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世紀末でも屑はクズ  作者: パクス・ハシビローナ
らすとおぶあす
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手づかみは網よりも強し


 ベッドと布団どっちの方が寝心地がいいかと言われると、断然ベッドだと思っていた。布団から起き上がったときにだいたい体のどこかが痛んでいて、固い床から遠ざかれるベッドの方がまだ気持ちよく起きれる。


 だから、遊園地の家にあるベッドが好きなのだが、やはり一番好きなのはこの家の布団だ。

 この綿でくるまれたようなフカフカの感触に、体をがっしりと支えてくれる張りのある感触。なんというかメリハリがあって安定感が癖になる。

 

 なるほど、布団というのは畳ありきなのだと実感させられてしまう。ここに来るまでの苦労もあって、もうこのまま布団のシミになってしまいたいと限界まで眠っているのだが、今日も朝に目覚めてしまった。


 味噌汁の匂いがする。そんな起こされ方も既視感あるものになってしまったが、香ってくるものがどこか違う気がする。

 優し気で穏やかな味噌の匂いの中に、どこか鈍さがあるというか濃密さを含んでいるような。


 その違和感が若干気になるが、自分は味噌汁のソムリエではない。隣の布団で寝ている月見里はおそらく1、2時間では起きなさそうな寝顔を晒しているので、二度寝にしゃれ込むのが有意義な時間の使い方である。


「一応、行ってみるか……」

 

 どうしても気になって自分の足は台所へと向かっていた。後で二度寝すればいいだろうと思ったが、残念ながら眠気が冷めてしまった。もういっそのこと残った眠気を振り落としてしまおうかと、昨日寝る前に閉めていおいた雨戸を慎重にあけていきながら、お気に入りの縁側ルートで行ってみることにした。

 

 チュンチュンと霜の降り立つ朝。山の隙間に雲が留まっていたので、きっとまだ空に昇れていない残りなのだろう。晴れだというのに、遠くに見える森や山はぼやけていて輪郭を形作っている途中だ。

 雲は水蒸気の塊というので、体の奥までしみ込んでくるような清涼感はきっとこれのせいなのだろう。


 体の中の空気を入れ替えつつ、台所へと赴いてみると冷たい煙から温かい煙に包まれ、煙よりも白い服を覆った東台いた。

 

「おはよおー、八雲」


 東台は自分の目の前にある大きな鍋をかき回しながら、欠伸代わりに気の抜けた挨拶をした。


「おはよう」


「まだ早いのに、寝坊助の八雲がよくおきてきたね」


「ああ、まあな。ああ、東台?」


「ん?」


「その白いやつのことについて、聞いていいか?」


「白いやつって――ああ、この割烹着のこと?」


「カッパ?室内で着れるのか?」


「ううん、違う違う。かっ、ぽ、う、ぎ。」


 そういって、服を摘まんでこちらに見せびらかす東台。輝いているのはすりガラスから入ってくる陽のせいなのだろうか。汚れも穴もないそれがこの世のものではないように思えた。


「東台が持ってきたのか?」


「ん?ここの棚のところにあったやつ。八雲知らなかったの?」


「悪いな、ここらへんあんまり触ったことがないんだ」


「へえー、どうりで、まっくろくろすけが多かったわけだ」


 東台は鼻を擦っておどけて見せる。体が缶詰で出来ている自分にとっては、キッチンは火の出るインテリア程度しか思えないし、その程度では掃除をする気にもならなかった。

 しかし、こうも大したこともないように、あっけらかんと笑う東台を見ていると、申し訳ないことをしていたなと罪悪感が湧いてしまう。


「悪いな」


「ううん、別にいいよ。動く真っ黒いやつはいなかったし」


 なんというか、男女問わずキッチンでカサカサと蠢いているアレを嫌っているようである。そういえば、昔はよく街中で見かけていたけど、今はどこにいったんだろう。


「下の方じゃあ、最近そういう類のものは見なくなったな」


「そうなの?えー、それなら、さっさと下に降りとけばよかったなあ。昔はもっとたくさん食べられるものもあっただろうし」


 肩を落とす東台。確かにもう少し昔にこうしておけば、未来は変わっていたかもな。


 少なくとも、袋に入ったままのものを延々と貪りくっていたものが、パッケージに描かれた料理に変わっていたことだろう。

 まあ、どうせ、昔の自分だったら、付いてこさせなかっただろう。今は味噌を味噌汁として食えることに感謝したい。


「それにしても、まだ味噌なんてあったんだな」

 

「ううん、これも――ここで見つけたんだよね」


 東台は自慢げな顔をして、床を開いた。そんなところも開くのかと、秘密基地を作った少年時代を思い出して胸が高鳴る。どうやら火がでること以外にも魅力はあったらしい。

 

「それ――」


 

