ヘルマン二の部屋
ギルモア:夜には晩餐会が開かれます。
アレン:とりあえず、いつもの部屋で待つとするか。
ギルモア:待って下さい。こちらの方がよろしいかもしれません。
アレン:わざわざ変える必要があるのかよ?
エリサ:ギルモアにはそれなりの考えがあるのでしょう。 彼が間違えたことはないわね。
ギルモア:私は好きになる女性以外は、間違えたことがありませんよ。 少し部屋がはなれてますのでついて来て下さい。
エリサ:あら、どういう意味なのかしら?
ギルモア:深い意味はありません。一夜の恋も夜明けと共に薄れて行ってしまう。
エリサ:寂しいわねー。でも、あなたはおもてになるので、問題ないでしょう?
アレン:そうだぜ!丸太ん棒見たいなあ女かどうかわからねえ奴が、毎日家に来てみろ、溜まったもんじゃないぜ。
ギルモア:丸太ん棒ですか。みてみたいですな。
ギルモア:ある意味、心強いかもね。
ナナンフシ:ピーん
主人公:君は丸太ん棒まで行って無いもんね。某の助。
ナナフシ:ピヨーん!
主人公:新しい伸び方だね?レベルアップした?
妖精:どうでしょうかね。技が増えたというのはは。いい傾向じゃ無いでしょうか。
主人公:技が増えたのか。すごいなぁ。 僕なんか戦いといったら、スライムをぶっ叩いただけだよ。
アレン:お、少年も戦ったことがあったのか?すごいなぁ、虫も殺さないような顔をして。
主人公:確かに殺さないどころか、虫と一緒に旅してますよ。
エリサ:そうよね、有る意味すごいわね。
皇帝:すごいね。
ギルモア:あれ、皇帝陛下!お戻りにならなくてよろしいのですか?
皇帝:だってつまらないもの。なんか良くわからないハンコ押すだけだし。
アレン:あれはつまらんなー、俺も大嫌いだ。
ギルモア:私とアルマスも好きでやってたわけじゃないですよ。それに、ただ押してるだけじゃないんですよ。中身を精査してですね。
アレン:あーやだやだ、あんな小さい文字読んで何が面白いんだ。ヘルマンニの兵法書でも読んでいた方がよっぽどためになるよ。
ギルモア:あなたはその方が良いのかもしれませんね。全部を背負っていたのですから。
アレン:あの時はすまなかったな。しかし、向いてない事を一生懸命やるもんじゃないからな。失敗して取り戻せるもんならいいが。
ギルモア:まあ、予算一桁違ってとんだ騒ぎになりましたからね。
アレン:命だけはだめだ。間違ってはいけない。
エリサ:また、そのこと?あなたっていつもははつらつとしてるのに。その話だと、えらく暗い顔になる。
主人公:復活の呪文とか、生き返らせる魔法とか有るんじゃないですか?
アレン:おいおい、神話の中じやないんだぜ?
エリサ:そうよ、そんな、命を便利に使えるものがあってたまりますか。
ギルモア:魔法ですか。子供の頃にはそういう考えもありましたね。
主人公:え、だってゲームでしょう?
アレン:ゲームだかなんだかしらないが、俺たちはここで生きて、生活を営んでる。それだけだ。
エリサ:魔法ね。あったら良いわねー。
アレン:ああ、そうだな。
エリサ:でも、人口増えすぎて困りそうね。
アレン:そうか、それもそうだな。
ギルモア:そんな夢の中の話は置いておいて
主人公:これ。ゲームじやないのかな?
ギルモア:着きましたよ、さあどうぞ。
エリサ:では、入らせていただきましょうか。
ギルモア:先生、おじゃまします。
アレン:なんか、明るい感じのへやだな。
主人公:あの、ここ、子供部屋?
ヘルマンニ誰が子供だって?
主人公:あれ?どこから声が?
エリサ:あらやっぱり子供。
ギルモア:子供と言えなくもないが、ただの子供ではないぞ。 先ほど、アレン殿が口にされていた、ヘルマンニ先生です。
アレン:なんと!子供じゃないか!
