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使命の槍と宿命の刀  作者: 里見レイ
姉川
13/153

破断した、決意の交渉

成川叶、再び登場。

・前回までのあらすじ

織田との戦いに備えて準備をする秀介たち浅井軍。すると側近の藤堂高虎から「奥方様がお呼び」との伝言が......


 戦国の夫婦というものは一夫多妻制なことや政略結婚なこともあり、現代以上に仲が良くない。

 それでいて、妻の実家と敵対すると即離縁は普通。

 しかしながら、浅井長政とお市の方は政略結婚であり、実家と敵対した関係になってしまった訳にも関わらず、それでも仲の良い夫婦だったという。

 その夫婦愛の物語は、数々のメディアに登場している。


 さて、その浅井長政として召喚された秀介は、市として召喚されたとある少女(秀介は、まだ彼女の本名を知らない)に会いに行く訳だが、正直気が乗らない。

 彼女は、織田への降伏を主張し、秀介がそれを拒否した時、「私は私のやり方でいきます」と言ったのだ。

 それ以来、二人は部屋も別々にし、ろくに口をきいていない。

 秀介は、彼女のことを敵になるかもしれないと思っている。自分の保身のために秀介を「戦争を仕掛ける悪魔」と扱って追放しに来るかもしれないとまで考えている。

 つまり、史実の浅井夫婦とは正反対の仲の悪さということだ。


「市、長政だ」


「どうぞ」


 最低限の会話で挨拶を終える二人。秀介は、そのまま市の個室に入る。


「何用だ?」


 腰につけている刀を下ろさず、さっさと要件を尋ねる秀介。


「織田と戦うのですか?」


 無表情のまま尋ね返す市。


「ああ。次の戦に一区切りついたら、お前を織田に送り返す」


 売り言葉に買い言葉。しつこく反戦オーラを出す市に、離縁宣言をする秀介。


「この戦、間違いなく浅井の負けですよ」


 あくまで無表情を貫く市。


「史実通りだと思わないで欲しいね。それとも、挑発を使って我の作戦を聞いて、それを織田に流すつもりか?」


 秀介も、強固な態度を崩さない。


「あなたがそう思うのならどうぞ。ただ、私も私なりに浅井のために動いているので」


「自分一人の為じゃなくて?」


 挑発し返す秀介。


「ち、違います!!」


 ここにきて、声を荒げる市。何故動揺したか、秀介に見当はつかない。


「根拠のない話をされても時間の無駄だ。我は仕事に戻る」


 話にならんと部屋の戸に手をかける秀介。


「た、竹中半兵衛にお気を付けください!!!」


 部屋から足を外に出した秀介に、市は大声で呼びかける。


「竹中半兵衛は、召喚された人、そして、常人ではありません! 磯野員昌もそれを知っています! せめて彼女の意見は聞いてください!!!」


 必死の表情で訴える市。美しき顔に激しい感情を窺える。


「中山も開戦賛成派だ! ほら話言ってんじゃねえ!!! お前、自分が必死に頼めば何でも聞いてくれるとでも思ってんじゃねえのか?」


 珍しく怒鳴り散らす秀介。色仕掛けなどなんのそのだとばかりに、足を踏み鳴らしながら去っていく。

 秀介が見えなくなってから、膝より崩れ落ちる市。


「あの人は、もう自分の道を歩き始めている。私の願いは、届かない......」


 お市の方、本名成川叶の望み。それは、戦国研究会の秀介には、戦国を生きる覚悟のある秀介には決して届かない。

 もし彼にその願いが届いたとき、秀介は自ら命を絶つことになるだろうから。

叶の感覚、分かる人いるかもしれませんね。

正直、戦国マニアからすれば嫌なだけですけど。

まあ、これが作品テーマの一つなので、乞うご期待ください。

お手数でなければ、ブックマークと評価の程宜しくお願します。

里見レイ

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