始まりの村
いつもと同じようなRPGの世界で、いつもとは違う話を書いてみたくなりました。
よくある展開と、先を読みながら本作を読んでいただければ幸いです。
本作は声劇台本風となっております。
この物語は声劇台本となってます。
主人公:
なんだ、このメール?新作RPGダウンロード優先招待?
胡散臭いなー。 さっさと削除。
あっ!間違えて開いちゃった!ヤバイ! えっとーなにやれば良いんだっけ?
と言ってる間にダウンロード終了。IDとパスワードは…なんかもう入ってるぞ?
ウイルスチェックソフトはと。反応なし。
うーんもういいか!いざとなったらOS再インストール覚悟だ!
おっし!スタートをクリック!
妖精:
「このゲームを開始すると、ある条件をクリアするまで戻ってこれません。
と言っても、もう引き返す事はできません。
無事に現実へ戻ってこれる事を祈っています。」
主人公:
こういうのよくあるよねー なんだこの映像、ぐるぐるぐるぐる。
はあああ〜なんか変な感じにzzzzz
妖精:「ようこそ!始まりの日へ!」
主人公:
うおー!なんだなんだ! これ、俺の姿か?これ、ゲームの中なのか!
おお、なかなか立派なグラフィックではないかー。 この花畑の花なんかもリアルだなー。
妖精:ハナカマキリを見つけました。
主人公:え、これって花に擬態したカマキリ?
このゲームのオリジナルキャラなのかな? ふーん、よくできてるじやん。
お、人が居た、話しかけてみよう。っと。こんにちは!
村娘:ここはルルラのムラです。
主人公:ルルラー♪なんてね。
村娘:ここはルルラの村です。
主人公:わかってるっちゅうの!さっき聞いたし。
村娘:ここはルルラの村です。
主人公:だからっ...てツッコミ入れてもかわらないよな。
まあ、そういうプログラムなんだろうしなー
村娘:ねえ、聞いてるのあなた?ここはルルラの村なんです!
主人公:あれ、セリフ変わった?
村娘:「あれ?セリフ変わった?」じゃないの。ここはねぇ...
主人公:おれ、何か変な操作したかな?
村娘:ちょっと、私がはなしてるのよ、ちゃんと聞きなさい。
主人公:あ、ハイ!
村娘:ここは冒険者が初めに辿りつく村なのよ。
まあ、お世辞にも強い武器や防具は売ってないわ。でもね、いい村よ。
主人公:あ、ハイ、いい村なんですね。緑も豊かだし。
村娘:そうよ。だけどね、村の奥の奥の深い谷に、とてもとても恐ろしいドラゴンがすんでいるの。
そいつがいつまた暴れ出すか心配…
主人公:それを倒すのがこのゲームの目的なんだね!
村娘:はぁ?あんたに倒せるわけないでしよ?
主人公:あ、そりゃまだ、レベル1ですが...ほら、LV12、3くらいになれば倒せるんじやないかと。
村娘:あなたが?無理よ無理無理。無理でお団子作れる位無理よ。
主人公:無理で団子ってなんだー?おいしいの?
村娘:うるさいわねぇ!とりあえずあなたでは話にならないっていってるの。
主人公:まぁそりゃそうだろうけどね。弱い魔物とかをまずは倒してだね、経験値を。
村娘:なぁーに悠長なこと言ってるの?一日でも早く倒しなさいよ!
主人公:いやぁそれ無理だって言ったじゃん。
村娘:そんなの知ってるわよ!だから、さっさと強い人見つけてきなさい!
そしてすぐに、出発だぁー!
主人公:はいー承りましたー!ぴゅーん!
村娘:うふふっ、がんばってね。ここはルルラの村です♪
主人公:
こういう所って武器屋とかでいろいろ買うんだよね。
そうそう、こういうマークだよねー。
剣とか盾とかさ、組み合わせてある看板がだいたい目印だよね。
カウンター越しに、こんにちは!
武器屋:坊主、ここは武器屋だぜ。
主人公:ほらねー当たった。
武器屋:いろいろな武器を揃えているが、ぶっちゃけ儲からねえ。
主人公:えっと、ここ、土産物屋さんじゃないですよね?
