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3 集結

 11月17日、金曜日。生徒会役員の推薦は校長によって無事承認され、晴れて新生徒会が発足した。

 そして、早速顔合わせと今後の方針を話し合うということで、僕は生徒会室に来ていた。

 会議は午後5時から始まるので、まだ10分くらい時間がある。

「そろそろ来てもいいころなのだが……」

「そうですね……」

 不動の学年一位と、運動部と文化部で顔が利く生徒だから、僕も名前くらいは知っているけど、一人以外どんな生徒なのかは知らない。

 そんな優秀な人間の中に、交換条件というだけで在籍している自分がなんだか情けなくなってくる。でも、会長の意向に逆らうこともできない。だったらせめて、穏便にことが進むように尽力しようと、決意をしていると扉が開き、一人の女子生徒が入ってきた。

 気弱な風貌の少女である。黒縁のメガネをかけていて、いかにも理知的な印象を受けた。

「すみません、職員室に行っていたので遅くなりました……」

「おう、来たか神崎。適当に座ってくれ」

「はい、失礼します」

 そう言って、神崎さんは僕の対面の席に腰を下ろした。

「あの……初めまして。成績の枠で選ばれました、神崎です……よ、よろしくお願いします……」

「こ、こちらこそよろしくお願いします……」

 なんだかおっかなびっくりな様子の神崎さん。ペコペコ頭を下げてくるたび揺れる胸が僕の目にまぶしい。

「僕は益城蓮です。えっと……交換条件で選ばれました。よろしくね、神崎さん」

「よ、よろしくお願いしますっ!!」

「え、えっと、神崎さんは、日頃どういう勉強をしているの?」

「私ですか? そうですね……好きなことにたくさん時間を取りたいので、予習と復習をきちんとするようにして、授業をきちんと受けているだけなので、特にこれと言って自慢できるような勉強法はないです」

「ちなみに、好きなことって?」

「はい! 私、動物が好きなんですけど、特に猫が好きなんですけど、あの愛くるしい姿がたまらなく愛しくて──」

「おっ待たせー!」

「お待たせしました」

 と、神崎さんの愛猫トークを聞いていると、ちょうど残りの二人が入ってきた。

 片方は、スポーツにおいて無類の強さを発揮する、広く浅く部活に入り浸っている桑鶴くわづるカレンさん。

 片方は、僕の幼馴染で、幼い頃から花嫁修業の一環で、書道や茶道、吹奏楽など、文化的なものに関しては一切妥協を許さない、しっかり者の赤穂玲子あこうれいこ

「好きな席に座ってくれ。とはいえ、選択肢はほとんどないに等しいが」

「了解で~す!」

「分かりました」

 玲子は僕の隣に、カレンさんは神崎さんの隣に座る。

 二人が座ったのを見て、入れ替わるように会長が立ち上がる。

「ではまず、各々自己紹介をしてもらおうか。益城から時計回りに頼む」

 会長が座るのを待って、僕は自己紹介を始める。

「副会長になった益城蓮です。現在一年で、ただの交換条件で選ばれました。以後よろしくお願いします」

「よろしくお願いします」

「よっろしく~!」

「よろしく頼む」

「…………」

 神崎さんは律儀に頭を下げて、桑鶴さんは満面の笑みで片手を上げている。会長も一応反応を返してくれたが、玲子に至っては無言だ。まぁ、小さいころからの腐れ縁のようなものなので、今更反応するほどのことでもないと思ったのだろう。実に彼女らしい判断だ。

「書記の赤穂玲子です。文化系部活においての才を見出されて、生徒会に参加しました。ちなみに、彼を生徒会に入れるという交換条件を提示したのは私です。彼は、会長と類似した思想の持ち主のようなので、推薦したとも言えますね。では、以後よろしくお願いします」

 玲子の話し方は、人によっては冷たい印象を受けるから誤解を招きやすい。大丈夫だっただろうかと周りを見渡すと、神崎さんが委縮してしまったことくらいしか変わった点は見受けられない。彼女にはあとでフォローしないとなぁ……。

「わ、私は会計の神崎ひなたと言います。成績枠で選ばれました。こ、こんな私ですけど、どうぞよろしくお願いします……」

 続いて自己紹介した神崎さんは、やはり玲子の影響を受けまくっていたけど、それでもなんとか自己紹介をしていた。こういう姿を見ていると、とても庇護欲が掻き立てられるんだよなぁ……。

 そんなことを考えていると、今度は元気よく立ち上がりすぎて、勢い余って椅子を倒した桑鶴さんの自己紹介が始まっていた。

「桑鶴カレンです! カレと同じく副会長です! 運動部では、よく助っ人を頼まれます! 人気者です! これからは生徒会役員としても頑張りますので、どうぞよろしく!!」

 屈託のない笑みを浮かべ、彼女のトレードマークである金髪ポニーテールも相まって、とても輝いている。帰国子女ということだったが、普通に日本語は話せるらしい。

「では、最後は私だな」

 会長は立ち上がり、一同を見渡してから自己紹介を始めた。

「会長の椿姫千尋つばきちひろだ。勧誘する際に話したように、私は学校改革をしたいと思っている。憎まれ役になると思うが、それを承知で名を連ねたのだと思う。だから、私を信じて協力してほしい。私たちは運命共同体だ。苦楽を共にし、この学校を発展させていこう! よろしく頼む!」

『よろしくお願いします!』

 四人の声が重なる。

「では早速会議に入るが、生徒の学習意欲をもっと高めるために、なにが効果的かについての案を出してくれたまえ!」


ようやくメインの生徒会の面々が登場しました。


次の更新は未定ですので、目途が立ち次第活動報告&ツイッターで報告します!

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