砦内
<砦の中>
アルマス:ヒョイ、ヒョイ、ヒョイ、あーん、まだ足の運びが悪いですね、
これじゃバランスとれませんよ。チョイっと!
兵士:ああっ!落ちるー!
SE ザブン!
アルマス: そんで、こっちは、こちょこちょっと!
兵士:うひひひーひゃめれくらさいー うわー!
SE ドスン!
アルマス:やれやれ、戦場では何があるかわかりませんからね。
兵士:あ、隊長がお戻りになられた。副隊長!アレン様がお戻りに。
アルマス:
はいはい、聞こえていますよー、そんな大声を出さなくても。はい、右の脇ががら空きですよ。
兵士:ぐは!
アルマス:ほら、その足の運びだと、こう来られたら、ね、転げちゃうんですよ。
兵士:あらららーうわぁー。
アルマス:
それじゃ、そのまま続けていてください。
君、私の代わりを頼む、剣はだね、そうだな。私のを使ってくれ。ほれっ!
兵士:はいっ!(受け取って)うわっ、何だこの重さ。こんなのを軽々と振り回していたのか。
アルマス:ごめんねー、子供の練習用の軽いやつでー
兵士:これで軽いやつって、いったいあの方は何者なんだ。
アルマス:あれはアレンが子供のころのやつだけどね。
<砦宿舎、門前>
アルマス:おかえりなさい、隊長!体調はいががですか?ぶふっ 笑
アレン:なにつまらないこと言ってるんだよ!
アルマス:だってーねー、隊長と体調がかぶっててぇー
アレン:そんなのつまらないってんだよ!
アルマス:おー、エリサ殿。ご機嫌麗しく、お姿も麗しく。背伸びた?
アレン:もうあっちに行ってやがるな、すばしっこい。
エリサ:三日前に演習で会ったばっかりだろ?伸びてたまるか?
アルマス:おーおチビちゃん。はじめまして、アルマスだよ!よろしく。
主人公♂:この前の不審者の正体です。よろしく。
アルマス:こんな可愛い不審者なら、どうぞ毎日いらしてくださいな。おもてなしいたしますよ。
妖精:へへーん、僕もいるよ!
アルマス:妖精じゃないですか、珍しいですね。 あら、胸ポケットに花が!おしゃれだねえー。
ハナカマキリ:カマ!
アルマス:あーらーハナカマキリなんですかぁ!騙されちゃいました!
ハナカマキリ:カマーカマー!
エリサ:喜んでるみたいね。
妖精♀:良かったね、カマの助!
主人公:いつの間にカマの助になったんだ?お前。
アルマス:
カマの助か。良い名だ。しかも、珍しい色だね。
この辺りは赤の色素を多く持つ花が多い。 まるで先の戦いで流れた血の色のように。
主人公♂:カマの助、昨日まで紫だったのに、今日は青いね。
妖精:何事も日々精進ですよ。ハナカマキリもレベルアップー!
アルマス:で、なんで枝が生えてるの? あ!動いた!
妖精♀:ナナフシ、お前もいたのかぁ? 名前きめなきゃ!えっと、棒っきれ!
主人公:もう少しいい名前無いの?棒の助とか。
妖精:そんじゃ、棒の助で。
ナナフシ:ピーン!
主人公:あー枝のフリしてる。うまいもんだね。
アレン:
そんで、こんな時間に戻って来たのはな、
明日、ちょっと城へ行ってくるんだが、また留守番頼めるか?
アルマス:ええー!私を置いていく気ですか?
アレン:すぐ戻ってくるよ。 そのあとは、まあ、少し長くなるかもしれん。
アルマス:なるほど、事情がありそうですね。 ふーん、どうやらその様子、腹を決めたようですね。
アレン:ああ、決戦だな。
アルマス:いよいよ娘さんを下さいと。
アレン:誰がエリサを嫁に!
エリサ:んっ? ポーッ!
アレン:なに赤くなってるんだ?
エリサ:何かお嫁さんだって。
アレン:言ってねえよ。
アルマス:長くって、新婚旅行でしょ?
アレン:
だいたい戦いにいく前にな、 「この戦いが終わったら結婚するんだ。」
なんて言ったら、死亡率が八割高くなるんだよ!当社比でな!
エリサ:それはまずいわね。 それなら、今から結婚式挙げましょう。
アレン:あのなー。
アルマス:冗談は置いて置くとして、 お城ですよね、これを持って行ってくださいよ。
アレン:おまえの認識票じゃないか。
アルマス:今日から君がアルマスだよ!
主人公♂:んっ?くれるの?
アルマス:貸すだけだぞ。
エリサ:あら、アルマスぅ、可愛くなっちゃって。
アレン:そんじゃ、訓練頼むな!