 しかし、本当に大丈夫なのだろうか。使うことの是非はおいておいて、長年床に浸かっていたものが果たして安全なのかどうか分からない。


 当の東台はなんとも嬉しそうな顔をしているので、そんな水を差すようなことが言えるわけがないだろう。

 もしかしたら、これが漬け物というものなのだろうか。


「ん、どしたの?八雲?」


「ああ、いや、何か手伝うことあるか?」


「うーん、今は別に――あっ、そうだ。唯ちゃんまだ寝てるなら、起こしてきて」


「ああ、分かった」


 そういって、東台は「2人で楽しみにしといてね」と背中を見せて、鍋をかきまわしはじめた。相変わらず、いい匂いがする。

 まあいい、味噌もクソも一緒だ。



 弱気と涎を引っ込めて、月見里のもとへと戻った。


 多少、空に色づきが戻りつつあったけれど、月見里はまだ羽毛布団の魔力に取りつかれている。

 俺も二度寝しておけばよかったなと後悔はするけれど、大人になって嫌な眠気を引きずるようになった今だと、こうまで深くは眠れないだろうなと思う。


「月見里、起きろ」


 惰眠をしゃぶりつくす幼女にこちらは腹いせに布団ごしに体をゆすって起こした。


「東台、やめて」


なんとも煩わしく体を逃がして、棘のある声色に抵抗の意を示してくる。


こんなゴツい手をしてるのに、東台に間違えるとは相当寝惚けてるなコイツ。台所からフライパン持ってきて、叩いた方がいいかもしれない。


「違う、俺だ。起きろ」


「……ええ!?」


 かったるそうにこちらに目をやると半目だったそれが一気に開かれて、飛び起きた。


 寝ぼけているのは俺の方だった。こんな起こし方をするのは初めてだった。


「あっ、ああ、悪かった」


「別に」


 月見里は淡白な返事をして、何もなかったように起き上がり、てきぱきと布団を畳んでいる。気まずい。


 これは、あれだ。文化祭の時にキャラでもないのにはっちゃっけた時に似ている。 当の彼女は何も言ってこないのに、こちらをチラチラと見てくるのが何とも気まずくて、バツが悪い。


「ありがとう」


「……ああ」


 気を使われるのも酷く気まずい、出来ればもう一度寝てくれないだろうか。一生続くと思えた、微妙な沈黙の中に、東台の味噌汁の匂いが閉じ切れなかった襖から漂ってくる。

 

 そうすると、こちらのお腹の虫が微かに鳴って、月見里が小さくにやける。


「これ、味噌の匂い?」


「ああ、東台が作ってくれてるみたいだ」

 

「楽しみ」


「ああ、楽しみだ」


 気まずさのベクトルが変わっただけだが、これなら日常茶飯事。

 東台の味噌汁に感謝したのは二度目であった。


「ねえ」

 

「ありがと」


「ああ」

 

 そうして、二人いつもの縁側を通って隣の部屋へと赴いた。その頃には、東台が既に配膳を済ませていて、蓋つきのお椀が並べられて申し訳ない。


 おはようと3人挨拶して、早速とばかりにいただきますと合掌。

 

 待ちわびたと勢いよく開いて見ると、恐れていたことが現実となった。


「東台、味噌が錆びてるぞ」


「え?うわっ、本当だ」


 味噌が錆びていた。言っていて違和感があるが、そうとしか言いようがない。白っぽいはずの味噌の色が、赤く変色している。

 月見里もそれに気づいて、お椀を手放して中身を見ると同様に訝しんだ表情を浮かべた。


 しかし、東台は何のことだろうとキョトンとした様子である。


「ん?これ、普通の味噌汁だよ」


「いや、でも色が全然違うぞ」


 食べられるのかと思いつつも、臭いは優しい味噌の匂いで、何も分からなければ普通に飲んでいただろう。

 

 というより、何食わぬ顔で東台が目の前で飲んでいる。


「おい」


「ほらね、大丈夫でしょ?」


「じゃじゃーん」とどや顔を見せてくる東台だが、そんな即効で食中毒になったらもはや毒か何かを疑った方がいい。

 少なくとも、こちらも月見里もまじかよこいつと訝しんだ表情を並び立てている事だろう。


「だから、そんなに心配しなくても大丈夫だって、これね赤みそで作ったやつだから」


「赤みそ?」


「うん、あーっそっか、こっちだと白みそだもんね。まあ、大丈夫大丈夫。食べてみなよ」


 そういって、東台はまた味噌汁を飲んだ。白みそ、赤みそってなんだろう。


 でも、よく見てみれば、錆びてると思った味噌汁も、透き通って綺麗に見えた。そして、やはりいい匂いでもある。

 

