妖精登場
@妖精登場!
妖精:なんだかんだで、最初に仲間にしたのは、ハナカマキリだった。
主人公:これ、なんだー!肉食とはいえ、戦闘力なさすぎるだろう?
いや、確かに花の中から見つけたよ、「あ、ハナカマキリだ!」ってさ。
でもこれはいくらなんでも心細いよ。はっ!このナレーションは、どこから?
妖精:ほらほらーここだよー。
主人公:ぼんやりとした金色の光をまとった何か!まさか、妖精か!
妖精:そうですよ。よいしょっと。はじめまして、妖精でございます。
主人公:妖精ということは...道を教えてくれたり、回復してくれたり、
経験値を二倍にするとかやってくれるんだろ?
妖精:そんなこと出来るわけないだろ!自慢ではないが、私は下級の妖精なのだよー。
主人公:妖精に上級とか、下級とか、あるんだ?
妖精:よく、エルフの王様が居たりするだろ?だから当然、下級があってもおかしくないよね?
主人公:なるほどねー。一人で王様名乗ってたら、バカみたいだもんな。
妖精:ま、そんな感じだ。で、昇級試験を受ければ、少しずつ級を上げて行けるわけだ。
主人公:よし、じゃあ、僕をバリバリとパワーアップさせて、君もレベルアップ!
妖精:だから、下級は何も出来ないんだって。あ、!出来ることあったー!
主人公:ほら、やっぱりあるでしょー? 妖精:フレーフレー!
主人公:応援? 妖精:そうです!応援することです!こうかな?こうかな?
主人公:うーむ、今の所は役立たず…か?
妖精:これだな!このボーズみてください!かっこいいとおもいませんか?
主人公:うーん、ごめんね、あんまり興味ないかな。
妖精:そんなー!元気でたでしょ?
主人公:出たよー!ほらほら、ここ見て!ゲージ満タンだぜ!
妖精:よーしよーし、これで行こう!
主人公:あー、とりあえず、目立つと色々面倒になりそうだから、胸ポケットに入ってて!
妖精:はーい!了解!
主人公:さて、これで少しは、心強い仲間がふえたかな…どうやってドラゴンに勝つんだ?これで。
あれ、少し日が傾いてきたかな?お腹もちょっとすいてきたかな。
<宿屋を探す>
主人公:この世界にも夕暮れがあるんだねー
妖精:日が昇ってまた沈む。そして自然の営みが、季節が流れる。
主人公:そして今日はどこで眠ればいいんだろう?
妖精:へ、寝るとこがないの?
主人公:
こういう時は宿屋ってものがあるはずなんだよ。
始まりの村なんてものすごく安い宿が用意されてるはずさ。
妖精:大体、INNって看板が立ってるはずだよね。
主人公:そうなんだろうね、あったあった。すいません泊めてください。
宿オーナー:お一人様でしょうか?
妖精:僕も、んぐっ!
主人公:一人ですよ、見ての通り。
ハナカマキリ:カマ!
宿オーナー:ハナカマキリは別料金ですけど、よろしいでしょうか?
主人公:え、まさかそんな!本当だ。
宿オーナー:お一人100ゴールド、ハナカマキリが2000ゴールド。
主人公:ハナカマキリの方が高いんだ!
宿オーナー:冷やかしかぁ?いやなら出て行ってくれ!
主人公:あーおいだされちゃった、このままじゃ、いったいどこで眠ればいいんだよぉ。
宿主人:
お!なんだ、坊主。こんなところでなにうずくまってんだ?
道に落ちてる物なんか食べちゃだめだぞ。
主人公:そんなことしませんよ。こんにちは。
宿主人:
こんにちはっていってるが、もう、こんばんわの時間だぞ。
早く家に帰らないとお母さん心配するだろう?
主人公:あ、いやぁおかあさんは。
宿主人:おっと、悪いこと聞いちまったかな。あああぁ、しょうがねえな、うちへ来い!
主人公:でもお金が。
宿主人:
金の心配なんか子供がするもんじゃない!
そういうことは大人に任せとけ!でもかあちゃんがなぁ。
主人公:かあちゃん?
宿主人:
ああ、なんでもねぇ、心配するな!なんとかなる。
うちはすぐそこだ、ちょっと歩きながらでも話そうか、
買い出しの途中なんでな。そんで、ほれ。
主人公:何ですかこれ?
宿主人:昼の残りだけどな、良かったら食ってくれ。
主人公:あぁ、ちょっと乾いてるけど、パンですね。はむっ!
うん、おいしい!だけど、ちょっと喉乾くなぁ。
宿主人:お、そうか、ちょっとまってくれ。この店だ。こんばんわー!やってるかい!
