07.夜の森は俺次第!!
【祝】ブックマーク50件達成!!
いつもご愛読ありがとうございます!!
【修正】2015/10/14 スキル【夜目】を【暗視】に変更しました。
朝早くから電話してきた友人のせいで寝不足だ・・・。
あいつバカだバカだと思ってたが、こんな早くにかけてこなくてもいいじゃねぇか。
無視して二度寝しようとしたら、うちの電話にかけてきやがって・・・
あいついつ寝てんだ?
昨日ログアウトしたのが22時ぐらいだったが、あいつは16時ぐらいにはログインしていたはず・・・。
飯とか食うじかん飛ばしても、7時間か・・・割りと寝てるな・・・。
あ、俺か、あの後ネットで調べてて寝たの2時ぐらいだったんだよっ!
あれ?これだけ見ると・・・俺のほうがネトゲ廃人っぽいな・・・おかしいっ。
朝の6時にログインした。
現実での6時はゲーム内の0時だ。
夜か・・・さっき朝っぱらだっただけにもう一眠りしたくなる・・・コレが時差ボケだろうか。
今日は昼寝するべし。
ゲーム内の20時なら11時昼前には現実に戻ってこれる!
ゲーム内の24時でも、現実の昼の12時だ、大丈夫だ。
土曜日の昼に寝るだけだ、何もおかしくない。
ログインしたのは、レンタル工房のロビー内だ。
ちらほら工房から出てきて眠そうにしてる人がログアウトしていく。
おまいら・・・徹夜してたのか・・・。
現実の時間で0時から6時まで徹夜してたらゲーム内では丸一日である。
ちなみに俺達が昨日使っていたルームのように特別な設備がない工房も結構利用者は多い。
考え事するにしても会話するにしても4倍の速度で時間の進むゲーム内は利用価値が高い。
社会人の会議用のプランとかもあるらしい。
特別会議室は完全に隔離して、運営からも中の様子を確認できない仕様らしい。
大事な会社の秘密を他社の製品内で話すのかねぇ・・・その為の契約があるらしいけど。
ロビーでゲーム内掲示板を確認していると、ケンタがログインしてきた。
【チッポ】草原の激闘【私のために争わないで】とか言うスレを見つけたとこだったので、タイミングが悪い。俺は仕方なく掲示板を閉じると、
「呼んどいて遅れてログインとはいいゴミぶんだな」
ケンタに嫌味を言ってやった。
「いや、俺電話してすぐログインして待ってたけど、おまえこないからお前んちまで起こしに行ってたんだよ!!」
「はっ?ふざけんなっ!!迷惑を考えろよ!!ただでもネーチャンにどやされたってのに・・・」
マジでバカなのか!朝5時に電話してきたかと思えば、朝6時に家に突撃してくるとか。
いや、今が6時だからこいつが突撃してきたのは5時30分ぐらいか?
ログアウトしたら確実にどやされるな・・・。
「え?お前のネーチャン笑顔で出迎えてくれたぞ?」
「そりゃお前の前だからだろ・・・」
そもそも人前で怒鳴らねぇよ。
それがイケメンならなおのことだろう。例え行動がバカでもだ。
そして、その怒りは俺の方に向かうだろう・・・いや、直接あったんなら怒りは和らいでるかもしれない。
そう願う。
「そしたら、機械はめて寝てるって言うから、ちょっとおじゃまして、ほっぺに迷子ってかいといt・・・ぐふっ」
取り敢えずみぞおち一発・・・油断してたな・・・次は鍵を閉めて置こう。
大きく体に異変があったらアラームが鳴って強制的に起きられるし、現実の体の様子は一応ゲーム機のカメラから見ることができる。
ちっ、角度的に自分の頬を確認できない。
カメラが付いてるのは俺のおでこなのでぎりぎり顔が確認できない。
「ま、まて・・・冗談だ!!」
「当然だろうが、ほんとにやってたらこの程度じゃ済まさねぇ。」
そもそも殴ろうがけろうがちょっと痛い程度だ。
現実に比べりゃたかが知れている。大げさなんだよ。
「で、どうすんだ?外はまだ夜の時間だぞ。今から森に入るのか?」
「お前切り替えはえぇよな・・・昨日そのためにライトの魔術スキル取ったんだろ。この時間なら人も少ないだろうし、採取するなら日付変わってすぐの方がいっぱい残ってるしなっ!」
日付変わったら採取品復活でもするのか?いや、そもそも採取すると減るのか・・・。
そんなところリアルにされても採取場所の独占やら問題が起きそうで怖い・・・自分が栽培する用の素材を早めに集めたほうが良さそうだ。
「ほんじゃ、さっさと行くか!」
ケンタに連れられ森を目指す。
街の中はまだ、街灯などがあったが、門の外は真っ暗だった。
月明かりでほんのり照らされているが、遠くは殆ど見えない。
「ちょっと歩きづらいならライトのスキル使っといたほうがいいぞ?」
「MPの無駄遣いじゃないか?そもそもなんでお前この暗闇を走れんだよ」
足元は見えるが、少し先はほぼ見えない。
草原とは言えちょこちょこ岩があったりする。
あと、戦闘後なのか地面がえぐれていたり・・・。
スキルによっては地面をえぐったり岩の壁を出現させたりするものがあるらしく、戦闘後放置されてる場合も多いらしい。何時間かすれば勝手に戻るそうな。
夜になる前に派手にスキルを試してそのままログアウトでもしたのだろうか?