 俺もだいぶ感覚がくるってしまったようだ。冷静になる前に飲んでしまおうと、恐る恐る口につけた。


「あっ、うま」


「でしょ?でしょ?」


 口に含んだ瞬間、ストレートな旨味を与えられた。少し塩っ辛さがあるが、それを気にならくなさせるほどのコクの深さがあって、むしろどこかのど越しの良ささえ感じさせてくれる。眠気覚ましには持ってこいだ。


 月見里もこちらをまねて恐る恐る口にするが、頬を小さな袋にしているのできっと彼女もご満悦な様子だ。

 

「ふふーん、どうだ」


 東台は胸を張って自信満々なご様子。


「ああ、すごいな。きっと、高級なやつなんだろうな」

  

「残念。これは関東のお味噌でしたー」


「それならやっぱり、高いやつだろ」


「いやいや、本当に普通のお家でも出されたやつだから。私の家でもあったし」


 いろいろとオーバーなボディーランゲージで釈明しようとしてくれているが、彼女みたいな美人が毎日金箔を食っていても不思議とは思わない。


 となると、ここに住んでいた人は相当な勝ち組だったのだろう。現代風で和風の外観や、重たく厚ぼったい家具を見るとあまり不思議でもなかった。


 よくもまあ辺鄙なところに来たもんだとやっかみ交じりの皮肉をぼやくと、東台が眉を落として不機嫌になっている。怒らせてしまったかと、平謝り。


「確かに美味かったよ。錆びてる言って申し訳ない」


「ううん、別にいいよ。私も初めてこっちの味噌汁を見たときは、豚汁?って思ったし」


舌を小さく出して揶揄う東台だが気持ちは分かる。味噌汁と豚汁の違いは自分もよく分からない。


「東台みたいに毎日食えたらよかったな」


「冗談冗談。流石に毎日じゃないよ。料理とかで白みそ赤みそ使い分けしてたし、半々かな」


 東台の言葉に腰の曲がった上級国民が見えたが、これだけ味が違っていたら使い分けもしたくなるだろうと残った味噌汁を飲み干した。

 底の方にコーンが残っていて、味噌汁の塩っ辛さにアクセントを加えてくれる。昨日の残りだろうか、最後までいい仕事をしてくれる。残り物で美味いものを作るのは、なんだか庶民っぽくてホッとする。


月見里が最後の一口を飲み切った頃には、雲一つない空が昇っていた。今日は洗濯日和である。



 ごちそうさまと合掌すれば、東台が皿洗いをしにいくと井戸のところに向かい、こちらと月見里は縁側に置いていた桶を担いで洗濯物を干すことにした。


 干す場所は目の前にあって、特に手入れもしていない物干し台が物干し竿と共に放置している。ここの住民だった人のこだわりかどうかは分からないが、竿だけは竹そのままを使っている。

 おそらく近くに竹藪があるのでそこから取ってきたものだと思う。これが3代目なのはご愛嬌。


 最初は一つだけだったが、日替わりで月見里と自分のものを交互に洗濯するのが面倒くさくなって、そこらへんの家から似たような物干し台を引っ張ってきて増設したのもご愛嬌。


「月見里、手伝わせて悪いな」


「別に。私がいないとダメでしょ?」


「まあな、ありがとう」


 普段なら月見里をほったらかして、洗濯物をのんびりと干しているのだが()()()があるので、引き続き彼女に押し付けるしかない。


ただ、お手製物干し台が月見里の身長と比べて若干高いので、近場に転がしている足場を探してみるが無い。

 月見里には絞るのを任せたらいいかと彼女に目を向けると、物干しざおと同じ高さにいた。


「月見里、背が伸びたか?」

 

「そう?あんまり分からない」


昔はどれだけ背伸びしても頭のてっぺんにさえ引っかからなかったいうのに、今では浮いてたかかとをしっかりつけて、何食わぬ顔で続々と東台の衣服を干している。


 それほど変わったというのに、今更気づくとは一緒に長くいすぎた。いつかは俺の身長も越えていくのだろうか。


 こういう時に、柱かどこかに月見里の身長を記録しておくべきだったと後悔するが、自分たちの拠点はアルミ製でここは曲がりなりにも人の家である。

 それにそんなことを後悔するほど、長くいることは想像もしていなかったこともあるだろう。


「いつかは俺を越すんじゃないか?」


「私のお父さんはそれほど背が高くなかったし。知ってるでしょ?」

「……っ」


 当たり前のようにそんなことを言う月見里。しかし、顔が強張ったこちらが何か言えることもなく月見里がハッと表情をして、洗濯物へと視線を逃がした。

 

「今のはなかったことにして」


「……分かった」

 

 本当にいろんなことを思い出してしまう。それは月見里も変わらない。

 

