黄金世界の悪魔③
俺は昔から運がなくて物心ついた時には保育園の頃の記憶はなくて、それなのに何故だか辛い気持ちだけが留まって俺を明日へ連れていく。
親は些細な発言も許さず暴力暴言、何が好きで何をしたいのか分からないような別の生物として自分は見ていた。
小学校に入るといじめられている子がいてその子を助けたら次は俺がターゲット、それの繰り返しで本当にこんな日々を愛せているのかと考えるような人間だった。
とある日親は離婚して借金を抱えて逃げてその日に俺の家は菅宮家長男の清志郎に燃やされた、帰る家が無くなった人間を面白半分なんてもので見てみたくなった残酷な好奇心から生まれた人間の感情だ。
運があれば自分はもっと、だとか周りがまだ良ければと今までずっと自分は責めないようにして生きてきたが限界が来たのかとある日に首を吊って死んだいた。
だが転生して今世は幸せを教えてほしいと願ったがまだ、心の奥底から笑えるような世界じゃない。
「そうだけど本当にこんなやつ必要か?」
「俺は何もできません、皆さんの役には立てません」
絶対に自分は何もできない役立たずとして今はやり過ごそう、もう1人の女が必要じゃないだろ風に言っているのは今だけ英雄だ。
「この歳で二度覚醒した人間が必要ないはずがありませんよ」
「一回もないっすよ〜」
「そうだ、こんなやつが覚醒するわけないだろ?」
覚醒とは感情により魔力の連鎖反応で一定時間強くなりすぎる状態異常のことをそう言う、俺は確かに二度したことがある気もするが暴食と初めて会った時しかした記憶がない。
「まぁ信じないのならこうするまでですね」
頭をピストルで撃ち抜かれて即死した。
なんでいきなり殺してきたのかは不死の能力を見せて信用させたかったのだろうが、俺は蘇生するのは自分のタイミングでできるため今は死んだままにしている。
「あ!何やってんだよ!」
「おかしいです……ですが結局のところ使えなかったのですし良いじゃないですか」
「それもそうか」
どこかへ行ったのか足音が遠くなっていく、俺は動かずに倒れたまま蘇生して全て投げ出して逃げたくなったがまだ諦められない。
今思ったが俺はなんでこんなに何度も何度も玩具のように壊され同情なんてものもなく、平気そうにしていられるのだろうと。
「……」
蘇生して起き上がった、時間は経っていなくまだ朝のままでここはどうやら地下室のようだ。
外へ出るが誰もそこにはいなく銃弾が大量に落ちていたり何かの骨が落ちていたりしていた、すると周囲の建物が突然灰色から赤色緑色とどんどん変わっていく、どこか落ち着くが不気味さを漂わせている。
抜け出そうとは考えずただこの廃墟しかない苦の世界を歩いてみた、左に突然今の自分が浮いている鏡に映されたと思えば、今度は左に全身をオリハルコンの装備で隠した魔法使いを写した鏡が現れた。
また前へ進むと今度は在るはずのない母親と父親がエネスと一緒に笑って誕生日を迎えている光景が斜め右に現れた。
「どこに行かせたいんだ?ちがうか、俺は妄想をしてるのか……」
これが何かの魔法によることでもこれが自分の望んだ未来で在る事に変わりはない、優しすぎる未来を今世では見てみたいという願いは今も絶えず在る。
綺麗な光景から目を逸らすとそこにももう一つ村の友達とまだ遊べていられている自分の姿が見えた、いやこれはまだというよりかはただ遊んでいるだけの光景だ。
こんな光景どれも俺からすれば混沌に見えておかしくなってしまいそうだ、自分があの時友達を止めていられれば皆が死ぬことはなく今の自分がこんなこともしなくて良かったんだと。
「俺がもっと……頑張ってればこうはならなかったのか?」
俺は時間停止を使う怠惰の大罪から加護を得た封印されし少年に村の者俺以外全員を殺された、本当なら友達が悪いが俺はあの場で止められず今も生きているのだから、唯一この世界で生きている中であの時間の中での罪持ちと言えば自分しかいない。
せっかくゼーレ達が国を絡ませてまで俺の罪を無くしてくれたが今思えば、本当は俺が悪かったんじゃないのかと今更そんなこと考えても意味がないのに辛さだけが残っている。
「もう良いだろ、俺に今残ったものを教えてくれ……」
瑠美達は今の自分にとって大切なものとは言えず、真に大切なものなんて全て見るに耐えない死体となってしまいもう何も残っていない。
「俺は知ってるんだ……なんも残ってないなんてことは……何かが欲しい」
今はそこらにあるもの全てを欲している、過去を見つめただけでこんなになってしまうとは自分でも思っていなく本当は驚きがほとんどだった。
俺は掠れた声と同様に心も本当はこの世界に怯えていて、本当は何も残っていないのが皆にとっては普通なのか?と不安も溢れ出てきた、自分だけが可哀想な世界であって欲しい……じゃないと俺はもう耐えられないんだ!