居酒屋:おお、やってるよ、今日は早い時間からお越しだな。いつものやつでいいかい?
宿主人:いいや、今日は酒を飲みに来たわけじゃないんだ。ミルクを瓶に詰めてくれるか?
居酒屋:なんだ、酒は辞めたのか?
宿主人:そんなわけじゃないんだよ、ま、ちょっとな。色々とな。
居酒屋:ま、お前のことだ、また道でうずくまってる少年でも助けてるんだろ?
宿主人:ああ、そんなとこだ。
居酒屋:まぁほどほどにしておけよな、また、家の物盗まれて逃げられちまうぜ。
宿主人:
そんときゃぁそん時だ。また稼ぐさ。
大人ってのはな、どうしようもない、絶望に落ちてしまった子供たちに、
色々な手助けをしてそこから救ってやる必要があるのさ。
なに、金で買えるものはまたいつか手に入るだろ。
金があっても手に入らないもの、戻ってこないものってのがあるんだよ。
居酒屋:おーい饒舌だな。ほんとに酒のんでないんだろうな?なんなら一杯おごるぜ!
宿主人:おお、あとでな。じゃぁ、このミルク代は付けといてくれ。
居酒屋:このくらいケチる俺だと思うのかい?おごるよ。
宿主人:悪いな、恩に切るぜ。
居酒屋:あんまり一人で抱え込むなよ。あと、女将さんにもよろしくな。
宿主人:
はいよー、伝えておくよー。
よいしょっと、またせたな、確かにパンだけじゃ喉がつまるよな。ほれっ。
主人公:ありがとうございます。あぁ、パンにはミルクが良く合いますね。
宿主人:
昔々もこういうことがあってな、もっともあの時はミルクだけだったけどな。
そんでな、まぁ、いろいろあって、そいつもうちを出て行ってしまったよ。
おっと、ついたついた、ここだ。
主人公:INNの文字が入ってる看板、だけど、かなりくすんでますね。
宿主人:
いあや、まぁな、うちも宿屋の端くれなんだけど、本当に端っこだからな。
まぁ、値段の安さと、めしの上手さだけはどこにも負けないぞ。
さて、と、かあちゃん、今帰ったよ!
女将:あんたぁ、いつまで待たせるんだい!いったい今何時だと!ほぉ?あんたは誰だい?
主人公:こんばんは。
宿主人:ちょっとほっとけなくてな。
女将:
ま、いつもの事だろうね。わかってるよ、深く聞かないさ。
それより、ちゃんと野菜と肉仕入れて来たんだろうね。
宿主人:ああ、ばっちりだよ!そんでさ、これ、ついでに買ってきたよ。
女将:
なかなかい干し肉だねー、酒の肴にはもってこいだろうね。
さ、これで一杯やりたけりゃ、早く夕飯作りな!
あんたも、ぼさっとしてないで、こいつの皮でも向いてな。
主人公:皮むきですか、やった事ないなぁ。
女将:なあに、簡単なもんだよ。 コツはナイフの方じゃなくて芋の方を動かすのさ。
主人公:こ、こうですかね?
女将:なかなか飲み込みが早いね!いい、料理人になりそうだ。
主人公:いえ、料理人には。
女将:言ってみただけだ。ならなくてもいいよ、なりたい物になるために、今は遠回りしておきな。
主人公:はい、わかりました!
女将:よーしよし。さーて、肉と魚を捌くよ!今日も美味しいものつくるからねぇ!
<間>
女将:さて、できたものから運んでおくれ。
<宿屋食堂にて>
石工夫:なんだー、新しい人雇ったのかい?しかしえらく若いな!
宿主人:いやーね、まあ、ちょっとな!
女将:それ以上聞いたら、この揚げ物は無しだよ!
石工夫:それは困るぜ!わかった、もう聞かないよ。揚げ物なくちゃ、チカラがでないぜ。
女将:
だろう?人には事情ってもんがあるからね。
人の人生を共有する覚悟がないのなら、あまり深くきくもんじゃないよ。
石工夫:
そうだな、女将さんの言う通りだ。 しっかり働いて。美味しい物食べられればいいや。
しかしなあ、力付けても、あの石壁じゃあな。
熊位は防げるさ。しかしドラゴンがまたきやがつたら、あんなもん紙と同じだよ。
主人公:そんなに強いんですか、ドラゴンって!
石工夫:
ああ、でかくて強いなんてもんじゃないよ。あれは、最強というやつだ。
帝国騎士団もお手上げの強さなんだよ。
主人公:ふぇー、そんなのを倒さなきゃならないんだ?大変過ぎるー
女将:お、おい、ドラゴンを倒す気かい?お前さんがかい?
