19日目ー私の居無い私丸スリー
相変わらず主人公の過去話…
旧約聖書…
モーセが神と交わした古き契約、
其れゆえに旧約と言う…
何度も言うがその旧約聖書の中に登場する天使は僅か三人、
神に似たる物の名を冠する『ミカエル』
神は我が力の名を冠する『ガブリエル』
神は我が癒しの名を冠する『ラファエル』
この三体の天使達が後々のキリスト教を彩る数多なる天使達の原型だ。
始めて聞いた時に色の三原色見たいと思ったのは秘密だ。
そして私の目の前にはその三人の天使とプラスαな天使ちゃん達が居る。
先ず女の子天使の一人はガブリエルだと思うけど…
天使って基本男じゃ無かったってけ?
ガブリエルが女性的に描かれるのはあくまでも神の左に立つものだからだし。
それでも私の前に居る天使達の正統派男子天使は二人だけだ、
一人はミカエル、
もう一人は…
私はそのもう一人の天使の姿を見たときに凍りついたと思う。
だって…漸く巡り会えたのだ…
「金髪…碧眼…」
ふと、
昔の記憶…
忘れて居たはずの…
失ったであろうそれがフラッシュバックする様に脳裏に輝いた。
☆
「また本読んでるんだ?」
彼はいつもこの木陰で本を読んでいる、
葉と葉から溢れた木漏れ日が彼の黄金の毛髪に当たりキラキラと輝く、
私はその風景が好きだった。
「そう言う君もまた此処にきたの?***」
「あら?いきなり呼び捨て?つい最近まで『ちゃん』付だったのに?」
彼の生意気な口に私も生意気な口で返す、
こんなとりとめ無い不毛な話も大好きだ。
「そ、其れは君が『ちゃん付だともう此処に来ない』って言うから…」
そう言って青の瞳を私から逸らす彼、
そんな事言ったっけ?
「う~ん、まぁ良いやそれってお互いの距離が縮まってるって事だしね?」
「…そうだね」
そう言って私に柔和な微笑みを向けてくる、
彼の金髪と青目は余りにも似合っている、
だからきっと彼はこの教会で人気なのだろう、
だから私はこんなにも彼を穢したいのだ。
「で、***?何をしにきたんだ?まさか修道院の見学じゃ無いだろう?」
当たり前じゃ無い、
其れにここいらの近所に在る修道院なんてみんな男子修道院じゃ無い、
誰がそんな場所へ行くものですか、
貞操が心配だわ、
「えぇ、そんなつまらない事しないわ、あなたに会いに来たの」
私は何でも無い様に言う、
正直とても恥ずかしい、
彼の方もその乳白色の頬に朱がさす、
「な、何言ってるんだよ!」
あぁ、面白い、
だから私は此処にくるのが好きだ、
此処には オトウサン と生活する前から来ているパパに教えてもらった場所だ。
いつからか彼との密会場所にすら成っている。
「そんな事より何を読んで居たの?」
「十五少年漂流記さ!」
彼は読書が好きだ、
私と彼が始めて会った時も彼は本を読んで居た。
そして彼が本を語るその年相応のキラキラした姿が大好きだ。
「へぇ…どんなお話?」
だから私は彼にどんな話かを聞く、
それがその彼の姿をより見続ける最良の方法だから。
「ん~…どこからはなそうかな?」
彼はもったいぶった様な言い方をしながら私をチラチラと見て居る。
わかっている、彼は話したくてしょうがないのだ。
この彼とは同年代の子が居無い修道院で一人本を読んで、
そのワクワクを、
興奮を他人と共有したいのだ。
だから私が興味を示す様にこんな風にしてくる、
そんな子供らしい面が好きだ。
だから私はさも聞きたいと言う様に目を輝かせ身を乗り出す、
それが例え一年前に読んでいようが、
一週間前に読んでいようが、
初めて聞こうが、
身を乗り出す、
そうして初めて彼は語り出す、
彼にとって新鮮な、
私にとって懐かしい十五少年漂流記を、
…
彼はとても話す事が上手い訳じゃ無い、
だけど苦になる訳でも無い、
寧ろ言葉を選んで目を泳がせる彼の顔が見れるのだから小学校でやった感情の無いテープ何かよりもずっと好きだ。
いくら聞いて居ても飽きる事が無い。
彼は私よりも一つ歳下だ。
彼がそう言ったのだからそうだと思う、
だけど私よりも背が高かった。
私は何よりそれが悔しく、
彼は自慢とした。
年月が流れても私は其処へ行った、
今や私よりも頭ひとつ分大きく成った彼も変わらず私を迎えてくれた。
☆
そうだ…
思い出した…
私の初唇…
私の居なかった頃の彼が持って行ったんだ…
でも彼は誰?
私は今もどこに居るの?