というところまで来ている。
今のは全て夢でまだあの女2人に目隠しをされた状態のままでピストルで撃たれたのも夢だったのだ、いや夢ではなく魔法の可能性も。
「まぁ幸せそうで何よりだ、だがこんな平和な世界しか知らないガキを?」
「仕方ないだろ」
「転生者の面白いところはここじゃないでしょ?」
「そうだけども……」
2人が話を終えたのかと思えば今度はいつの間にかからかどろどろとした何かの沼にはまっていた。
何か考えるたびに悲鳴と共に自分の体が沈んでいくもんで体は動かさない事に決めた、しばらくすると目の前に昔の自分が初めて顔を見た瞬間が映っていた。
顔はフツメンだ、と心のどこかで思うと突然生前の親に頭を殴られて涙を流すとまた殴られている光景で目を瞑ろうとすると場面が変わった。
次は学校で階段から菅宮 清志郎というやつに落とされたり、5人で俺1人を殴り遊んでいる。
次々と良いことのなかった人生が流れていき体感時間では10分ほどだろうか、最後はクラスメイトの自分を蔑む顔を思い出しながら首を吊っている自分の姿がさっきまで見ていたものよりも暗く見えた。
「やっぱ、不運だな」
涙を流してそう言う、俺は友達が虐められているのを助けてやられてしまったわけだ、誰からの救いもなくいつも死にかけの文字がよく似合った日々を送っていたのは懐かしさがあった。
確か死ぬ前日に俺の友達だったやつが自殺したんだとか、その次は俺の親友が失踪しただとかもあったはずだ。
「気に入らないな、せっかく拾った命を大事にできないなんて」
また夢から覚めると今度は突然爪を剥がされた、なんでこんな苦労の連続なんだろうか?涙を流して悲鳴を上げたが誰も来なかった。
「お前らなんなんだよ……清志郎なのか?違うよな、全く違う」
「あぁ、私は別人だ」
「ハハハ、油断してるからこうなるんだ、ハハ……」
拘束具を外して涙を流してそう言った、今はもう語ることは何一つとしてない。
「こんな残酷な世界見たくもなかったろう?手に入れても失うなんて、酷すぎるな」
笑いながらこの前出会った自分が嫌いな黒いロングコートを着た効果巻きの通らなかった男が俺にそう言っていた。
「全部、俺以外の人間が悪いんだ、お前もだぞ」
ここでは魔力を使えないので腹を本気で殴るが攻撃は通っていない、前もこの男のせいで最悪な目に遭わされて憎しみのせいで自分が戻れないほど狂ってしまいそうだ。
「あ〜……痛い痛い、それで何がしたかったの?」
「もう良いだろ、俺はお前を殺しても求めた気分にはなれない」
「帰り道は気をつけな」
涙を垂らしてライムが消えてしまった悔しさと一緒にあの男を憎みに憎んだ、この感情はとかの流れに任せてしまった方が良いかもしれない、これだけは自分でもどうしようもないものになってしまったのだから。
(俺は何もできてないな、人の役に立たず生きてても良いのだろうか……これでは人間失格なんじゃないのか)
こんな暗い気持ちでいたらより一層人生まで輝きを失わせてしまう、せめて自分の人生に奇跡くらい与えてあげたいがどうせ途中から仲間なんて消えてしまう俺からしたらそんなの意味はない。
「よぉ、時間通りだな」
眠っていた間もう夜になっていたようで心残りなことはあるが、もうあんな目には会いたくない。
ツユは俺の指を見たが何も言わずに笑顔だけを出して、瑠美は困ったような顔をしていたから俺も一応笑顔にした。
あの出来事があったせいで、自分の過去を見てからとても改心して瑠美の忌み子というのはもう問題ではなくなった、こんな世間なんていう自分がやられていた最悪なことを相手にする必要なんてなかった、これでは俺が敵側だ。
あの件が無ければ俺は今頃何も思うことなく黙っていたが、今はただあのモヤモヤを泣かせたような感じがしてあいつのしたかったこととは違うだろうが、幸せだ。