主人公:そうですよ!すぐにはむりですけどや。
石工夫:ハハハハ、若い者は夢があっていいな!
主人公:でも、やらなくちゃならないんです。
石工夫:
お、悪かったな、笑ったりして。 その位大きな夢をもってればいい。
そうすればもしその一割しか叶わなかったとしても、その一割ってのは小さい夢の何倍も大きなものになるよ。
主人公:ありがとう。夢は大きくもっておきます。
石工夫:
俺も帝国騎士団にあこがれたもんだった。 村を守りたくてな。
だが、今は石壁を終了する事で村を守ってる。
自分なりの目的の達成方法ってものがあるもんだよ、この世の中。
主人公:自分なりの達成方法ですか。
石工夫:
帝国騎士団はな、簡単には入れないんだ。
国中の力自慢や賢いやつが集まってくるんだぜぇ、その中から選抜されるんだ。
この国も今は平和を保ってられるが、これも隣国を牽制できるだけの軍隊を持っているからだ。
ドラゴンさえいなければ、この国を防衛する以上に有り余る軍隊の保有数なんだろうけどな。
主人公:今も募集してしているんでしょうか?
石工夫:
募集してるだろうよ。ま、優秀な奴はどこにいても重宝されるもんさ。
ただ、時には疎まれることもあるもんさ。特に団長様ともなるとな。
主人公:帝国騎士団の団長ですか、とても、想像の及ばない世界ですね。
石工夫:これは噂話でしかないんだがな
女将:
はいはい、そこまでだよ!子供相手に何話してるんだい。
人のうわさ話するくらいなら、自分が噂になるぐらいの働きをしてみな。
絶対壊れない防壁をつくるとかね。
石工夫:そういわれちゃあやるしかないな!絶対壊れない防壁か。どうやればいいんだ?
女将:ほら、そんなことじゃ考えがまとまる頃に揚げ物が腐っちまうよ。
石工夫:おう、そうだな。まずはこちらをいただくとしようか。はむ、うむ、うん!やっぱりこれだなぁ。
女将:
あんた、もう上がって良いよ、部屋は適当なところを用意しておいたからね。
階段上がって突き当りの左の部屋だよ。
ちょっと近くにボイラーがあってうるさいかもしれないけど、夜には止まるからぐっすり眠れると思うよ。
主人公:
わかりました。ありがとうございます。
えっと、階段昇ってっと、突き当たって、左、この部屋だな。
うん、ちょっと小さ目だけど、寝るところがあるだけでも感謝しなきゃいけないね。
よっと!ああ、ベッドもふかふかだねぇ。なんか、疲れたなぁ。zzzz
<宿屋の部屋にて>
主人公:ふーん、ムーン!(うなされている)
妖精:どうした?ムーンとは月のことだぞ!
主人公:そんな事はどうでもいい!はっ!なんか、悪い夢見てた気がする。
妖精:おいおい、なんでも夢落ちで終わらせるのはよくないぞ。
主人公:はっ!ないっ!
妖精:手にペンダントが残ってたりしないぞ。
主人公:あ!夢で咲いていた、綺麗な花が手のひらの中に…!ハナカマキリ!
ハナカマキリ:ムギュー
妖精:カマが潰されかかってるぞ!早く緩めてやつたらどうだ?
主人公:おー唯一の戦力がー!
ハナカマキリ:カマ!
主人公:これか?
ハナカマキリ:カマー??
妖精:仲間を落胆させてどうする?そんな戦術があるRPGがあったか?
主人公:いや、仲間に罵声を浴びせる戦術はなかった。浴びせたい場面は山ほどあったけど。
妖精:今がその時ではないだろ?
主人公:まあ、それはそうだが。
妖精:ハナカマキリに謝った方がいいぞ。
ハナカマキリ:カマーカマー!
主人公:ごめんよ、ハナカマキリ。
ハナカマキリ:カマ! 妖精:あら、もう花瓶の草花に登ってほぼ同化してる。
主人公:さすがだな!これで蝶々も騙されてさぞやカマの餌食に。って、相手はドラゴンだぞ?
妖精:そうだよなー花の造形がまだ未熟か!
主人公:そうだよな、花弁の形が…って、問題はそこじゃなくない?
妖精:花の蜜の香りがいまいちかな?
主人公:うーん、いや、あのなんというか、 ドラゴンの鱗にあの鎌でダメージ与えられると思う?
妖精:うーん、撫でるくらいなら…できるかもね。
主人公:撫でてって懐かせる気か?無茶すぎるだろ。
妖精:やって見なければわからないさー
主人公:やって見なくてもわかるよ!