ギルモア:正確には三世ですね。あの兵法書はおじい様が書かれた物です。
アレン:なるどな。
ギルモア: といっても、もう、後半の100ページは彼が執筆した物ですけどね。
アレン:斬新な切り口で書かれていると思ったよ。あの時、この兵法が間に合っていれば、もっと犠牲を出さずに済んだのかもな。
ヘルマンニ:間に合わずに申し訳ない。多分、その頃は父上に兵法を叩き込まれていた頃でしょうね。
アレン:そうなのですね。
ヘルマンニ:兵法を伝授され、その兵法を破る方法を突き詰めて行くことにより、更なるものが生まれて来ます。
アレン:ギルモアはよく爺さんの所にいってたものな。
ギルモア:ええ、色々と教えていただきましたよ。兵法のみならず、働かない上官の動かし方や、狂戦士の活用方法などもね。
アレン:俺は手のひらの上であっちへこっちへと働かされてたのかもな。
ギルモア:ご明察。でも全てその通りとはいきませんでしたよ。誤算も沢山ありました。
しかし、女性の扱い方については、全く役にたちませんでした。おっと、彼の名誉のためにこれ以上は口を閉じておくとしましょう。
ヘルマンニ:じいちゃん、もてなかったからな。 あ、皇帝陛下!ご機嫌麗しく。
皇帝:ご機嫌だよー今日は。アレンもエリサもいるからねー。
アレン:ここは、盗み聞きされることは無いんだろうな?
ギルモア:物事に絶対ということはありませんが、考えうる最善の方法で防御しているつもりです。
アレン:そうかそうか。じゃあ、改めて聞くが、そんなに賢い人なら、なぜあの大臣をのさばらせる?
ヘルマンニ:カーン殿のことですかな?そうですよね。あの方の行動パターン並びに思考の傾向、
それに皇帝陛下や侍女から聞いた話、そして各兵士からも聞いた話しを総合いたしまして、
それをまずオットの提唱した300のリスク管理の項目にあてはめると、
アレン:その話、夕飯までに終わる?
ヘルマンニ:そう言われると思いました。 簡単に申しますと、今は恐るるに足らぬ人物ということです。
カーン:ハックショーン!!誰かワシの噂をしているのかの?
ヘルマンニ:ただし、あくまで彼一人の目算です。ここに不確定要素が絡むと、このリスクが比例的に上がって行きます。
エリサ:どういうこと?
ヘルマンニ誰かと組む、いや、組んだ程度ならば問題ない。しかし誰かに操られているならば、それなりに対処せねば手遅れになりかねません。
主人公:大臣を操るなんて、できるのかな?偉いんでしょー?
ヘルマンニ:お金なんか山程あるでしょうね。 しかし、お金だけでは買えない何か。もしくはお金以上に欲しいもの。いや、お金すら発行できる権利。
エリサ:それって、皇帝陛下の座を狙っているということ?
ヘルマンニ:直接手出しは無理でしょう。だれがそんな君主に誰が付いてきますか?
アレン:まあ、あんなのが皇帝ならば俺がやった方が増しかもな。
アレン殿の皇帝というのもなかなか良い選択なのですよ、何も為されなければ良い神輿です。
力も持っていらっしゃるし、有る意味、護衛要らず。
エリサ:それは護衛代が浮くわね。 アレン、皇帝やる?
アレン:何をおっしゃいますか、皇帝陛下。ここは皇帝陛下以外に適任はいらっしゃいませんよ。
ヘルマンニ:そうなんです。血縁という意味では絶対的に陛下が皇帝であるべきなのです。
アレン:ほらね。
妖精:僕は?
ヘルマンニ: あら、妖精ですね珍しい。んっ?この妖精は、あれ?まさか!
妖精:しぃー!君はわかった見たいね。でも黙ってて。
ヘルマンニ:やっぱりそうでしたか。祖父から聞いておりますよ。遠路はるばる、ようこそおいでくださいました。
妖精:うん。遠かったよ。
ヘルマンニ:あなた様がいらっしゃってるということは、じきにここも荒れますね。何が起こるのでしょうか。
妖精:それはわからないけど、今は物事が動き出すまで静観しましょう。
ヘルマンニ:了解いたしました。ヘルマンニ家は、あなたから授かった知恵を元に躍進いたしました。
妖精:なんか役に立ったみたいね。よかったよ。
ヘルマンニ:いつでもお迎え出来る様に角砂糖も用意してますので、好きな時にお召し上がり下さいませ。
妖精:うん。ありがとう。
アレン:何をこそこそ話している?
