに言って欲しい。準備はいつでもできているから。勿論、中山さんもだからね」


 歩は秀介への心配をしつつ優姫へも配慮する。見ている側というのは、戦っている側以上に不安が増大するものである。


「雷光寺さん、私はあと五分は持ちます! その間に、そちらの男を片付けておいてください」


 優姫はそう受け答えながらも『果てしなき大洪水ネバーエンディング・ノア』を繰り出し続けている。少しずつ華香へ傷を付けている一方、優姫の額には尋常な量ではない汗が出ている。


「......作戦変更だな。ま、俺だけ損な役回りな気がするが仕方ないか。剣を振るう事にも飽きてきた所だしよ」


 そして、コウモリは一気に秀介達から離れた位置へと移動する。


「......あいつ、いくつ奥の手があるんだ? 安っぽいバトル漫画ではないのだから勝負は常に全力で来てもらいたかったんだけどな」


 コウモリの小物臭さに秀介は大分うんざりした様子。何やかんや、彼らは未来のチート人間と互角以上の勝負をしているのだ。

 そんな秀介の思いを知ってか知らぬか、コウモリはすぐさま二本の大剣を宙にあげる。


「ふふふ、お前らにはこれから真の絶望を味わってもらうからな」


 コウモリはそう言って大剣を一つの巨大な剣へと合成。そして、自然落下させて


                 己の頭へと突き刺した。


「!」


「え?!」


「な......」


 一同、目の前の光景に目を疑う。しかし、驚きは続いた。


「我が手中にあり暗黒の蛮族よ。我の力を受け入れその限界を打ち破り、目の前のすべてを無に帰すのだ。天よりそれを見届けよう『狂気に満ちた吸血鬼バーサク・ヴァンパイア』!!!」


 コウモリの残骸は黒い風となり舞い上がる。そして、優姫の攻撃を受け疲弊しかけている華香の中へと吸収されていった。


「ウ、グアァ! コロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロス。スベテヲォォォ!!!」


 強制的に発動された最期の実験機材の能力。それは近くにいた優姫を数メートル吹き飛ばした。


「華香!」


 優姫の体もすでに疲れ果てている。そんな中でも彼女は精一杯友に呼び掛けた。


「......優姫、その鉾を貸して」


 その時、満を持してこの少年が動き出す。


「アァァァァァ!!! 戸谷華香アァァァ!!!」


 そう、ここにも狂戦士はいた。先ほどまで完全に足手まといになっていた元浅井家家老、黒木三郎の愛する者の為の応戦である。



そろそろ次の場面に行きたいです......

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