#1 どうやら僕はとんでもないスキルをもらったらしい
今日から頑張ります!
よろしくお願いします!
10月6日 加筆修正
「最悪だ。これからギルドに入ってかっこいい英雄になりたかったのに、よりにもよってスキルは「反転」かよ。もうこれからどうしたらいいんだ」
神殿からの帰り道、僕はこんなことをつぶやいていた。
この国、アインシュピーラ王国はマルス教の教えに従って、15歳の誕生日に神殿に行き神様から2つか3つのスキルを授かることになっている。そこで神様からもらえるスキルはほとんどが強いものが多いが一部、例外がある。それがこのスキル「反転」だ。
このスキルは「反転」などとやけにかっこいい名前だが、実は、そのスキルを待っているだけでほかのスキルが一切発動できなくなり、このスキルの効果も使えなくなる。いわばごみスキルだ。
このスキルを持っている者はほとんどが農民になると言われている。
つまり僕は農家として生きていくことがほぼ決定してしまったわけだ。
「あ。おーい、ラルム!」
そう考えていると、どこからか元気そうな声が聞こえてくる。
ヲルの声だ。
「ねえねえ、ラルムはどんなスキルを授かったの? 私は「剣術」と「身体強化(小)」だよ!」
「僕は全然ダメだったよ。僕が授かったのは「反転」と「付与」と「水魔法」だよ」
ヲルは「反転」と聞き、あきらかに残念そうな顔をする。
「反転」はそれほど外れスキルなのだ。
「ま、まあ! まだ道はあるさ! もしかしたらスキルが使えるかもしれないしね! まだわかんないよ! 私も応援するから。ね!」
「うん。ヲル、ありがとう。気持ちはうれしいんだけど、ちょっと、今日は1人にさせてくれ」
「う、うん。じゃあまたね」
別れのあいさつをすまし、僕は家に帰る。
「ラルム! 結果はどうだったの?」
そんな母さんの質問を無視して僕は自分の部屋に戻る。
そのあとはしばらく、この気持ちを紛らわすために、泥のように眠り続けた。
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目が覚めた。今は何時だろうか。空が暗い。ということは夜だ。
ただ眠るだけでは何も始まらない。と思いスキルの確認をする。
とりあえず、水魔法を詠唱して見よう。
「汝の求める加護をここに。アクアショット」
そういい、水の中級魔法アクアショットを詠唱する。
だが、何も起こらない。
やはり、「反転」が邪魔をしているのだろう。
次は付与を試そうとするが、何か感覚でできるような気がする。
付与は、自分のもっているスキルの複製を作り、人や、モノに付与するスキルだ。
早速やってみる。目標はあの箱だ。
「付与。反転」
すると、箱に付与ができたのか、箱がぷかぷかと浮かびだす。成功だ。
おそらくはこの重力を反転したのだろう。これだけで一財産築けるレベルのことだが、ラルムはそんなこと考えずに、一つのことばかり考えていた。
「付与。反転」
僕はおもむろにもう一度付与を使った。
目標は自分の体だ。
付与が成功すると、自分の体に魔力が感じられるようになった。
もう一度、あの魔法を詠唱してみる。
「汝の求める加護をここに。アクアショット」
そうすると今度は、大きな水の塊がドアめがけて飛んでいき、はじけた。
僕が今何をやったのか説明すると、「反転」は発動できればすべてを反転させる強いスキルだ。
付与さえ使えるなら、何でもできる気がする。
そして、僕は考えた。反転のスキルが発動出来なくなる効果を反転すればスキルが使えるんじゃないかと。
結果は、、、、大成功だった。水魔法が使えるようになったのだ。「反転」よく考えると本当にぶっ壊れスキルということがわかる。さあ、次の実験だ。
僕は、小さいころから使ってきたナイフを、取り出した。
ちなみにこの武器のステータスはこんな感じだ。
旅人のナイフ
武器レベル1
駆け出し冒険者に好まれる短刀
特出した能力はない。
攻撃 23
武器ランク F
こんな弱武器に反転付与をすると。
覇竜短剣ドルクスモア
武器レベル1
稀代の勇者が決戦時に使ったとされる伝説の短剣。世界を変える力を持つ。
攻撃 5000
武器ランク SSS
こんなチート級の装備になる。もっと弱いものだと、もっと強い武器になったりすると思う。
僕は自分の持っている装備をどんどん「反転」していった。
するとこうなった。
旅人のローブ
武器レベル1
駆け出し冒険者に好まれるローブ
特出した能力はない。
防御 23
武器ランク F
↓↓
神衣アークスカイブス
武器レベル1
大賢者が勇者のために作り出したといわれる。ローブ
物理攻撃を無効化する。
防御 5000
武器ランク SSS
旅人のブーツ
武器レベル1
駆け出し冒険者に好まれるブーツ
特出した能力はない。
防御 23
武器ランク F
↓↓
神靴スカイフロール
武器レベル1
神がこの地に舞い降りる際に使った靴。
空を自由自在に飛ぶことが出来る。
防御 5000
武器ランク SSS
そして家にある、一番ぼろぼろの片手剣はもっとひどいことになった。
ボロの片手剣
武器レベル1
見るも無残なぼろぼろの片手剣。
切れ味がとても落ちている。
攻撃 3
武器ランク F
↓↓
覇王神聖剣ドルクスアーデ
武器レベル1
伝説とされる鍛冶師が神に献上するために作った剣。
この剣で斬れないものはないとされている。
攻撃 15000
武器ランク EX
これは聞いたことがある。小さいころこのお話が大好きで、よく聞かせてと言っていたものだ。
その話の中の伝説の剣が今、自分の手にある。
どうやら僕はとんでもないスキルを授かってしまったらしい。
ここまで読んでくださりありがとうございました。
感想、アドバイス、誤字脱字報告していただけますとガチで泣きます。
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明日は19、22時に投稿します。
8月 30日
言い回しを少し変更しました。
武器の名前を一部変更しました。