武器屋:
だいたいだぜ、武器を売って儲かるとおもうか?
こんな田舎町で誰が好き好んで剣なんか買うかよ。
だからな、せめて武器らしいお土産ということで、こういうかんじだ。
主人公:まあ、そんなに武器が必要だったらどれだけ危機的状況なんだろうって気もしますね。
武器屋:
だろう?良く分かってるじやねえか。 よし、気に入った、安くしておくぜー!
1万ゴールドのこの剣。素材は、よく知らね。このよく切れる剣をだな、今ならなんと7500ゴールド!
主人公:安くしてくれるんですか?
武器屋:しかも今なら、もう一本お付けして!
主人公:なんと、これは買わない手はないですね!
武器屋:電話が混み合って居ますので、おかけまちがえのないように。
主人公:電話?このファンタジー世界で?
武器屋:
冗談だ。で、お金は? お金。おかねー ゴールドってやつだ。
だいたい、最初は70ゴールド位持ってるもんだろ?
主人公:あれ?何処にもコインらしいものがないですよ。普通、布袋みたいな物に入れて持ってるもんですよね?
武器屋:おいおい、いつの時代の話をしてる? お前は8bit処理なのか? ここに手をかざしてくれ。
主人公:なんか彫刻された石みたいなやつ。
武器屋:黙って手を載せなよ、ほら。
主人公:はい、こうですか?
武器屋:なんか、手つきがいやらしいな?
主人公:何言ってるんですか!
武器屋:いやな、そんなに揉まなくてもいいぞ。
主人公:へ?はっ!いや、これはあのー。
武器屋:ほらねー初期値は70ゴールド。 いいや、70ゴールド一本持っていけ!
主人公:ほんとですか!でもこれで一文なしになりますよ。
武器屋:分かってるよ、70ゴールドも出世払いだ! 後で10倍にして戻してもらおうかね。 ほらよっと。
主人公:うわー、投げないでくださいよ。 うぇー、重いー。
武器屋:そりゃお前、金属で出来てるんだから当たり前だろ?
主人公:そりゃそうなんでしょうけど。 重量設定があるのかな? レベル上げなきゃ。
武器屋:
レベルとか言ったか? 言っておくが、そんなもん存在しねえよ。
人の成長をどういう基準でレベルていう数字にするつもりだ? だいたいよ、経験って数字か?
違うだろ。 お前が成長して学んで行くんだ。
色んな事を経験して頭が、身体が、こころがだな、色んな成長をしていくんだよ。
ちゅう事で、これでも持っていけ!ほれ。
主人公:これは、棒?
武器屋:これで十分だ。当たれば痛いだろ?
主人公:そりゃそうですが。
武器屋:お前さんはそれでいい。 それで対処出来ない時には、そこに行くのがそもそも間違いってもんなのさ。
主人公:まだまだ弱いからなー多分。
武器屋:
村娘になにを焚き付けられたか知らんが、戦いは向いてるやつに任せておけよ。
無理したら、命はないぞ。
主人公:はい。わかりました。
武器屋:じゃあな、出世するのを待ってるからな。 がんばってもどれよ、お前がいるべき所にな。
主人公:わかりました。ありがとう!
主人公:
さーて、これからどうしようかな。あ、防具買い忘れたな。でも、金欠だからなーしょうがないよな。
どうせハチマキとかしか買えないだろう。 道具屋でポーションとか薬草とか買うかな。
道具屋の看板と言ったら。 えーと、金槌マークのここかな?
金槌屋:おう!金槌いるか?
主人公:違うなー 。
金槌屋:なんだー冷やかしかよー。
主人公:針と糸のマークは?
裁縫屋:針と糸のみせだよ!
主人公:だよねー
裁縫屋:なんだー冷やかしかよー。
主人公:
同じセリフだし、シナリオライターも手抜いてるな。
コウモリマーク? こんにちは!
道具屋主人:私が魔王だ、世界の半分をお前にやろう。
主人公:いきなり魔王?
道具屋女将:あんた、なにをやってるんだい?おっと、お客さんじゃないか。どうした?お使いかな?
主人公:道具を買いたいんです。ポーションとかやくそうとか?