「もうこんな時間だしあそこの宿に泊まる?」
「それが良いな」
そこにあったのはいつもより綺麗で今まで見つけた中では一番輝いて見えた。
受付に銀硬貨一枚を渡して用意された部屋は一番前の部屋の杉の木の絵が飾られたところだ、中は5個ベットが用意されてあって装飾品などはなく窓だけが唯一外から光を入れていた。
「じゃあ2人は好きな時に寝てね」
俺は2人が左のベット二つを使っていたので俺は一番右端のベットで寝る事にした、どうせ仲がいいのは2人なんだしそこに俺が介入するのは間違っている。
そう考えると自分はかなり人と接するのが駄目な人間なんだろうと今までの失敗もそのせいなのかもしれないと考えてみたが、突然やられてるだけだから自分のせいではないはずだ。
(俺に仲間なんて必要なのか?……いや、もう良いんだ)
自分のことなのにまったく何も知らないのには少しうんざりするくらいだ、一般人と呼ばれる者達は今の自分のことを全て知っているはずなのに、自分がどんな人間なのかも何もかも。
何故こうなってしまったのだ?昔はこんなこと考えなくても良いくらいには幸せで上手くいった人生だったのに。
眠りについた、夢の内容は灰色の髪の毛をした女の子がライフルを持つ顔を布で隠した何かと戦う様子だ、これは自分にとってなんの関係もない。
朝になると距離は置いているが2人は仲良さそうに同じベットで眠っている、俺はこういうのを望んでいた、いずれ俺が王都についた時に瑠美はツユに渡す事にしていたからだ、結局のところ旅は1人でするかライムと一緒にした方が何倍も楽しいのかもしれない。
「これなら安心できるな……」
すると外から一発ピストルを撃った音がして、珍しくもなんともないが一応見にいく事にした。
窓から飛び出し走って見に行ってみるとそこには胸を撃たれ驚き戸惑ったような顔をした姿が見えた、俺は久しぶりの再会に声をかけようとしたがどうやらモンスターにやられかけているようだ
だが先に声をかけた。
「久しぶり、ライム」
「……」
モンスターを黒い魔力でどこかに転送すると笑顔で俺に答えてくれた。
「昔こんな質問したことあるよね?こんな俺を認めてくれるか?って、エネスが旅をする中で次俺に会ったらその答えを教えてくれよ」
「まてよ!俺はまたお前と!……」
言葉にする前に黒い魔力に包まれライムもどこかへ行ってしまった、エネスの最初の親友でたった1人の親友がこんなことを言ってどこかに行くのは本当に辛かった、困惑よりもまず先にライムが本当のライムじゃなくなっていく気がする。
次会えるのかも分からないのにこんなことを言うんだから、きっと、いや必ず会えると信じて自分から旅に出ることを決心した。
この旅の先にどんな事があろうと、旅人は目の前へと進む以外に道はない。
「また、仲間になってくれたら嬉しいけども……はぁ」
なんで俺を置いて突然どこかへ行ってしまったのか、何が目的でモンスターと一緒にいるのかあの問いに求めた答えを知るにはまだまだ時間がかかりそうだ。
後ろから足音がして振り向くとそこには2人が立っていた、不安そうな顔で俺の顔を見つめて何か言いたげな顔をしている。
「……どうしたの?」
「あぁ、俺?俺は親友に会っただけだよ」
「そうか、どんな人なんだ?」
疑り深く接してこないでくれて安心感がある、それとも察してくれたのか?いや、今はそんな事はいい。
「名前はライムって言って、つい前まで一緒に旅をしてた仲なんだ」
「今は何か理由があって離れてるのか?」
「そうなのかもしれないな」
仲間だったのによく分からないんだ、今もこの前もなんで一緒にいてくれないのか、別に俺から厳しくした覚えもないし嫌な発言をしたわけでもない、考えても俺には分からない事なのか?
