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08:更に修正が加えられて作戦は決まったそうです。

 えげつないと思った作戦は、さらにえげつなくなった気がしないでもない。


 先ずは、味方にするかしないかの振り分け。これは、ヴィクトーリア様とティルデ様によって一新された。

 王宮内での立場や立ち位置、本人の性格や交友関係などをヴィクトーリア様が、領の経済状態やお金の流れなどの商売関係をティルデ様が情報として持っていたから。まぁ、この辺であの伯爵領の奪い取る事が決まったんだけど。


 しかも、ヴィクトーリア様は外交関係も強いらしく、周りの国々に交渉を始めたらしい。要するに、独立して国として認めてもらう為の交渉らしい。凄いな。


「お姫さん方、生き生きとしてるな!」


 と言うのがギルの言葉だ。


「何で手放したんだろうな? 真面目に意味が解らんぞ。」

「う~ん、気持ちは理解出来る。」

「だろう?」


 実に久々の婚約者としてのお茶会の話題がこれでいいのだろうか?


「ギルも学園に通ったのなら理解出来るでしょ。王都では女は黙って後ろからついてこい、だよ。」

「あ~~~~~~」


 と色々と思いだしたらしい。


「アレか? アレだろ! 控えめなのがいいからって、声は小さいわ、聞いた事には答えないわ。その癖、女同士で悪口の言い合いと足の引っ張り合い。」


 あー知っていたんですね。

 対男と対女だと露骨に態度が変わりましたものね!


「凡そ間違っていないのが哀しいけど。そんな感じで、王都では対等に見てもらえないのよ、女ってだけで。」

「もったいないよな。本当にもったいないと思うんだ。」

「もったいない?」

「だってそうだろ? お前の所の三姉妹だと、パティは目利きな凄腕商売人だし、アティは豪胆で有能な領主だ。そんじょそこいらの男は勝てない。で、お前は調整役なんだよ。」

「調整役?」

「そ。姉二人にかなわないと思っているのは知っている。だが、お前さんの持ち味は人の懐に潜り込めると言う特技がある。」

「はい?」

「確かに親が《逃げ場所》にしてもいい人物だと話していても、あそこまで心を開いてくれるとは思ってなかったぞ。」

「はい?」

「だってお姫さん方とお前、仲良しじゃん。1年かそこいらの付き合いだとは思えない程、仲良くないか?」

「そうかなぁ………」

「そうだぞ。」


 そうらしい。

 

「フェリが推薦してくれたから、お姫さん方、実に楽しそうに働いてくれているんだ。俺も知らなかった情報もあって、本当に助かっている。」

「そうなんだ。」


 そんな気はしてたけど。

 3人が3人ともとても頭のいい人だから。しかも、身分に胡坐をかいている傍迷惑な人でもないし。


「何と言うか、独立宣言したらそのまま国として認めてもらえるように手回しまでしてもらっているとな、本当に何であんないい婚約者を手放したんだ?」

「それは本当にそう思う。もったいない。」

「だよな。俺の方は有り難いけどな。」


 まぁ、そうだろうな。

 本当に色々と手を回してもらっているからね。細々とした事まで。


「それに、裏方に徹してくれるんだ。相手をたてる事を知っているし。高位貴族なのに、凄いと思わないか?」

「あーそれに関しては二通り居ると思うんだ。」

「二通り?」

「そう。察してもらって色々としてもらえる事を当然だと受け止めてしまっている人と、そうしてもらっているが故に自分もそうしようとしている人。」

「確かに!」


 本当にそう思うんだよ。

 高位の貴族だと本当に周りが色々としてくれるからね。それに胡坐をかいてしまうかどうか、それで未来が決まる。当たり前の事だと受け止めて、それが日常だと思うと感謝すらしなくなるからね。

 誰とは言わないけど、某王太子だとかその辺かな。

 遅くにやっとできた一人息子だから、相当甘やかされたんだろうな、としか思えなかったし。






 そして、計画は実行された。





 私が知っている以上に防衛ラインは南下していて、王都のお隣のお隣、この間会談に使った場所のある子爵領の辺りになった。と言うか、その子爵領のお隣である侯爵様が奪った伯爵領が主戦場って感じ。交通の要所だし。

 戦いは無かったけど。

 向こうは頭になる上官も居ないらしくて、(にら)み合ってはいるけれどそれだけ。

 だって、王都の騎士団の団員を引き連れて、騎士団長である侯爵様がこちらに付いたから。


「数年の間は、亡命も認められないだろう。」


 と言ってくださって、旅行のフリで家族を先に逃がしての寝返りだ。

 まぁ、今年の王都はいつもにも増して暑いから、涼しい所へ行くのはおかしな事じゃなかった事も幸いした。

 領地を持たない騎士爵故に出来た事でもあるのだろうけれど。


「伯爵領を奪ってある。主戦場になるが、そこで引き受けるぞ。」


 と言う事で、人で溢れかえっているそうだ。

 内々の情報で知っていた、悪徳な商人や、伯爵と手を組んで好き放題していた役人は、面倒なので王都に放逐する話もあったのだけど、そこまで手をかける必要性を感じなかったので、目の前の国王軍に渡した。下手に牢とかに入れておくと食事の世話をしないといけないしね!

 悪事を働いたから、当然財産は没収だよ! となっている。証拠も一緒に渡したから、後は向こうが好きにするだろう。商人は王都にも店があるし。 

 その辺の裁量が領主には認められているので、このクーデターの総責任者であるヴェルナー・バンクロフト辺境伯が許可しているので問題は無いし、作らない。この国では、あの領地は侯爵様のものだから。

 主戦場にはなったが、向こう2年の税制での優遇も決まり、食料も配布されているので問題は無さそうだと聞いている。


 他には囲い込むような場所にあったから調略した領は、領主に問題があるからそうなったので、最初から戦意など無かったらしい。確かにいきなり兵隊がきて、目の前で小麦を刈り取ったんだものそうなるよね。

 そこも税制の見直しと食料の配布で問題が無いと言う事の意味を考えるとちょっと怖いけど。


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