召喚されし、青少年
戦国は、昔から大好きで、「将軍」というあだ名をつけられることもありました。
史実とか逸話とか新説とか、聞きかじったことも多い話も織り交ぜながら、あくまで真面目な作品にしていきたいです。
初の作品で、至らぬ点が多くなると思いますが、出来るだけマメに更新出来るよう、身を粉にしていきたいと思います。
生暖かい風が頬をなぞり、微かなざわめきが耳をくすぐる。まどろみの中、五感が少しずつ解放されていき、定められた名を呼ばれ、遂に彼は目を覚ます......
「長政!」
その野太い声に反応し、若い男は閉じていた瞳を開け、意識を取り戻す。
「こ、ここは......?」
男は辺りを見渡す。白い垂れ幕、黒い軽率な鎧武者たち、そして風にたなびく無数の旗。男はそこに描かれている家紋に見覚えがあった。
「三つ盛亀甲に花菱、浅井?」
「何を当たり前のことを言って居る? まさか一族の旗を忘れたのではあるまいな、息子よ」
野太い声の持ち主の中年男性が、座っているその若い男を怪訝そうに見つめながら声をかける。
「ち、父上?」
「変な夢でも見たのか?お前がこの世に生を受けて二十数年、我がお前の父でないことなかったわ」
「......」
「まもなく出陣じゃ。義景殿のため、士気を上げる話を頼むぞ」
そう言って、中年男性は垂れ幕の外へと出て行った。
残された男、井田秀介は、ただただ茫然としていた。これは、誰かのいたずらなのだろうか。
確かめるべく、まずは自分の身なりを確認。
明らかに戦闘用の武者鎧を身に着けている。重さもきちんとあるし、質感は金属そのものだ。
次に周りの物を調べる。
旗は布の手触りがするし、地面は乾いた土の感触。
これにより、少なくとも自分の頭は本物だと認識していることを理解する。
「えーと、どういうこと?」
考えられる可能性は二つ。
一つ目は仮想現実、二つ目は時間転移によりやってきた本物の戦国時代。
これだけでは、判断材料はまだ少ない。
ただ、どちらにせよ、すぐに元の生活に戻れないような気はしていた。
そう、それがすべての始まり。名もなき功績を遺すはずだった男の、修羅の道を辿った物語である。
少し短かった気がします。ただ、これから次々にキャラが出てくるので少し押さえました。
どこで完結させるか、まだ全く考えていない作品なので、尻切れトンボにならないようにだけ
頑張ります。
読んでくださって感謝申し上げます。ありがとうございました。
お手数でなければ、ブックマークと評価の程宜しくお願いします。
里見レイ