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第一話 主人公○○

 少し読んだら「コレなんの小説だっけ?」と思うかもしれないです。

 まあ…初めてなんで許して頂けたらと…。

 

 かつてこの世界は人類同士の戦争をしていた。

 人々はすさみみ合い、恨み合い、殺し合っていた。


 人々は愚かだった。


 オレは当事者ではないが、きっと戦時中の人々は皆、国のためにと訳も分からず殺し続けていたのだろう。

 そのこと自体を愚かだったとは思わない。一番愚かなのは後先考えず、血を流し続けていたからだ。

 きっとそれが、あんなバケモノをこの星に呼び寄せたのだから。

 

「………ん?な…なんてこった!もう朝じゃねえか!うぉおおおお!せっかくの休みがぁああっ!!」


 ふと時計を見て驚愕した。1ヶ月ぶりの休みの日にすることがなく、図書館から借りてきた歴史本から恋愛小説、約50冊の本を全て読み終えたと思ったら、朝の8時ジャスト。つまり出勤時間だ。


「くそ…!こんなコトなら新宿あたりで大人の遊びでもしてりゃよかった!なんで図書館なんかに行ったんだ一昨日のオレ!25歳の男のすることじゃねえぞ!バーカバーカ!(泣)」


 本に集中するため昨日の朝から部屋のカーテンを閉め切っていたのが間違いだった。完全に時間の感覚が狂った。飯も1日食ってない。

 いや、間違いだったのは一昨日のオレ、車だったからといって本をバカ借りしたオレだ。

 チッ!なにが「人々は愚かだった」だ!オレが一番愚かだバーカ(怒)!!


 プルルルルル…プルルルルル…。


 ベッドの上で半泣きしているオレの横で携帯が鳴っているのに気付いた。見てみると部下の千条せんじょうカヤからの電話だった。

 オレは迷わず着信拒否をした。


「さて…仕度しよう」


 20分(ベストタイム)で仕度を済ませたオレは車を仕事場へと走らせた。 本来なら8時半にすでに出勤してなければならない。

 ただいま8時20分。仕事場まで20分。完全に遅刻だ。一応連絡しなければならないな。


 プルルルルル…プルルルルル…。


 ジャストタイミングで電話が来た。いいぞ、きっと仕事場からだ。

 千条…オレは迷わず着信拒否した。


プルルルルル…プルルルルル…。


「ま、まあ車で運転したら危ないもんな…うん、大丈夫だ。きっと大丈夫だ」


 自分を落ちつけながら全速力で仕事場へと向かった。15分(ベストタイム)でつけた。だが5分の

遅刻だ。まあこれくらいなら大丈夫だろ…。


 プルルルルル…プルルルルル…。


「うるせぇぞてめぇコラァ!!さっきから10回以上着信来てんだよ!!せめてメールにしろ!てめぇのうるせぇ声なんて朝から聞きたくねぇんだよぉ!!」


 不眠によるイライラで完全にキレたオレは電話に出るなり怒鳴りつけた。

 先手必勝。奴に勝つにはそれしか方法はない。


『ひぃっ…ご、ごめんなさいぃい~~~』


 カヤ…ではなかった。オペレーターの安藤ミナコちゃんだった。やってしまった…!


「ま、間違えた…カヤとね?…えっと、いや、その…」


『うっ…うぅ~~~!ご、ごめんなさいぃい~電話したの2回目だったんですけど…うっく。どうしたのかなって思ってぇ…あと、要件もあったんですけどぉ…も、もう電話しませんからぁごめんなざぁい!』


 ヤバイヤバイヤバイ!カヤとは似ても似つかないまさに女の子なミナコちゃんにこんなコトするつもりなんてなかったのに!最悪だ…今日は最悪の日だ!

 電話の向こうで泣きじゃくってしまっている!これはいったいどう切り抜ければ…!


「あっミナコちゃん!?え~っと、よ、要件ってなにかなぁ~?」


 裏返った声で思いついたことをそのまま聞いてみた。しばらくしてからやっと返事をしてくれた。


『ハイぃ…ズズ~~~!けほっけほっ!えっとぉ、要件は2つありまして、1つ目は千条さんが〝てめぇ!なんで電話に出ねえんだゴラァアアアアア!!〟と、いう伝言と…えへへ、似てました?』


「は、はっはっは…に、似てるねぇ…」


 あまりにリアルなモノマネに、カヤの機嫌と自分の顔が引きつっているのが分かる。

 超怖ぇえ…!