暗くてわかりづらいが、草原に俺たち以外のPLの気配はない。
草原で出会えるモンスターはチッポぐらいのものだ。
俺はそれしかあったこと無いし、【魔獣知識1】には書いてなかったので初級のモンスターはそれぐらいなのだろう。少なすぎないか?
もしかしたらチッポは戦闘とかをあまり好きじゃない層向けの救済処置なのかもしれない。
無抵抗のチッポを倒せって言うほうがきついと思うが・・・。
キラーアントは普通のモンスター臭いから普通に初級モンスターなんだろうけど。
「あぁ、だって俺【暗視】のスキル持ってるからな。暗闇でも明るく見えんだよ!」
どうだ!!すげぇだろ!ってドヤ顔されても困る。
確かに眼の色が、ほんのり明るく見える。別に暗闇で目が光ってるやけじゃないけど。
「へぇ・・・明るく見えるのか・・・喰らえっパルス!!」
腹立つドヤ顔の前に、杖を突き出し【ライト】を発動させた。
「っく!? めがぁっぁぁぁ!!めがぁぁ!!」
「ふっ・・・、やっぱり明るいとこで使うと余計明るく見えるスキルだったか・・・」
「わかっててやるとかお前鬼だろ!!」
「うっさい、お前がムカつく顔してっからだろっ!ってうわぁ・・・」
杖の光源を頼りに周りを見てみると・・・というか、見えるようになった草原の有様が酷かった。
辺りは焼け焦げ、ところところ斬撃?のあとなのか地面がえぐれている。
そりゃ歩きづらいよな・・・。
所々に、生えてる大岩はこの惨状を囲むように配置されていた。
「ミステリーサークルか?」
ケンタがバカなことを言ってる・・・っと思ったが割りとそんな感じがする。
「大型のモンスターでもいるのか?」
「え?そんなもんこんな街から近くにいねぇと思うけど・・・でもβとの違いか?」
「まぁなんかいたとしても、倒された後だろうけどな明らかに戦闘後だし」
「俺も戦いてぇな!!」
「そんなウキウキされても、俺は一人で逃げるからなっ。」
「何だよ!こんな規模の戦闘今のレベル帯じゃ規格外だぞ!!確実に強敵じゃん!!」
「だからだよ!!そもそもこんな戦闘後・・・いや、複数人でボコったのか?うーん、どっちにしろパスだ。さっさと森いくぞ。」
「森にいたらいいなっ!」
「急に元気になりやがって・・・」
ケンタは戦闘が好きらしい。
まぁVRゲームの戦闘は普段の自分とは・・・人間とはかけ離れた動きとかできるし気持ち良いのはわかる。
俺もゲーセンのVRマシンでよくケンタとバトったもんだ。
まぁ近距離戦だと全敗だったが。
戦争もので罠を仕掛けたり長距離射撃できるタイプなら負けねぇんだけどなぁ。
それでも最近は目で見てから避けるとかしてきて危なかったが・・・。
当分ゲーセン行くことないだろうが、次やったら負けんじゃないだろうか。
そんなバトルジャンキーのケンタに付き合って怪物戦なんてしてたらきりがない。
採取を忘れないように気をつける必要があるな・・・。
戦闘痕は草原の一部しかなかったらしい、いやあそこで戦闘があったって証拠か・・・。
取り敢えずスクショを取ってその場を後にした。
どうやら、森のすぐそばまで来ていたらしく、すぐに到着した。
「あれ?なんか、あっちこっち光ってんだけど」
「あぁ、もしかして【採取】のスキルとってんのか?光ってるのは採取素材だから、引っこ抜いちまえ。」
光と言っても周りが照らされる光ではなく、輪郭が強調されるような光だ。
暗闇だからめちゃめちゃ目立つ。
言われたとおりに、すぐ近くの草を引っこ抜いた。
「おっ」
結構簡単に引っこ抜けた。
「こっちの草も採ってみろよ」
「ん?あぁ・・・あれ?」
