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10/10

10:終わりよければ全てよし、かな?

 最終的に、クロプシュ公爵領、ハンゼルマン侯爵が奪った伯爵領、それからバンクロフト辺境伯領の真ん中あたりにある領を王都にする事が決まった。この領は調略して領主を追い出した領だ。正確に言うと、王都に住んでいて領地に居ない状態だったから、帰る場所がなくなったかな。

 それだけでは手狭なので、周りのいくつかの領主が領地替えに応じてくれたので、奪い取ったり調略したりと、領主を追い出した領に移動する事になった。元々住んでいた領民は、ここに残るか元の領主様について行くのかを選べたそうだけど。


「いいのかしら?」


 と言うヴィクトーリア様は再び王太子妃に返り咲いた。

 前の国ではなく、新しい国の方のだけれど。


 色々と話し合った結果、国王にはヴェルナー・バンクロフト辺境伯、要するに王弟であるギルのパパ、そして王太子はギルではなくギルの弟であるハーラルト様に決まった。

 早々に譲位はするそうだけど、実権はそのままになるみたい。


「俺には向かないから。」


 とギルが断ってくれた事に感謝しかない。

 私が王妃なんて絶対に無理だ。ヴィクトーリア様を見ていると本当に、心からそう思う。


「え? 俺!?」


 と驚いていたハーラルト様だけれど、ヴィクトーリア様を見てOKを出していたから大丈夫だろう。

 絶対にヴィクトーリア様が大丈夫にするだろうし。と言うか、期待されているのはヴィクトーリア様の方だから、とか言われているの知っているのかな。


 宰相として公爵家のままクロプシュ公爵様が国王の補佐に入り、長男であるカールハインツ様が内務大臣となった。ハンゼルマン侯爵様は公爵位になり軍務大臣兼騎士団長、けれど近日中に騎士団長は別に人になるらしい。

 リクスナー伯爵様は「向いていないから!」と辞退したらしく、息子たちに期待! と言われているとか。そのまま海上の封鎖はしてくれているようだけど。

 と言うか、自分たちの商売を邪魔する船は排除でいいよね? って感じらしい。伯爵様が、ではなくて、船の乗組員が一丸になってそうしているらしいよ。一隻二隻ではなくて、領内の船全部らしいけど。

 どうも音頭を取ってくれている船長さんが居るそうなので、近日中に話し合うそうだけど。


 そして、王宮を作るよりも、壁を作る! と元の国との国境線には壁が出来るのだそう。防衛線と言うよりも、密入国を防ぐ意味合いが強いらしい。散々北の領地を馬鹿にしていたから仕方ないね。貴族だけじゃなく、王都民もそうだったんだもの。


 慈悲は無いのか!


 と憤る民衆に関しては、放置の方向で、なのだそう。

 そこまで優しくはなれないし、そこまでの余裕もない。実際に色々とあるから仕方ないよね。


「取り敢えず落ち着いたか?」


 と早々に辺境伯領に戻ってきたギルは外務大臣になったらしい。

 本人が言っていた。


「王都にした領の元の領主、スゲー屋敷に住んでたから当面はそこで何とかしようってなっているのもあっての王都なんだよ。」


 それは知らなかった。

 どうやら、家臣の家も中々に素晴らしいらしく、当面はそこで! と出来るようなのも理由らしい。それだけ儲けてるの!? と思ったんだけど、そうでもなかったらしいよ。


「もしかして、目を付けてた?」

「俺がじゃなく、ヴィクトーリア嬢が。」


 あ、納得。


「本当にその辺が凄いんだよ。だからさ、国を治めるのは国王じゃなく王妃だろうな、って言われてるな。」

「ハーラルト様の立場が………」


 と心配する私をギルは笑い飛ばしたけどさ。

 確かに、ハーラルト様は帝王教育されていないものね。三男だったし。


「ホレスからの伝言としては、騎士団長を目指すから早々に結婚して子どもを作れだそうだ。」

「はい?」

「アンネリーゼ嬢に結婚を申し込みたいんだとよ。」


 アンネリーゼ様、美人だものな。

 それに、国王の息子が今回の独立の立役者的な家と縁付くのは悪い話ではないから。


「それって、もしかして………」

「みたいだな。」


 あ、うん、納得。

 ホレス様は、アンネリーゼ様を選んでいたと言う事なのね。確かに、作戦立案の担当だったし、例のあの伯爵領の奪掠(だつりゃく)にも関わっていて、テント暮らしもしていたらしいし。アンネリーゼ様のお父様と知己にもなったそうだし。


 冬になって身動きの取れなくなる前に、とひたすら急いで決める事を決めた。何故だか国名が決まっていないけど。


「冬の間ゆっくり悩んで、春になったら正式にお披露目だな。」

「そうなんだ。」

「そうなんだ。それだけじゃなく、春になったら結婚式だ。」

「誰の?」

「誰の、ってお前………」


 あ、やっちまった?


「お前と俺。それからヴィクトーリア嬢とハーラルトだ。」

「はい?」


 と言う事で、春になったら結婚します。


「王妃は無理!」


 と言い張って、ずっと辺境伯領に残って領政をしていたギルのママと一緒に、これから忙しくなるギルを支えたいと思います。

 




 新しい国の国名は決まっていないけど、正式にお披露目と言うよりもヴィクトーリア様の結婚式をする事が決まっている。私も一緒にするらしいけど。


 身動きの取れない冬の間にするべき事をすれば問題ないだろう、と言うか、問題を作らない、とギルのパパなら言いそう。

 食料の問題も無いし、悪政をしいていた領主は排除したし、穏やかに冬を越せそう。突貫工事で作っている塀もそれなりに出来たようだし、一緒に作った見張り小屋に人を残せば、家に帰れる兵士もいるようだし。

 何より、雪が降れば移動も難しくなるだろうから、事は動かなくなるし。


 ま、向こうの国がどうなるかは知らないし、関係が無い。

 長年連れ添って、フォローまでしてくれていた婚約者を無碍にしちゃうような王太子とその側近しかいないような国じゃ未来は怪しいけどね。



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