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詩の目次

無敵

作者: 冬野三月

 この先、良いことなんてひとつもないんじゃないか。そう思った。

 好きなバンドは解散するわ、友達とは些細なことで喧嘩になるわ、陰口をたたかれるわ、贔屓ひいきのサッカークラブは連敗してるわ、

 さっき道端でセミが死んでいる横を通ろうとしたら、死んでるはずのセミが突然じじじじと動き出した。驚いて小さく、うお、と声を上げたら、そばを通った見知らぬ人に鼻で笑われた。

 そんなことがあった少し前には、好きな人が知らない奴と手を繋いで歩いていた。その人はその誰かと、なにか話しながら楽しそうに笑っていて――ああ、こんな顔もするんだ――と思って、余計に好きになった。

 ――額から流れ落ちる汗を手の甲で拭う。

 九月の半ばでも暑いわ、温暖化だわ、少子化だわ、人口減少だわ、物価高だわ、将来が不安だわ、遠い国では戦争の真っ最中だわ、第三次世界大戦だわ、日本の政治はどうなるんだとか、政治空白だとか――

 ああ、もうなんかどうだっていいや。

 ――高い空はだんだんとオレンジ色に染まってきていて、もうすぐ日が落ちるのだとわかる。

 そして今日も終わって、またいつものように明日がやって来る。そして僕はここにいる。

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