(深く聞かないでやるか)
「まぁいいさ、今日はどこに行く?」
「しばらく黄奈立に留まりたいから、2人は好きに歩いてていいよ」
「じゃあ俺達は先に行ってるよ」
俺は2人が後ろを向いてどこかに行ったのを確認してからあの黒ロングコートの男を探す事にした。
すると待つまでもなく空から落ちてきたのはあの男だ、こんなにも早く現れると驚きもあったがその前にまず強気でいないと押し負ける気がしたので怯えずに抗うことにした。
「よぉ、この前は散々やってくれたな」
「親友との再会、悔いはないかい?」
「残す時間もないさ」
俺は微笑んで頭に熱線を放った、目の前にいる男は倒れずニヤニヤと笑っていた。
「僕の名前はラヴィニアだ、よろしくエネス」
「はぁ……」
(名前を知られてるのは分かってた、でもこんな堂々と言うもん?)
自分は英雄として名は少し広まっているだろうがまさかここまで広まっているとは思っていなかった、それにこんな男に知られていると思うとなんだか嫌な気分だ。
「一つ聞きたいが、なんで俺を追い回す?」
「僕はマフィアだぞ?君を強制的に仲間として迎え入れる、入ってくれれば僕の知ること全部教えてあげるよ」
ファミリーに加われば絶対にこいつの言うことを聞かなければならないし、個人ごとで旅に出ることだってできないのだ、それなら1人でラヴィニアから逃げてる方がマシだ。
「でもそれは嫌だろうから条件がある」
「なんだっていいさ」
「僕の質問に嘘を吐かず答えて?」
「え?それくらいで?まぁいいけど」
ラヴィニアが俺の手を引っ張ってどこかへ連れて行く、進めば進むほど人気の少ない所へ行くもんで恐怖感や不安があったが結局着いた場所は大きな暴食の館のようだ。
渋々中へと連れて行かれるがまま入ると中は装飾品やらなにやらが大量にあり、メイドが何人もいた。
「ここだ」
扉を開けると中にはドラゴンナイトとウルフライダーという兵士がいて、どちらも自分の何倍も強いはずだ。
「まぁ座ってくれよ」
「……」
いい気はしない、あんなに俺をぐちゃぐちゃにしたやつが俺よりも上の立場で何も手出しができないことが。
「まず初めの質問は」
ラヴィニアが足を組み椅子に座って俺を見透かすような目で見てくる。
「旅の途中で能力が進化した事はある?」
「え?……死に戻りのことですか?」
「そう!まさにそれ!」
懐かしい、暴食戦の前に何故か発動した死に戻りの話がまさか今ここでできるだなんて、だが何故そのことを知っているのだろう。
「でも今は持ってないですよ」
「それを分かってて言う、僕と結婚してくれないか?」
「???」
相手はどう見ても男だ、体つきも男で声も男だ、何を言ってるんだ?ゲイなのか?