道具屋女将:ここが良く道具屋ってわかったね。そんでポーションややくそう何に使う気だい?
あんた、漢方薬の店でも開くのかい?
主人公:いえ、体力回復用に。
道具屋女将:体力回復なら寝ることだね。後はよく食べること。消毒薬くらいは持っていくかい?はい3ゴールド。
主人公:この石に手をかざせばいいんですよね。
道具屋女将:そうだよ、よくわかったね。そんじゃ、持っていきな。
主人公:何に入れていこう。
道具屋女将:袋持ってないのかい?これおまけしておくよ。父ちゃんのお古だけどね。
主人公:ありがとうもらっておくね。これを腰にくくり付けてと。いい感じ。
道具屋女将:似合ってるよ。用があったらまたおいで
<村を出る>
主人公:さーて村からでたけども、門番の人の言葉気になるよな...
門番: 町を出たらモンスターや魔物たちがうようよしているんだ。
主人公:げ、本当ですか... 悪いことは言わない。
門番:ここから出ないほうがいい...出ないほうがいい...出ない...出る?出ない。
好き?嫌い?
主人公:なんか...最後の方ちがうよね。まぁそんなことはいいか。
あれ?なんか踏んでる。
スライム: クニュー!!!
主人公: うわ!なんかぶよぶよしてる。そしてゼリー状。そうか、これがスライムか。
スライム: ウニュッ!ウニュ~ウニュ~
主人公:こういうときは武器をって、なんも持ってないや。あ、さっきの棒、ええい!殴る!
スライム: ウニュー?
主人公:まったく利いてる気しない。ゼリー状だからなー。...これ、倒せるの?
あれ、人影が向こうから。
村人:おおーい熊がくるぞ、早く逃げろ!
主人公:ええ、熊って、スライムがでてくるような場所に出てくるのかよ !
黒い影が...げっ!なんか遠目に見てもめちゃめちゃでかいぞ。い、一旦退却ぅー!一人じゃ無理だわこれー!
<村はずれ>
主人公:とりあえず、一人ってのは無理だ さて、だれか強い人いないかなー。
おーなんか人だかりができてるなぁどれどれ。
野郎:てめぇー、人にぶつかっておいて、それは無いんじゃねぇか?
子供:いえ...だから、すいませんと言ってるじゃないですか。
野郎:それがねーすいませんでは、すまないんだよねー。足元ぬれてるだろ?
子供:それがどうしたんですか?
野郎:このお酒、高かったんだよねぇー
町人;おい、あの瓶の破片見てみろよ、あれ、メリーネの最高級品の瓶だよな?
野郎:おっと、ギャラリーは気づいたみたいだな。さて、どうしてくれるんだ?あん?
子供:どうするもこうするもないよ。そんな安酒、3ゴールドもしないだろう?
野郎:おいおい、観客の皆様がメリーネって言ってくれてるだろ、ほらこのラベルが読めないのか?
子供:なんだそのラベル?こんなもんで誰が信じるんだよ?それに赤がくすんでるじゃないか。
野郎:な、なんだとぉ?お、おい小僧、いくら持ってる?有り金全部で勘弁してやろう?
子供:なぜ僕がお金を払わなければならないんだ!
野郎:はぁ?ちょっと痛い目に合わないとわからないかなぁ?かわいそうに。
子供:痛い目だって?誰が痛い目に!
食堂娘:ちょっとー、やめなさいよ!
野郎:はぁ?お前誰だ?
食堂娘:そこの料理店の看板娘よ!知らないの?
野郎:そんなまずい店のことなんかしるか!
食堂娘:ちょっとー、あんた、言葉に気をつけなさいよ!さっきから見てれば言いたいこと言っちゃって!
野郎:おいっ、このアマ!お前も痛い目にあいたいのか?
町人;おいおいーまずいだろー。あんなでかい野郎相手に子供と女の子だぜ?
騎士団員:ん?何か人が集まってるな。何を騒いでいるんだ?
町人;あ、あの十字模様は帝国騎士団の!
野郎:やべぇ、騎士団!何でも無いですよー、いえ、ちょっとそこの餓鬼がぶつかってきたんでさぁ。
騎士団員:おい、そこの子供、本当か?
