表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
使命の槍と宿命の刀  作者: 里見レイ
終局 破
124/153

女たちの想い

 男たちが去った部屋の中で、茶々子は優姫に静かに体を預けている。疲れているのではなく、その角度の方が叶の顔を見やすいからだ。


「で、優姫に色々聞いておきたいけど。歩さんとどうして一緒に出てきたの? 黒木君から聞いていたから貴方が織田にいたことは知っていたけど、まさか織田家の副将と行動しているなんてさ」


「か、叶!? 雷光寺さんのことあ、歩さんって呼んでるの?」


 逆質問はガールズトークの定番なのか何なのか。優姫は大慌てでそのカードを切った。


「お兄ちゃんの親友だから。一回しかあったことはないけど家では何回も話題に出たし、互いに仲は良い方だと思うわ」


 叶、秀介がいた時と打って変わって気楽な顔をしている。


「そ、そう。で、私は雷光寺さんの話を聞いて織田家に仕えているだけよ。勿論、浅井家に帰参出来たらそうするっていう許可も貰っているし」


「確かに、貴方が捕虜のまま終わるような気はしないわね。どうせ、部隊も率いるくらいまでは信用されているんじゃないの?」


「ええ、速水さんの部隊を貰っている。ったく、いつ出奔してもいい女をここまで信用するってさ。織田家の人間はどこまで戦国の掟を知らないのかしらね......」


 優姫は軽い溜息を吐いた。秀介と共に厳しい戦国観を持っているのだ。甘く感じるのだろう。


「けど、そんな所だったから貴方も歩さんと楽しく過ごしているようね。あの感じから察するに、結構いい感じなんじゃないの?」


「ちょ! 私たちは別にそういう関係ではなくてさ......」


「じゃあ、茶々子にもわかりやすく伝えてもらえるかしら? 例えば、貴方は織田家でどのように過ごしていたのかしら? 朝起きて一番最初にやる事とかさ?」


「......雷光寺さんを起こして、一緒に朝食を取りに行く」


「夜最後にやることは?」


「雷光寺さんにおやすみなさいを言って背中合わせで寝る」


「それって、完全にやってること夫婦じゃないの? 久々に会って何か違うなあと考えていたけど、その理由は貴方から人妻オーラ凄い出ているからね」


「!」


 叶は逆に、近所のおばさんみたいな雰囲気になって優姫をあきれ顔でおちょくる。優姫の顔は耳まで真っ赤だ。


「......いいわね、貴方は。大好きな人に愛してもらってさ」


 そして、叶はそのまま意気消沈する。


「あんたと先輩の関係は、私がいた時とほぼ変わってないように見えるけど。まあ、私がいなくなってから戦はそれなりに起こっているからね。その間に先輩と方針巡って何度も衝突したって感じかしら? ってか、いつの間にかあんた先輩の事好きになっていたの? 責任感とか正義感はある意味人一倍だからね、そういうところばっかり見せられたら惚れるっていうのも多少は分かるけどさ」


 叶のつぶやきにより一瞬で冷静さを取り戻した優姫。友人の心理を色々と掘り出す。


「そうだったらいいのにね」


「? 叶?」


「私は、秀介様に生きててほしいと思ってしまった。何が何でも私の傍にいて欲しいと願ってしまった。けど、その為に私がしたことは全て秀介様に否定されたわ。ただ、他を犠牲にあの人を守っただけなのに......」


 寂しげな表情の叶に、優姫の心は詰まった。来るべき戦いはもう秒読みを始めているというのに、この陣営には一体感がない。これを危機以外の何でもないことを優姫は知っている。

 さあ、始めようか。最後に地獄を......

さて、そろそろ敵キャラも再登場します。あと少しでバトルシーンですかね。多分......

里見レイ

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