 酷く気まずい。月見里も同じようで、何事も無いフリをして黙々と洗濯物を干しているがその動きはどこかぎこちない。


「私は別に気にしてないから」


「……黙れ」


 月見里の平坦な言葉に酷く腹が煮えくり返る。本当に長くいすぎた。


 固く閉じた口からそれ以上の言葉は出ることなく、2人で真顔を張り付けあって洗濯物を干している。

 

 まともな人は拗らせることもなくコミュニケーションでどうにかするのだろうけども、マトモでもない自分は時間ぐらいしか頼るものがない。


 そうして、すべての洗濯物を干し終えた。微妙な空気は消えず、これは一日コースになりそうだ。

 しかし、待ちに待ったバカンスである。月見里は気まずい感情を引きずって楽しめるような玉ではない。


「お前がそんなことを言うな――むしろ、恨め」


「……そうじゃなくて」


「おっまたせー。あっ、もう干してくれてたんだ。ありがと」


 月見里が何かを言う前に、東台が縁側から登場。それで、また別の気まずさが殴ってくる。


「二人ともどうしたの?」


「ああ、いや……」


 ぽっと出てきた彼女が事情なんて知るわけも無いし、しかし説明もするわけにもいかず黙っていると、東台が干された洗濯物を見て困った表情をした。


「あー、そっか、確かにそっちの方が干しやすいもんね」


 そういって手に掴んだのはブラジャー。やはりカラフルだったと瞳に留める前に、視線を外し難を逃れた。


「その大きな帯みたいなやつって、吊るしちゃいけないの?」


「まあね。そこだと伸びちゃっておっぱいが上手く収まらなくなって痛くなっちゃうんだよね。だから――ここのカップのヒラヒラのところを挟んであげて、こんな感じかな」


「へー」


 月見里とこちらの声がハモった。

 出来上がったそれは、肩紐をブラブラさせた逆さ吊り。何だか苦しそうに見えるが、確かにこれなら紐が変に伸びることはないだろう。

 少なくとも色褪せているにも関わらずあまりよれていないところを見ると、さもありなん。



 そういえば、俺はどうして東台のブラジャーの形や色を知っているのだ。そうして、我に返って、視線を逸らしたがもう遅い。


 しかし、東台は気にする必要も無く。複雑ながらも胸を撫でおろした。


「私は、ベルトを吊るす方が様になって好きかな。干物みたいで」

 

「干物って」


「うん、私がおばあちゃんになったら、干物でちょうどいいからね」


 冗談を言って暢気に笑う東台。気まずくても、これだけ空気を変えられてしまうと笑いもこみあげてしまう。もう既に笑ってしまっている。


 少なくとも、自分の悩んでいることと、下らなくて笑えることを自分の心の中に両立できるほど器用ではなかった。



「それで八雲、今日は何をするの?」


「そういうのは特にないな」


 東台も月見里も働き者である。ありがたい限りだが、別にやることもない。


 今はバカンスである。ある意味、休むのが仕事みたいなものだ。こちらは物干し台から目を逸らしつつ、縁側へと座った。 


「好きにしてくれていいぞ。暗くなる前に戻ってくれるなら何をしててもいい」


 このあたりに『あれ』は出たことはない。そもそもこのあたりに人が居なかっただろうし、ここの唯一の住民だった人も既に立ち退き命令の紙切れ一枚になっている。

 

 猪とか危険な動物もいないし、どこにだっていけるが、自分は縁側で寝転ぶのがバカンスのセオリー。


 月見里はそこらへんを適当にうろついているか、一緒に寝転んでくるぐらいなので外出も糞もないのだが。今もこちらをまねて隣で寝転んでいる。怠けたい。


「じゃあさ、皆で川に行かない?」


「川だって?道中に見たやつか?」


「多分、それになるのかな」


「流石に山奥まで行くのは困る」


「あはは、流石にそんなところまで行かないよ。このあたりに水路みたいなのがあったから近くに川があるんじゃないかと思って」


「ああ、あそこか」


 水路。この近くに川があったことを思い出した。


 棚になった地形の境目にコンクリートで出来た溝のようなものを見つけて、その先に何があるのだろうと気になって辿って行ったときに確か川があったのを覚えている。


「ええ、あそこ行くの?」

 

 しかし、月見里は何のことだと困惑した顔をしているが、無理も無い。綺麗な川ではあったものの、こじんまりとして肩透かしを食らうぐらいには浅かったので2人で何をしたのだろうと気落ちしたのも記憶にある。


「あれ?やっぱり二人とも答え知ってるの?うわぁ、ネタバレ食らっちゃった」


「重ねて悪いが、あそこは泳げるほど深くないぞ」


「私もそんなに泳ぎ得意じゃないから、それは全然問題なし!台所のところに、網があったから魚でも獲りに行こうかなって」


「確かにそんなのあったな」


 今更ながらに台所にあった虫取り網にしては妙に網目の荒い棒付きの青い網の正体を知った。


「唯ちゃんはどう?魚とり行ってみたい?」


 東台が月見里を誘っているが、その表情のとおり彼女も魚とりはしたことはない。そのためなのか、彼女はこちらに視線を向けて様子を伺おうとしてくる。


 正直、縁側で腹を晒してどっかりと寝転んでおきたいが、こうも目の前に張り切っている人間がいるとそれだけで終わってしまうのも味気ない。

 