アルマス:しかし、強すぎるってのも、困りもんですね。ふふっ。 わかりましたよ、了解しました。
アレン:あとで果実酒おごるからさ。
アルマス:私はあんまり好みません、あのお酒は大味で。メリーネでお願いします。
アレン:分かったー皇帝に頼んでみるわー。
アルマス:よろしくお願いしますよ。それでは、今夜は宴ですね、結婚式の前夜祭と行きますか!
アレン:だから誰が明日結婚するんだって!
エリサ:そんじゃ、いつにする?
アレン:それはやめてくれーってさっき。
アルマス:面白い人たちでしょ?
主人公:そうですね。愉快な人たちです。
アルマス:ほんと、隊長は素直じゃないな。ある意味、素直すぎるのかなあの反応じゃぁね。
主人公:そうですね。
妖精:なんだかんだで、気になっちゃってるの見え見えだよね。
(遠くで)
アレン:だからそんなこというなって、大体お前は昔から!
エリサ:あーもう素直じゃないわね。だから早く私をお嫁さんにしなさいよ。
アルマス:あれはあれで、幸せなのかもしれませんね。おい、訓練はこれで終わりだ。
明日は両隊長の新たな出発だ。みんなで祝おう。
兵士:お呼びですか?
アルマス:うん、呼んだよー。今から大砲の演習場までひとっ走りお願いしたい。一番早い馬を使っていいよ。
兵士:それで、何を伝えればよいので?
アルマス:隊長殿達の結婚式前夜祭だとね。
兵士:本当ですか?
アルマス:本当かどうかは重要じゃない。勘違いだったって澄ませばいいことだよ。
兵士:わっかりました!すぐに行ってまいります。ヒャツホー!
<砦内、宴>
砲兵:おめでとうございます、隊長!
エリサ:あの、なんでうちらの砲兵まで来てるんだ?
アルマス:ああ、エリサ殿も関係することであれば、当然、その部下もお祝いに参加するべきでしょう。
砲兵:祝砲だ、祝砲ならせ!
SE ドン!
アレン:うるさいぞお前ら、静かにしやがれ!ったく、酒がまずくなる。
アルマス;そんなこと言っちゃだめだよ、みんな祝ってくれてるんだから。
それにxxxxx(かき消される)
SE ドン!
アルマス:うっるさいなぁー!今のタイミングで砲をぶっぱなしたの、誰だ!出てきなさい!
アレン:お前も怒ってるじゃないか!
アルマス:人の言葉を遮るなっていうんです。本当にこいつらはデリカシーってものが。
エリサ:二人とも怒るな。私の部下がやったことだ、私が全責任を取る。
アレン:どうやって?
アルマス:どうするんですか?
エリサ:こうやってだよ。chu!chu!
アルマス:うわー、婚約者を前に私にまで。うれしいですが。
アレン:おいおい、誰が婚約者だ!って、なにしやがる。
エリサ:いやぁーこれが今の精いっぱいだ!あぁ、アレン、なにを拭き取ってるの?
砲兵:なんだぁ?俺たちの隊長が女ってことに、何か文句があるのか?
兵士:おいおい、俺たちの隊長は女にはだらしないがな!すごいんだぜ!
砲兵:おう、こっちは女でも隊長張れるくらいすごいんだぜ!
兵士:なんだ、やるか?
砲兵:おう!それはこっちのセリフだ!
主人公:あわわわ、止めなくていいんですか?隊長のお二人とも。
アレン:ああ、ほっておいていい。いい訓練になる。
エリサ:砲兵っていったってね、接近戦もできるんだよ。なんのために剣を提げていると思ってるのさ?
大砲を守るためには命を懸けるんだよ。
兵士:俺たちはあのアレン様だぞ!
砲兵:俺たちだってあのエリサ様だぞ!
兵士:名前を聞けば騎士団でさえな!
アレン:おい、その話は辞めろ!詰まらんことで争うのはかまわんが、いい加減俺を巻き込むな。
兵士:す、すいません。
砲兵:申し訳ありませんでした。
兵士:おい、あっちで飲みなおそう。
砲兵:ああ、そうだな。
アルマス:隊長、まだそのことにこだわっているのですか?
アレン:ああ、もう終わったことだ。俺は守備隊の隊長だ。若い頃の事は、もう思いでの中だ。
エリサ:そうね、若かったわね、あの頃は。そして、めちゃくちゃだった。けど、楽しかった。
アレン:さて、昔話はまたこんどだ。明日の打ち合わせでもしようか。
城へは俺が先に言って話をつける。あと、対ドラゴン用の作戦も綿密に練る必要がある。
エリサ:そうね、一筋縄じゃいかないわね。ドラゴンの鱗ねえ。いつそうのこと、砲兵連れて行く?