「全然抜けねぇだろ?採取不可のアイテムは引っこ抜けねぇんだ。つっても剣で切れるし破壊はできるんだけどな。どうやっても入手はできねぇんだ。さっき入手した草は袋に入れておいたらどうだ?」
「ふーん、どこまでがリアルなのかよくわかんねぇな」
取り敢えず手に取れた次点で入手は可能なアイテムらしい。
いくつか採取をしていると・・・
「なぁこの草裏に紫の線入ってんだけど・・・名称は薬草になってるけど、他の薬草にはこんなせんないし病気とかあるのか?」
「あぁそれは騙し草だなw その草には【偽装】のスキルがかかってて、名前を偽装してんだ。騙し草の中には毒系のスキル持ちもあるから調合するなら【看破】系のスキル持っといたほうがいいぜ。」
「こんなのが他にもアンのかよ・・・」
「薬草だと思って食ったらすっげぇまずい上に回復しなくて何かと思った事あったな・・・噂じゃ病気系のスキルもあるらしいぞ。見たことはねぇけど」
「植物知識のスキルの中に騙し草あったわ・・・それぞれの特徴と見破り方書いてるけどあとで仕分け前に読む必要あるな。調合知識も確認しとかねぇと危なそうだな」
「いろいろ準備はしてたんだな。ほんじゃもう少し、奥に行こうぜ。この辺夜ならチッポが出てくるはずなんだけど今日は全然見かけねぇし、キラーアントでも出てくれねぇと俺が暇で仕方ねぇよ」
「俺としては何も出ずに平和な採取で終わらせたいんだけどな。まぁレベル上げ必要だしいいか・・・」
「お、言ってみるもんだな。ほんじゃいこうぜ!!」
持続系のスキルは継続時間が終わる前にもう一度発動すると持続時間が伸びる。
ライトの場合は、10分毎に10のMPだ。
俺のMPが10回復するのにかかる時間が4分なので、MPはほぼ満タンだった。
キラーアントと戦闘になっても問題はない。
時折ライトのスキルを延長させておく。
森の奥に進むに連れて採取できる素材アイテムのレベルが高くなっていた。
「あ、レベルアップした。」
「おめっとさん。【採取】のスキルって経験値もらえるんだな。微々たるものみたいだから俺はいらねぇけど」
「お前今経験値いくつ溜まってんだ?」
「まだ1120だな。今日のアント狩りで倍は行く予定だけどな。」
「それ俺も予定に含んでんじゃねぇよな?」
採取で入手できる経験値は1だ。
だが、まだレベルの低い俺にはありがたい。累計経験値64でLv6になった。
「アント倒せりゃ経験値10以上は確実だぞ?上位のアント見つけられリャ100は超えるしな。採取にCP割きたくねぇよ。」
「倒せること前提に言われてもなぁ。俺は堅実にレベルを上げんだよ。」
「PT組んでたら経験値は入るぞ?」
「よーし!アントを見つけたら速攻経験値に変えてこいケンタ!!」
「それでも、戦う気ねぇのか・・・あいつら集団戦学ぶにはちょうどいいんだけどなぁ」
「集団戦って言っても2人だけじゃねぇか」
「いや、1対多の集団戦だ。」
「え・・・そんなもん相手したくねぇよ。ケンタが蹴散らせよ。俺は採取するからっ!」
「お、残念だったな!やっと来たみたいだぜ。【気配探知】に反応ありだ!!」
「なんだそれ?スキルか?」
「あぁ、周囲の生物・・・PC,NPCの位置をマッピングするスキルだ。発動した瞬間の大体の距離と位置しかわかんねぇけどな」
「ふーん、で、どっちから来るんだ?俺後衛で高みの見物したいんだけど。」
「ぶっちゃけ過ぎじゃねぇかっ!? 安心しろっよ!!」
今日一番の笑顔を受けべてケンタは言う。
「もう囲まれてるからっ!!」
もう逃げ場がねぇじゃねぇかっ!!
と、振り返るとキラーアントが飛びかかってきていた。
チッポ関連はそのうち掲示板回の時にと予定しております。