 それに、月見里がこういう場面でチラチラと視線を向けてくるのは、大抵興味を持っているときで、彼女の眼は確かに期待にうずいている。


「獲ってなにすんの?」


「もちろん、煮るなり焼くなりの魚料理にしてみます!」

 

 東台の言葉を聞いて、俺も期待に腹がうずいてきた。


「俺も興味がある」


「じゃあ、私も行く」


  月見里も即答。勢いママ、立ち上がる。まあ、いいか、こういう休日も。


「あっ、そういえば、魚いれとく容器みたいなのないよね」


「そこらへんにあるバケツを使ってもいいぞ」


「ねえ、これとかよさそう」


「それ、洗った後のお皿とか入れるやつだよ」


「いいじゃん。どうせお皿っていても3つしかないし」


「いいな。それを使ったら、すぐ魚を洗えるんじゃないか」


「いやあ、そういうことじゃないだけどね。まあ、これ底が深いからいっか」


「そうだな。料理は奥が深いんだろ?」


「あーね」

 

 そんなこんなで魚獲りの準備をして、川へと向かう。東台は網をもって、こちらが桶を持っての大行進。


 家からは見えないが行き方は単純。家を出て真っすぐ出たところないる段々の地形を歩いて森があるところに進んでいけばいつの間にかついてしまう。

 そこまでは意外と遠いのだが、近いと感じてしまうのは延々と広がり続ける起伏に富んでいるというのに規則的に整えられている地形に視線を奪われるからだろうか。


 本当に奇妙だ。これが世に聞くミステリーサークルなのかと、オカルト雑誌で見た文言を頭に浮かべてあんぐりと口を開いて眺めていたのだが、その正体は未だに分からずじまい。

 

 そういえば、以前よりもずっと草が濃くなって、棚の形見えなくなってしまったな。まあいいか、正体を知ってももうどうしようもないのだろう。


「どうしたの?」


「いや、このあたりの地形が不思議でな」


「あー、八雲のところだとこんなの見ないよね。もう枯れてるけど水路とかあるから、多分、棚田があったんだろうなあ」


「棚田ってなに?」


 月見里が横から聞いてくる。棚と聞いてなんとなく言っていることが分かるが、月見里と同じ首の角度である。


「ううん、なんていうのかな、山版の田んぼ?ほら、山がちなところって田んぼが作れないからこう斜面をけずってそこに川の水を引いて水田にするの」


「田んぼって、なんだ?」


「田んぼって、あの田んぼ。あー、昔はたくさん田んぼがあったんだろうなあ。水を張ったときとか、まるで鏡みたいですごい不思議な気分になるんだよね」


 そう棚田と呼ばれた地形を穏やかな表情で東台は眺めていた。


 それでも、こちらから見えるのはただの段差。ずっと奥へ奥へと広がっていくただの段差。それだけでも、どうしてか自分には綺麗に見える。


「きっと……綺麗なんだろうな」


「うん、夏の青々した感じもいいけど、秋になったら稲穂がね――黄金色になびいて、すごい綺麗なんだよ」


 そうなびく風の間に一つ言葉を溢した東台はまたどこか違うところを見ているようだった。


「そうか」


 それはきっと綺麗な景色なのだろう。こちらがそう心の中で返事を返した頃には、段差の地形も終わり森の中へと入っていく。


 そして、すぐに川が見えた。


「うわぁ、きもちいい」


 ここにやってきて開口一番それかと心の中でツッコミ。ただ、何か別に目立つものがあるわけでもないだろうと、とりあえず彼女の真似して深呼吸。


 歩いて汗ばんでいた体に霧状の風があたって、爽快な気分であることは間違いない。 

 川というとドブを思い起こさせるものだが、人の手垢の痕もないそれは自転車をカラカラ鳴らして見下ろした川よりもずっと青く澄んでいる。清涼な雰囲気を思わせる一助になっているのだろう。

 

 木々に囲まれているからか、若干影で暗い雰囲気を帯びているが、木々の隙間から陽が差しているためジメっとした印象はあまりない。

 ただ、よく見る並びたてられた杉林でもなく、雑多な木々が不揃いに並び立てられた雑木林なので窮屈さも覚えてしまう

 そして、もう一つ微妙な窮屈さを思わせるのは目の前にある川。広大に森が広がっている割には人が4人並んで向こう岸に手をつけるぐらいのもので、奥に行ってもこちらの膝小僧をなめるぐらいの深さしかない。これでどうやって、森を育んでいるのか。少なくとも、月見里にとっても安全設計。