「俺そういう感じじゃないんで……」
「ちゃんと理由話すからさ!一度でもその能力を持ってた人間と結婚すれば国から狙われなくなるんだ」
なんでだろうと考えたが死に戻りがあればどんなことでも成功しかしないから国が優しく対応しなければ駄目なのだろう、そう言う理由で結婚してほしいらしい。
「あぁ、国はそいつを止められないからってこと?」
「そうだね、ちゃんと君にも利益はあるし良いだろ?」
知りたい事をなんでも教えてくれると言う話だから別に良いが、世間的にこれは許されるのだろうか。
「まぁ分かりましたよ」
「本当か!じゃあこっちで印は押しておくから聞きたい事なんでも聞いてよ!」
なんの書類に印を押されるか分からないがどうせ害あるものじゃないはずだろうし大丈夫だろう、それよりもまずはライムが何をしているか聞きたい。
「まずはライムが何をしているか教えてくれ」
「あの人なら今魔王城のある国でけんきゅうをしてるよ」
「どんな?」
「人体強化らしいよ」
そんなの魔力があればいくらでもできるのは知っているはずだ、それなら何故研究する必要があるのだ?きっと人体強化という名の全く別物の何かだろう。
「内容はよく分からないのか?」
「そうだね、今ライムが住んでる場所は英界ってよばれる魔力暴走が常に起きてる場所だからさ」
魔力暴走は元素を生命に張り付かせてしまう現象で、だいたい人の感情による魔力増幅とその空間が耐えられなくなり元素と魔力が連鎖反応を起こしている状態なので、その英界はよく魔力暴走が自然にできてしまう場所なのだ。
「あそこは遠いし、危ないな」
「最近だと魔物が突然王都に現れて子供を攫うらしいが、ライムと繋がりがあるかもしれないと……」
「んなまさか」
自分はライムのことを信用している、そんなさらうような事を命令させる人間じゃない事はよく分かってるそれに子供を自分の住処に連れて行っても、悪い事はしないはずだ。
「エネスが次に行く所は王都か」
「行かせてくれますの?」
「べつに束縛したいわけじゃないからいいよ」
「聞きたいことも聞けたし、俺は2人のところに帰ります」
「何か手伝って欲しいことがあればいつでも来てくれよ」
俺はこの館から出る、外は連れて来られた時よりも兵士が多く巡回していていつもとはほおに風の当たる感触も違かった。
この館の者が教えたのか2人が俺を迎えに来ていた、なんとか笑って迎えようとしているが何かを知ったのか自分の好むような笑顔ではなかった。
「やぁ、俺は王都に向かうよ」
「てことは……2人とはもうお別れだな」
俺に対しての寂しさだとかの感情はさらさらないだろう、どちらかというと瑠美と一緒にいた時間の方が何倍と長く俺よりも瑠美に対する寂しさがあるはずだ。
それに俺は初めてツユと会った時に瑠美を預けることは決めていたのだ、だから2人だけで黄奈立を歩かせ仲良し君達にしていたのだ。
「そのことなんだけど、瑠美はツユに任せたいんだ」
「良いのか!?」
(しゃ!作戦通りー!)
今だけ神が味方してくれてる気分だ、なんと瑠美も嬉しそうな顔をしていてやっと街で変な視線を向けられることも無くなったのだ!
「もちろんさ⭐︎」
「俺は嬉しいよ、ありがとうなエネス」
「仲の良い2人を話すのは嫌だからね」
本当のところは仲が良いとか普通とか関係なく預けるつもりだった。
「俺はこの後王都に行くけど2人はどうする?」
「俺は友達に誘われてた仕事に就く事にするよ、短かったけどありがとな」
「それじゃ」
瑠美は最後にお辞儀をして梅雨の行く自分とは反対の南へ向かった、魔王城から遠くなればなるほど魔物は消えるが戦争や紛争に巻き込まれる確率が高くなる、でも対人戦が得意なツユならきっと大丈夫だろう。
(また1人かぁ、でもこっちの方が気も楽だ)
黄奈立から出ようとすると後ろから頭に布袋を被せられ麻酔を撃たれた。