悪寒
今日のテストは最悪だった。昨日あれから寝たまま朝を迎えてしまって、全く勉強していないのだから当然だ。しかもテスト期間中はせっかくの早上がりなのに、肝心の傑は部活があるらしい。
むしゃくしゃした気持ちと一緒に問題用紙を鞄に突っ込んで学校を後にする。
いつものように東西線に乗り込み、葛西駅で降りる。このまま帰っても何もすることがないので、ビリヤード店に入って二時間ほどゲームを楽しむ。いつもなら傑と来るのだが、傑はかなり上手くてなかなか勝たせてもらえない。だからこうやって週に一度は、傑に内緒で一人でゲームに励む。
二時間はあっという間で延長しようか財布と相談した結果、仕方なく会計を済ませて店を出る。
また途方に暮れてしまい、いろいろ考えたが結局家に帰って勉強することにした。
「ただいまー」
僕の声に反応して、キッチンから母が顔を出して返事を返してきた。
「おかえり。そういえばさっき優宛てに変な封筒が届いてたわよ、優の部屋に置いといたからね」
「え?あ、うん」
封筒?何も頼んだ覚えはないけどな。
部屋に入ると確かに机の上に封筒が置いてあった。差出人は不明。
封筒を開けて中を覗いた瞬間、その中身に驚愕する。
「なんだこれ…………」
札束だった。しかも全て万券。しかし、封筒に入っているのはお金だけ。何がなんだか全くわからないが、とりあえず数えてみる。それが人間の心理。
小刻みに震える手でゆっくり数えていく。
何度数えても100万円ある。しかも紙幣の製造番号まで揃ってる。
「何なんだ一体……?」
その時、何かの拍子に僕の中の脳細胞が弾けた。
急いでパソコンを起動させる。僅かな時間さえも待ちきれなかった。
メールフォルダをクリックし、受信BOXにメールがきているのが目に入る。
「うそだ………ろ」
昨日と同じメールアドレス、件名は無し。恐る恐るメールを開く。