 しかし、川の中を覗けば大きい魚がぬるりと泳いでいる。手づかみでも取れそうだ。


「早速捕まえよう」


「うん、いいね。じゃあ、私は生け簀作ってるから、唯ちゃんと一緒に魚獲ってみて」


「おう」


 東台はそれだけ伝えられて、網を手渡され桶を持っていかれる。あの中に魚が入るのが楽しみだ。

 月見里が興味津々に川の中を見ていたので、こちらはそのまま川に入って魚目掛けて網を振り下ろし。


 意外と川の中は冷たい。薄く張った瘡蓋に沁みていくような感覚もあって眠気なんて吹っ飛んでしまう。

 ただ、網の中に入ったのは魚の影だったようだ。

 

 それでも手ごたえは感じるので、何度も何度も振り下ろしてみるが、別のところに弾かれてしまって、それに食らいつこうとするがその時には既に網の外にいる。

 どうやら手ごたえも影だったようである。


「ねえ、ちょっと貸して」


「月見里、頼んだ」


 何かを思いついたのか意気揚々とした月見里に、網を渡し攻守交替。


「――ここ!」


 そんな覇気が、固唾をのんで見守る中、水しぶきと共にかかる。彼女は振り回すことを選んだようだ。


 魚の進行方向へ回り込むようにして網を振りかぶっている。これなら、魚が取れる。網の中に魚が入っている映像が浮かび上がり、勝利を確信するが――スカ。


 そして、その後も当然のように、網の中には水しぶきしか入らず、月見里とこちらが水浸し。左右のみではなく、上下という概念もあるのだと気づかされた。


「ふー、お待たせ」


 2人網を振り回すのに夢中になったころに、東台が息を切らして桶を持ってきた。あー、そうだった。水にも重量はあったのだ。


「dだ、大丈夫か?」


「うん、ダイジョブダイジョブ。3年ぐらいはここにいられるぐらいだから」


「悪かった。それを寄こせ」


 お待たせといっておきながら、桶を抱えたまま生まれたての小鹿のように足をプルプル震わせる彼女から、桶を一目散に奪い取り平らなところに置いて九死に一生をあげる。

 

「ふぅ、ありがとうー。それで、どう?魚獲れた?」


「泥は一杯捕まえられたから」


 そうは言うものの、月見里は悔しそうに網の中を見せる。青々しかった網は物の見事に泥色に塗りつぶされている。月見里とこちらの力作である。しかし、これでは魚拓も取れない。

 

「そっかあ、うんうん。じゃあ、私に任せなさい!」


 東台は自信満々に言っているが、肩で息している人が網を振れるのか心配だ。東台は勢いママ、同じように川の中に入るが、月見里にちょっと貸してと網をもらい臨戦態勢。


「いい、見てて。魚はね後ろにはいけないから、こう静かーに、前へと網をやって……」


 そうして、何匹か群れになっている魚の前へと慎重に網をやる。魚はまだ気づいていないようだ。

 

「そして、ハチのように振る!」


 東台が鮮やかに網を振った。東台の戦術は一歩抜きんでているようだった。ハチってなんだよ。


「おおーー!」


 歓声があがる。網の中にバチャバチャと暴れる魚を見つけたら喜ばずにはいられないだろう。これは大いなる一歩である。


「あっ!」


 網が千切れ、ぼちゃんと魚が落ちた。


 おい待てと叫ぶも意に返すはずもなく、暴れ狂ってたそれはまるで水を得た魚のように自分たちから遠ざかっていた。


 後に残ったのは、ユラユラと揺れ続ける網。虚しい。完全な敗北である。

 気落ちしない方が失礼というべき状況で、月見里もこちらもただただ茫然とするのみである。


 しかし、東台は諦める様子も無く、網を川岸に置いて腕をまくる。


 何か秘策でもあるのだろうか。月見里と二人見ていたが網をもう一度持つことも無く、表情だけ自信満々で、


「よし!手で捕まえよう」


「はあ?」


 と高らかに宣言。これには、思わず声が出た。


 網で捕れないというのに、どうしてそれよりも短いリーチの素手で捕れるというのか。ただ、魚だけは煽るように周りを泳いでいる。


「出来るわけないじゃん」


「ダイジョブ、ダイジョブ。網で捕まえるよりも、手で捕まえる方が得意だと思うから」


 じゃあ、何故最初から手づかみで捕らなかったのだとツッコミを入れたくなったが、自信満々に言ってのけられると逆に何か言えることもなかった。


 確かに足に当たるぐらいの魚は今もなお泳いでいる。そして、東台は肉食獣のように腰を低くして。



「まあ、見ててよ」


 そう言って、ウインクする彼女は、躊躇もなく文字通り魚の群れ目掛けて飛んで、水しぶきがあがる。


 まるで飛び込むようだと錯覚したのは、べっちゃりと水が被ったせいだろうか。もおーと隣から聞こえた気がするが、それを叫ぶにはあまりにも事態が変わりすぎた。


「獲ったどー!」


 視界からぼやけた後に見えたのは、腕を天高く掲げた東台と天高く上げられたぬらりと輝く魚の姿。


「おおーー!」


「ふっふー、どうだ――ってあああ」


 月見里と2人歓喜の声をあげたが、東台の音の外れた声で再び水しぶきがあがり、魚は小さな水柱を立ててどこかへと行ってしまった。

 