アレン:おいおい、守りを手薄にしちゃいけねえ。俺らの仕事は、国を守ることだ。
エリサ:そうだね。ま、考えておこうかね、最悪の事態を想定してね。
アレン:そうだな。
<城へ出発>
アレン:あれ、いつもの場所においてるか?
アルマス:おいてますよー!というか、あんなもの、他に誰がもっていくもんですか。
エリサ:たまには砲兵の所も見に行ってやって。
アルマス:見るだけですよ?大きな音は苦手なのですよ、私は。デリケートな部品で構成されているので。
エリサ:まあ、それでいいわ。よろしくね。
主人公:本当にみるだけでいいんですか?
エリサ: あんなこと言ってるけどね、ちゃんとやってくれる人よ。アレンより、ずっとしっかり者なんだから。
アレン:よし、準備は整った。ひとっ走り行くか!
主人公:うわぁ!なんて、大きな剣。あんな物振れるの!
エリサ:あちゃー、よりによってアレ持って来たか。 あいつ、本気ね。
アレン:では城へ向かうぞ。 エリサ、馬車あつかえるよな?
エリサ:その辺の奴らの十倍位はね。
アレン:謙遜してくれちゃって。よし、坊主達をのせてやってくれ。俺は 一足先にこいつで行ってるからな。
エリサ:ファイブスターね、久しぶり。 元気いっぱいだね、今日も。
アレン:相変わらず元気過ぎてな、困ったもんだ。こいつは俺とエリサしか乗りこなせないからな。
アルマス:僕でさえダメだったんだからね。
エリサ:もう一人いるでしょ?
アレン:奴はまあ、当然といえば当然。カウント外だな。
主人公:そんな馬を操れるなんて、誰なんですか?
エリサ:帝国騎士団団長
アレン:あいつの名前なんか言わなくていいぞ。そのうち会うことになるだろう。ほら、行くぞ!
エリサ:ははは、わかったよ!
主人公:それじゃ、隊長をお借りしますねー。
妖精:いってきまーす。
アルマス:はいよー、じゃあな。エリサ殿も、気を付けて。
アレン:行くぞ!ハッ!
エリサ:そんなこと言って、騎士団は皇帝の護衛を務める精鋭部隊だぞ。
顔を合わせざる得ないだろ?皇帝に謁見するのだから。
アレン:ああ、言われなくても分かってるさ。ただ、なんか申し訳なくてな。
エリサ:だろうな、元帝国騎士団団長、アレン殿。
アレン:おい、その呼び方はやめろ。昔の話だ。
主人公:えええ!そうだったんですか!
アレン:おいおい、そんなつまらないことは、話さなくてよかったんだけどな。
エリサ:ええ?またそんなこと言って。今だって精鋭部隊じゃないの。
元騎士団のやつらのうち、アレンについてきた者達が多数。アルマスもその一人。
アレン:剣の腕で言えば、奴にはかなわないないんだがな。ほんと、奴といったら俺以上の騎士であり狂戦士だったよ。昔はな。
主人公:えーあの穏やかで軽い人が?
アレン:そうだな、今はそんな感じだな。いや、それは昔からだな。
主人公:あ、そうなんですね。
アレン:戦場ってのは、正気でいられる方が珍しいんだ。
奴は戦場に行くと本能的に血の匂いをかぎつけ、本当に狂気を帯びる。
一度そこに陥ると、止めるのは大変なんだ。
エリサ:ふふっ、苦労させられたわね、あの子には。
アレン:まぁ、しかし、あれだけ心強い戦力も他にはいない。
エリサ:ドラゴン退治ならば、ほしい人材ではあるんだけど、そのあとがね。大変だから。
アレン:まぁ、力を借りないで置く方がいいこともある。
アルマス:くしゅん!また私の話をしていますね、あの二人。
アレン:ファイブスターでさえ、恐れて走り出せないんだ、奴が乗るとな。
さーて、昔話はこれまでだ。少し、これからの話もしないといけないな。
エリサ:そうね、皇帝にドラゴン討伐の許可をもらわなきゃね。
アレン:皇帝はいいんだ。だがな。
エリサ:あの大臣ね。
アレン:気をつけろ、いつどこから、毒矢が飛んでくるかわからねえぜ。
エリサ:そうね、警戒しておくわ。
アレン:坊主のこともよろしく頼むな。
主人公:僕は僕でなんとかしますから。
妖精:僕もいるよー!
エリサ:心配しないで、ぼくちゃんのことは私が守るからね。
主人公:うわ!なんか子供扱い全開だ。
エリサ:だって、子供でしょ?ねっ?
主人公:はいー。
アレン:そんじゃ、ゆっくりきてくれ、中でまた会おう。
エリサ:任せておいて
アレン:行くぞ、ファイブ!ハッ!