妖精:最初からあきらめたらだめだよ。
主人公:でも、何とかなるなんて他人任せにはしないよ。何とかするんだよ、自分でな。
妖精:うん、なんとかしよう、みんなで、なんとかしよう。
主人公: みんなって、これだけの人数で?
妖精:おいおい、これだけっていうのはね、まだ早いさ。これだけなんだけど、これからなんだよ。
主人公:うん、これからだよね、道はどんどん広がっていく。
妖精:君が知らない何かをを始めるたびに、知らないどこかにたどり着くたびに。
いろんな道が開けていくん、そして色んな人に出会うんだ。
主人公:そうだね、いろんな人に出会うんだろうね。明日はどんな人に出会うんだろう。
妖精:どんな人にであってもいいのさ、そして何かを学ぶんだよ。
教師でもあるし反面教師でもあったりするんだろうけど、それでもいいんだよ。
主人公:反面教師かぁ。
妖精:強い人ってのは世の中にもちろんいる。天才って人ももちろんね。
でも、そのほかの人たちだって、それぞれの役割をもってるはずなんだよ。
人はその役割に気付かない、気付けない。でもね、絶対にその役割を果たす。
主人公:僕はどんな役割を持っているんだろう?
妖精:なんだろうね。でも僕と出会ったこと、ハナカマキリと出会ったことも、
きっと意味があるんだよ。答えを急がないでね。
主人公:うん、ありがとうzzzz
妖精:もう寝ちゃったか。きっと君は運命の子なんだよ、僕がそうだったようにね。
< 出発の朝>
宿主人:おはよー坊主!
主人公:おはようございます。
宿主人:昨日はよく眠れたか?
主人公:はい、なんかいつの間にか眠っちゃってて。
宿主人;まぁ、疲れてたんだろうな。でも、よく寝たってことは今日の活力をしっかり回復したってことだ。
主人公:そうですね、なんかすっきりしました。
宿主人:
人間はな、体力だけでは上手く体は動いてくれないもんだ。
気持ちがついていかないとな、体は結うことをきかなくなっちまう。
良く休んで、時には心を洗濯していくんだ。そうだな、西の山なんか今が一番きれいな時だ。
命の洗濯にはもってこいだし、騎士団や軍隊が往来してるから、変な輩も動物もでない。
主人公:わかりました、西側ですね。
宿主人:それから、聞いたぜー、なんでもドラゴンを倒しに行くとか行かないとか。
主人公:行きますよ!必ず倒します。いずれね。
宿主人:(小声 )あと二十才若かったらなー、俺も付いて行く所だつたが。
女将:あんた、手止まってるよ!いつになったら二十人分の朝ごはんが完成するんだい!
宿主人:すまんな、今は魔王よりも怖いかあちゃんが居るからな。
女将:油売ってないで、こっちの油で揚げ物早くやんな! お客さんカンカンだよ!
宿主人:何もしてやれないけどな、これ、持ってけ!うちの自慢の最高級ハム、丸々一本だ!
女将:待ちな!
宿主人:かあちゃん、いいじゃねえかこのくらい。
女将:それじゃ私がケチみたいじゃないか。 あんたは黙って揚げ物をやんな!
宿主人:はい!
女将:坊や、このおにぎり持って行きな!これでも魂込めて握ったものだよ。
宿主人:岩石くらい硬くなってるかもな!
女将:あんたは黙ってな! いいかい、挫けてもいいから、必ずまた、歩きだすんだよ。
あんたは大器晩成だろうからね。いずれ、芽が出て大きくなるさ。
主人公:ありがとう、おばさん!
女将:おばさん?今の話が全部無かったことになりたいのかい?
主人公:あっ!お姉さん!
女将:かっかっかっ!よし、いい子だ!
主人公:元気でな!
女将:たまには顔見せにきておくれ。
主人公:わかりました!かならずまた戻ってきます!
女将:まあ、明日も帰ってきていいんだよ。
主人公:ははは、そうですね。そうするかもしれません。
女将:
西の方へ行くんだろ?森を抜けなきゃいけないから、動物達には気をつけなよ。
時には凶暴なものや、毒を持ってるばあいもあるからね。
主人公:うんありがとう。今度はちゃんと宿代払えるようにしておくね。
女将:そんなことは気にしてないよ。まぁ、でも期待しておくよ。
主人公:それじゃ、行くよ!
妖精:うん、わかった!
ハナカマキリ:カマ!
女将:お腹すいたら帰っておいでー!
主人公:ありがとー!いってきまーす!
ここが言ってた森だな。薄暗いけど、行くしかないよね!
妖精:なんか薄気味悪いな。こんなとこ、早く抜けちゃおう!
主人公:うん、そうだね。