「あちゃー、逃げちゃった」


 飛ぶ鳥、後を濁さぬという。どうやら、魚も後を濁すことはないらしい。出来るなら、糞でもいいから残してほしい。尻尾の先が見えなくなるまで、見送るよりは虚しくならないだろう。


 逃げた魚が大きいとよく言うが、この気分の落ちようはクジラでなければ表現できない。


「あのお魚だったら、美味しい天ぷらに出来たかもなあ」

 

 東台もそのように感じたのか、あっけらかんと語る東台の声はどこか弱々しく聞こえた。

スシ、テンプラ、ゲイシャ。

どこかで聞いた魅惑の単語の一つにお腹も空しく響いた。きっと、美味しいのだろう。美味かったのだろうな。


 こちらは腕をまくった。スシ、テンプラ、ゲイシャ。


「やるか」


「うん」

 

 月見里も腕をまくる。

 魚を獲るための大きな一歩であったことは間違いない。これならいつかは獲れるかもしれない。

 

「じゃあ、はりきってやっちゃいましょう!」


 東台が高らかに宣言。再び魚の影も見えてきたので、宣戦布告代わりに飛び掛かろう。しかし、そんな一歩で、目の前いたはずの魚は悠々と逃げて行ってしまう。


 月見里も別のところを襲ったが、こちらの後を追うのみだった。人間の一歩は、ヒレの一振りに負けるのか。


「そうじゃないよ。2人とも。見てて」


 そうして、東台のレクチャーが始まった。また魚の掴み取るところを見せてくれのかと思ったが、どうしてか手を水の中につけた。


「まずはこうして水に手をつけて、川の水に手を慣らすの」


「どうして?」

 

「よくぞ、聞いてくれました。唯ちゃん。実は魚の体温って人よりも10度が20度くらい低いらしくて人の体温にすごく敏感なんだって。ほら、お湯を近づけられると肌がピリ突くでしょ。だから、こうやって川と同じぐらいの冷たさして、自分たちの仲間だって思わせるの」


 東台のうんちくにそんなものなのかと微妙に首を捻りつつも、指で髭を作っての解説してくれたのでひとまず川に手をつけてみた。

 やはり、川の中は冷たい。足は既に冷たさに慣れているが、肌に刺すような感覚がぶり返した。いや、先ほどよりも肌の刺さり具合が鋭敏になっている気がする。冷たさになれると一体になったような気がした。


 これで魚に擬態できたのだろうか。少なくとも、東台の手が白魚のようになっていた。否、白魚のようなのはもともとである。だから、さっきの手づかみが成功したのだろうか。


 そういえば、さっき捕まえる前に東台は手を水につけていたことを思い出して、今さら合点がいった。


「それぐらいかな。それが終わったら、ひたすら魚が近づいてくるのを待つの」


「え?待つの?どうして?」


「またまたいい質問ですねえ。魚って温度もそうなんだけど揺れみたいなのにも敏感みたいで、ちょっと足を動かすだけで水の中が結構揺れるんだって。人間だって地面が揺れたらビックリするでしょ?」


「へえー」


 感嘆の言葉がつい零れてしまう。月見里とハモってしまった。


 一見周りくどくておかしな行動なのに、こうも合理的な理由があるとは。魚もゆうゆうと流れる川の中で泳いで見せるが、意外と人間みたくいろんなことに敏感なのだなと複雑な気持ちにもなる。


「あ、ちょうどいいのがいた。捕まえるから見ててね」


 東台のうんちくを聞き入っていうちに、魚が都合よくも触れ合うぐらいのところを泳いでくれていた。もちろん、東台は自信満々で、もう獲った後のような表情をしていた。


 さあ、人間の知恵を見せる時である。


 ばちゃーん、と大きな水しぶきがかかった。


「あー、やっぱり捕れなかった」


 しかし、東台の手は空っぽのままである。そうだった、こいつらは水を得た魚だった。


 それでも、手の中に入っているはずの魚はびくりと体を震わせて逃げて行ったので、多少は効果はあったようだ。


「じゃあ、俺はあのあたりでカカシになってる」


「おっけー、コツを掴めば多分捕まえられるから」


 効果があることは分かった。後はトライアンドエラーだ。考えるよりもとりあえずやる方が性に合っている。


 とりあえず、別のところで捕まえた方が効率がいいだろう。東台の邪魔にならないように、下流の方へと移動した。


 月見里もこちらに引っ付くようについてきた。


「月見里は向かいで頼む」


「わかった」


 遊びに近いが今は効率重視で行きたい。月見里に対岸へと立たせ、東台を先頭として三角形の形の陣。これで東台の取りこぼした分を、2人がかりで捕まえることが出来る。


「これぞ、ABCD包囲網だな」


「Dいないじゃん」

 