ヘルマンニ:いえ、珍しくてついつい独り言を。
ギルモア:あはは、独り言が多いな、ヘルマンニ先生は。
ヘルマンニ:そういえば、聞いていませんでしたが、なぜアレン殿はここに?
アレン:あー、その話しなきゃならんかったな。 実はな、ドラゴンを退治しようと思ってな。
ヘルマンニ:ドラゴンですか、いくらあなたでも一人では無理でしょうに。
アレン:いや、一人で行く気はないよ。
ヘルマンニ:そうでしょうね。
エリサ:私もいくよ。
ヘルマンニ:エリサ殿ということは、砲兵も連れていかれるのですか?
エリサ:それはないよ。連れて行こうかと思ったのだけどね、アレンが守りを手薄にするなってね。
ヘルマンニ:アルマス殿は、ご一緒じゃないのですね。
アレン:そうだな、奴には守備隊長代理もやってもらってる。砲兵の隊長代理もね。
ギルモア:彼の能力なら、その位わけないでしょうね。兵士達にも良い訓練になるでしょうし。
アレン:そうだな、あいつは人に教えるのがうまいよな。
エリサ:そうね、なんで砲の照準合わせるのまでうまいんだろう?要領が良いのよね。
ギルモア:彼はなんというのかな?いつも冷静ですよね。
主人公:いつもは冷静で冗談ばっかりだけどね。
エリサ:まあ、あの子の戦場の姿をみたら、一ヶ月はうなされるわね。
主人公:そんなにすごいの。
エリサ:剣さばきや形相だけじゃないんだよねー、色々と、ね。
アレン:まあ、戦場には魔物が住んで居るからな。
エリサ:こんどはどこが戦場になるのかしら?
アレン:おそらく、晩餐会の会場か。 血は流れないかもしれないがな、
エリサ:舌戦じゃ負けないわよ。
アレン:皇后様も居るんだぞ、軽率な発言は控えろよ。
エリサ:了解。
ギルモア: 私も出来る限りフォローしますが、ハメを外し過ぎぬよう、ご留意願いますよ。
皇帝:そんなにかしこまらなくても良いのになー。
ギルモア:そんなことありませんよ。皇帝陛下の御前ですゆえに、格調高いお振る舞いをお願いせねば。
皇帝:難しいことはわからないけど、頼んだよー。僕は調理場のマリーに角砂糖もらってくるね!
ヘルマンニ:ありがとうごさいます。予備に二つ程余計にお願いします。
主人公:カマの助はどうするの?
ギルモア:庭で彼なりの狩りを楽しんでもらいましょうか。
主人公:棒の助は? 何食べるんだろうね、ナナフシって。
ヘルマンニ:葉っぱですよ。たたし、この種類だと、薔薇の葉しか食べないかもしれません。
皇帝:薔薇なら中庭にたくさん生えてるよ。
ギルモア:それじゃあ、食事して来ていただきましょう。
主人公:じゃ、二匹とも、一緒に行こうか。
皇帝:私も参るぞ。
ギルモア:皇帝陛下。 ならば私も
皇帝:皆はついて来ないでよい。男と男の話をしたいのだ。
ギルモア:わかりました。
皇帝: では、行くぞ少年。こちらだ。
主人公:あ、ななふし!そんな皇帝陛下に気軽に!
ナナフシ:ピヨーん
皇帝:よいよい。そうだ、お前は、ここに、居てくれないか?
主人公:そんな頭のてっぺんに、ププッ、角が生えてるみたいてますよ。
皇帝;よし、笑ったな。それで良い。堅くなる必要などない。我と其方はもう友達だ。
ハナカマキリ:カマー!
主人公:カマの助もな。
ギルモア:気をつけて行ってらっしゃいませ。
カーン;なに、皇帝陛下陛下と少年が二人で?お供は?誰も居ない? これはもしかしてチャンスと言うべきか? 行くぞ!
兵士:どちらへ
カーン:皇帝陛下の元へだ
兵士:今からですか、晩餐会がもう間も無く開かれるかと。
カーン:来いと申しておる。黙ってついて来い。
兵士: はっ!