子供:何うそいってるんだ!そこのオヤジが僕にぶつかってきたんだ!
食堂娘:そうよー!見てないけど...たぶんそうよー!顔に書いてあるもん!
野郎:か、顔は関係ないだろう?あん?
騎士団員:ふぅーむ、子供とぶつかって酒瓶が割れた。これは正しいのだな?
野郎:へぇ。 子供:はい。でもっ!
騎士団員:まぁ、待て。で、このお酒はなんというお酒だ?
野郎:メリーねでさぁ。騎士団の方ならご存知かと思いますが、それはもう高級な...
騎士団員:ほう、これがメリーネの香りと申すのか?
野郎:へ、へぇ、この酒瓶にほら!
騎士団員:そうかそうか...。お前の鼻をこの剣で削いだほうがよいかもしれんな。
こんな安酒とメリーネの香りを間違えるとは、その鼻、もはや役にたっておるまい。
野郎:ひぃー! 子供:ほうら、やっぱりちがうじゃないか。
騎士団員:メリーネは皇帝陛下も嗜まれるブランドである。
それを、お前は、はした金の為におとしめる気か?
野郎:い、いえ、滅相もございません。
騎士団員:これは、メリーネではないということでよいな?
野郎:はい、メリーネではございませんです、はい。
騎士団員:では、お前の鼻もそのままでよい。やればできるではないか。
そして、この件はこれでおしまいだ。文句ないな?
野郎:ありませんです!では、失礼いたしますー!
主人公:あ、あの、すいません?
騎士団員:なんだ、何か用か?
主人公:帝国騎士団って強いんですか?
騎士団員:ほう、なかなか面白いことを聞いてくるな。そうだな、私だけを言えばまだまだだが、
騎士団という括りで言うならば強いな。
主人公:騎士団はドラゴンに勝てますか?
騎士団員:お、またまた痛いことを聞いてくるな。討伐ということで言えば、まだ果たしてはいない。
しかし、かなりの痛手を負わせ、森の奥へと追いやることはできた。
いずれ、勝つこともできるだろう。
主人公:そうですか、そんなに強いんだ。
騎士団員:ん?どっちのことだ?ってドラゴンのことだよな。
主人公:ドラゴンを倒しに行かなきゃならないんです。
騎士団員:誰かの仇でも打ちたいのか?
主人公:いえ、それはないのですが、僕の使命なんです。
騎士団員:どこかで神の啓示でもうけたというのか?たまにそういうことを言うやつが出てくるな。
この季節がいけないのか、流行病の類なのか。
主人公:病だなんて、しつれいだな。
騎士団員:そう怒るな。大きくなったらな、帝国騎士団の試験を受けろ。
ただ、それまでにしっかり身体を鍛え、教養を身に付けろ。
礼儀もと言いたいところだが、まぁ、副団長がああだからな。
主人公:副団長がどうかしたんですか?
騎士団員:いや、聞かなかったことにしてくれ。そして、またドラゴンの討伐部隊が編成されるかもしれん。
その時は、是非一緒に参加しような。
主人公:そんなに先ではだめなんです。
騎士団員:無茶を言うな。先の討伐戦の後はこちらも大きな損害がでた。
とても、とても大きな損害、損失。
そのせいでさらには他国と余計な戦を招いてしまった。
主人公:そんなに、大変なんですね。
騎士団員:もう繰り返してはならない。しかし、野放しにはできない。ジレンマだな。
主人公:一緒にドラゴン退治に行きませんか?
騎士団員:そういうことだ、いずれその時が来るのを楽しみにしておくよ。じゃあな。
次は、同じ外套を纏い、同じ剣を携え、同じ使命に向かって集うことを願っている。
主人公:帝国騎士団だって!あんな人が仲間になってくれたら心強いんだけどな。
でも行っちゃった。うーん、どうやったら手伝ってくれるんだろう?
誘ったくらいで仲間になってくれるわけないし、皇帝にでもなるしかないね。
あー、日が高くなってきたな。あっちの方に食べ物売っているお店あるかな?
とりあえず、行ってみよう♪