「俺がDの片翼を担ってる」


「じゃあ、私ももう片方貰っとく」


「分かった」


「いいなあ、私もちょうだい」


「もう無いから、東台はダメ」


「フフフ、それなら私はコックピット貰っちゃうから」


「東台がコックピットとか、すぐ落ちそう」


 月見里の意見に頷きたいところだが、東台が一番上手いと思うのでコックピットでもエンジンでも貰っていってほしい。


 しかし、こうやって陣形を組んでしまうと、やったこともない流しそうめんを彷彿としてしまうが、それよりも躍動感のある魚が煽るように自分たちの傍をすり抜けていく様に絶望感しか覚えない。


 それでも泳ぎの遅い魚もいるので、それに狙いをつけて捕まえようとするが、ヒレをかすめることなく股下を潜られて苛立ちも上乗せ。

 月見里も勇猛果敢に攻めるが似たような戦果で、彼女は悔しさを味わっているようであった。

 

 それでも彼女は諦めない。負けず嫌いか、それとも俺みたいに食い気があるせいか。相変わらず、東台は自信満々な様子。もしかしたら、空元気なのかもしれないが。

 

 それからも、魚はこちらを掠めるだけだった。他も何か掴んだ気がするが、それが無機物か有機物かの違いでしかない。


 それでも、楽しいと感じてしまう。熱くなった体が川の冷たい水が頭をキンキンに冷やしているせいか、魚と握手会みたいなことをしているせいか。

 

 月見里と東台が楽しいそうに笑っていた。あまり楽しいの理由を探っても仕方がないだろう。ノリだ。ノリ。


 文字通り尻尾はつかめている、少なくとも。


 また、こちらへとやってくる魚がVIPのように悠々と泳いでくる。さて、捕まえてみようかと構えるがそんなこちらを察したかのように月見里の方へと流れていく。


 あー、これはまた見送りするパターンかと考えていると、また水しぶきが目に襲い掛かった。

 誰かが転んだのかと視線を合わせてみると、ぼやけた橙色が写る。


「やった!とった!とったあ!」


 飛び跳ねる。予想していた声とは違い急いで拭ってみると物凄くはしゃいでいる月見里で、手に魚が握られていた。


「すごい!唯ちゃん!大物だね」


 勝ち誇った顔をして悠々と桶のところまで歩いていく姿が勇ましい。でも、東台の言葉に返事する余裕もなく、びちゃびちゃと藻掻く魚を離すまいと手足がぷるぷると震えているのがどこか可愛らしい。

 しかし、今の自分にとっては、武者震いにも見えた。


 ポチャンと月見里の手から離れたのを見計らい、背伸びして桶の中に入ったものを見ると、銀色に光るそれがクルクルと桶の中を回っている。

 キラキラと綺麗だが、そんなものが尾びれを揺らして泳ぐ様がどうして面白くて綺麗だ。


「凄い?」

 

「凄い」


 ドヤ顔を決める幼女、月見里。一歩を成し遂げた者の言葉は重い。重すぎて首を垂れるしかない。東台も同じように首を伸ばして桶の中を見ていた。


「おおー、やっぱり、鮎だったんだ」


「これって、うまいの?」


「まだ旬じゃないから若鮎だけど、結構おいしいよ」


「缶詰よりうまいのか」


「もちろん!」


「おおー」


 これはもう歓喜するしかない。スパムより美味しいものはないとは思うものの、あのうまい缶詰たちより美味しいと言われれば桶の中に入っているそれが銀色にも金色にも見えてしまう。もっともっと捕まえたい。


「うっしゃー、私も負けないからね」


「私ももっと大きいの捕まえるから」


 彼女たちがまた争っているが、こちらはそんなことを気にせず目の前に来る魚目掛けて手を飛ばす。しかし、また股下を潜られている。

 もしかしたら、俺の股下が観光地か何かだと思われていないだろうか。


 月見里は、先ほどのことでコツを掴んだのか、結構な頻度で魚を捕まえかけている。東台の戦果も表情から徐々に近しいものになりかけていた。


 少なくとも彼女たちの足を引っ張らないぐらいの結果になるようにしようと決意したのだった。



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