『2つ目は…〝ウェルズ〟の男の子が〝超能力取締り課・WCD〟の方々により保護されたようです』


 ウェルズ…その言葉を聞いた瞬間、オレは冷静さを取り戻していた。


「…その子は何をしたんだ?」

 

『え、えっと…一般人5人を怪我させ、その後通報を受けて駆け付けたWCDの方3人に重傷を負わせ逃亡…そこに偶然通りがかった千条さんが取り押さえたようですね』



「っはぁ~子供相手になにやってんだアイツは…怪我じゃ済まねえぞ」


 オレは大きなため息をつき顔を手で押さえた。

 今日はまだ顔も見てないのにどれだけオレのメンタルを削ってくれるんだあの女は…。


『あ、でも怪我はさせてない…いえ、〝していません〟…無傷とのことです』


「あいつに取り押さえられて…無傷なのか?」

 

 正直オレは、驚きを隠せなかった。

 千条カヤは凶暴を絵に描いたような女だ。同時に最強を絵に描いた女でもある。まず普通の男の子が太刀打ちできる相手ではない。だがウェルズ…超常能力者であれば別だろう。


 奴から無傷で生還できる能力など想像もつかないが…。


『そうなんですよ!あ、でもその子まったく口を開いてくれなくてですね…ここはやっぱり黒田さんの…!〝デッドウェイズ指揮官〟さんのお力をお借りしたくてですね!それで…』


 なぜかヒートアップし始めたミナコちゃんを適当にあしらいつつ、オレは目の前にある自分の仕事場〝破壊者対抗武装軍・DAF〟基地を見てから、その付属の留置場をチラリと見た。


「ここの留置場に居るんだよな?ミナコちゃん」


『えあっ?は、はいそうです?場所は確かぁ…一番奥…?アレ?…え~っとぉ?ちょっと待っててくださいね!』


 電話の向こうで書類がガサゴソと慌ただしく音を立てている。少しして「ぎゃひぃいい~!?」という謎の悲鳴が聞こえてきた。


「あー…もういいよ、直接警備員に聞くからさ。とりあえずオレの出勤だけ登録しといてくれよ」


『は、はーい…じゃあお願いしま…うぎゃわぁああ!?書類が!書類がぁー!!タスケテ…!』


 ぶつん…プーープーー。


「……………」


 突然切れた携帯を胸ポケットにしまい、オレは留置場に向かった。

 机の上は片づけような、ミナコちゃん…。


「黒田中佐殿!今日もお勤め、ごくろうさまです!」

 

 1階の警備員室に入るといつものように元気のいい屈強な警備員の坂本くんが出迎えてくれた。

 しかし…中佐と言わないでくれといつも言っているんだけどな…中佐ってなんか堅苦しいし微妙だし…なにより中って字は中途半端で好きじゃない。

 早く大佐に昇格したい。 


「あーさっきバカカヤ…千条カヤに取り押さえられた子とやらはどこにいるんだ?」

 

「はっ!地下3階留置場に捕縛されております!」


「捕縛…?保護されてるんじゃないのか?」


「千条少佐のご命令でして!気絶している少年には鋼鉄の枷をしております!」


 それだけの力を…持っているということか。「なるほどな」とオレは頷くと地下行きのエレベーターに向かって歩き出した。


「く、黒田中佐!?ま、待ってください!私も行きますので待ってください!一人では危険です!」


 あわてる彼をオレは手で制した。


「いいからそこに居てくれ。その少年がいる場所はしっかりと〝感じている〟心配はいらない」


「で、ですが…」


「お前はお前の仕事をしてればいい。ここからはオレの仕事だ!」

 

 オレはにっこり笑って坂本くんの胸元を指先でグイっと押して言った。

 ふっ…決まったな。今ので坂本くんのオレへの株はグンっと上がったハズだ。


〝いや、ついていくのも私の仕事なんですが…中佐…〟


 …何か〝聞こえた〟気がするが気にしない気にしない…さてと今度はちゃんと決めるか。


「じゃあ行ってくる…カウンセリングにな」


「は、はっ!行ってらっしゃいませ!中佐!」


 うぅむ…そこだけ訂正しないとどうも落ち着かないな。

 

「あー…坂本くん。オレ中佐って言われるの嫌いだからさ、オレを呼ぶなら黒田さんとか指揮官とかにしてくんないかな?」


「はっ!了解しました黒田指揮官殿!」

 

 エレベーターのボタンを押しながら言うと警備員の坂本くんは元気よく返事をした。

 ちなみにこのやり取りは今までに20回は確実にしているハズだ。こいつはオレが嫌いなのだろうか?


 そんなコトを考えているとエレベーターの扉が開いた。乗り込んで扉が閉まるまで坂本君はにこやかに手を振ってくれていた。


「なんかずるいぞ、坂本くん…!」


 オレは変なストレスを覚えながらも、次に坂本くんに「中佐」と呼ばれた時の対応策を考えながらも、捕まった少年の名前を聞き忘れたことを後悔した。


 次回予告


 衝撃の事実!黒田は主人公ではなかった!


黒「マジで!?」


 まさかの主人公不在で行われた〝デッドウェイウォーズ〟第一話!

 今だ登場人物は4人!(内1人は脱落!)


黒「勝手に落とすなよ!」


 主人公になるのはいったい誰なのか!?

 三つ巴の主人公争いは激化する!


黒「もう止めてくれー!!」


 次回!「黒田!死に際の一言!」


黒「か、勝手に殺すなよ!バーカバーカ!(泣)」


 第一話 主人公不在 終

 上記の次回予告は黒田が主人公でないこと以外ウソです。

 ご了承ください。

 読んでくれた方、チラ見してくれた方、二度見してくれた方、心より感謝いたします。

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