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使命の槍と宿命の刀  作者: 里見レイ
開戦
10/153

小谷の女子会

ようやく執筆時間の取り方が分かってまいりました。

とりあえず、チマチマ進めていこうと思います。

・前回までのあらすじ

秀介は越前へと信長包囲網の会議に参加する。しかし、議長はポンコツな四谷雪。秀介の叱咤により離席してしまう。残ったメンバーで方針決定を行った。

一方そのころ、秀介の居城小谷では。

 戦国の女性は、決して弱いだけの存在ではなかった。井伊直虎のように男の名で家督をついだ者、おつやの方(信長の叔母)のように後見職で城を持った者。その他、まつ、甲斐姫のように様々な場面、様々な立場で歴史に名を刻んでいる。


 ただ、これは武将に関わった人物に的を絞っても、多くはない。武家の姫の多くは、政略結婚など道具として利用され、中にはかなりの悲劇に会っている者もいる。


 その一人は、お市の方であろう。

 初婚の夫を兄に殺され、再婚の夫と共に散った悲劇の美女。


 そのお市の方として戦国時代に召喚された少女、成川叶。織田と浅井の和睦に反対する夫役、井田秀介の目を盗み、ここ小谷から岐阜の織田家に帰ることを模索中。

 ただ、ほぼ不可能であろう。


「先輩と仲良くする気はないの、叶?」


 隣で鉾の手入れをしながら声をかけてくるのは、中山優姫。浅井家臣、磯野員昌として召喚された。そして、叶の友人の一人だ。

 一緒に話をしながら、叶の監視をしている。秀介の部活の後輩にあたり、彼への忠誠はとても高い。そして、織田との開戦に関しては、秀介以上に積極的だ。

 兄の縁もあり、友人の多い叶。その中でも、優姫には一目置いていた。

 学年上位の学力もあるが、注目すべきは、この環境適応力。

 自らも戦場に立って槍を振るうということに、拒否反応を示さず、戦国の倣いに従って、敵を殺していく。

 叶には、絶対に出来ない。「戦争」と聞いただけで、「反対!」と叫びたくなる。

 姫なのは戦いに参加しなくて幸いだが、発言力が人による。今の浅井家の当主は、叶の息子でなく夫。それに仲良くないから、言うことを聞いてくれないだろう。


「あの人怖いもん。戦争始める気満々だし」


 優姫の質問に答える叶。


「あんたの願いを聞いてたら、浅井は民に殺されるわよ」


 あくまで淡々としている優姫。


「浅井の人って、そんなに織田を憎んでんの?」


「ま、色々こき使われること多かったらしいしね。私たちの時代にも、そう残ってるし」


「それだけ?」


「ま、詳しくは知らないけどね。浅井家は北近江連合の盟主ポジション、つまり横の繋がりなのよ。織田のピラミッド型には合わない訳。まあ、こっちが本当にそうかはこの時代の人に聞かないとよく分かんないけどね。とりあえず、周りの雰囲気からそうだと思うけど」


「実際、文献と違ったことあったの?」


「無いわ。むしろ、文献のままの世界って感じかな」


 半分呆れた口調で答える優姫。あまりにもイメージと同じ世界で、拍子抜けしているのだ。


「ただね、同じすぎるのよ。」


「何が?」


 いきなり口調を落とす優姫に少々驚きつつも、続きを促す叶。


「言葉も現代の標準語だし、他の人の体格も結構今の日本人と同じだし。これじゃ、完全に大河ドラマね」


「それは......戦国をよく知らない私にも違和感だわ」


 戦国研究会次期会長の優姫の説明に、同意を示す叶。


「そこがどうも謎なのよ。あと、私馬鹿力になってるし。なーんか釈然としないのよ。踊らされてるというか、操られてるというか」


「そこ、私たちが史実の人物扱いされてるのに関連あんのかもね」


「ま、取っ掛かりはそこね。で、それを解決するのに先輩と協力しないの? 先輩も、先輩なりにやってんのよ。まずは自陣営のを盛り立てて、この世界の実状をしっかり調べる時間を取ろうとしてるんだし」


 話を振り出しに戻す優姫。いや、一応追加情報を与え、再思考させようとしていると言うべきか。


「知ーらない。私、あの人の冷酷な部分しか見てないから」


 吞気に丸投げ宣言する叶。友人は一応いつもの通りだと感じ、少し態度を柔らかくする。身近に親しい者がいると、周りを恐れていても何となく落ち着くものだ。

 そうして、学校と同じ雰囲気であーだこーだ相談する二人。

 ただ、穏やかだったのは、ここまでだった。



「あんたは、何か知らないの? 叶は私より早く召喚されたんでしょ?」


「だから、何も知らないんだってば」


 まるで昼休み中かのように会話する叶と優姫。

 と、そこに。


「少しで良ければ、俺が教えてやってもいいぞ。お市様」


 いつからだろう、庭の真ん中に一人の少年が立っている。

 年齢は、叶たちとほぼ同じだろう。

 深い彫に大きな目、浅黒い肌に面長な顔。

 現代の運動部チャラ男部門にでも属すだろうその雰囲気とは裏腹に、背中から何か力強い信念を感じる。


「あんた、誰?」


 その殺気がかったオーラを警戒し、鉾を片手に問う優姫。


「フッ、俺は竹中半兵衛。他よりこの世界を知っている男、そして浅井に彼女を殺された男さ」


 奴から出てくるオーラが強くなる。

 これは、ただでは済まないようだ。

成川叶。彼女が本作のヒロインとなります。この前謎キャラと言いましたが、本名が秘密とは言っていませんよ。ただ、伏線だらけのヒロインです。

織田家の武将として召喚された人物とも史実のお市の方同様深ーい関わりを持っていますので、ご注目下さい。

メインキャラ一人一人にクローズアップして紹介していくと、どうも話が長く、投稿も途切れ途切れになりがちになっちゃいます。

次回は、半兵衛の紹介会です。まあ、本物の半兵衛ではなく半兵衛として召喚された人の話ですので、イメージと違うので、ご了承ください。それでは、また。

お手数でなければ、ブックマークと評価の程宜しくお願いします。

里見レイ

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