黄金世界の悪魔②
奴隷商に次を期待させるととても喜ばれた、俺もよく奴隷商がテレポートか何かを使っていろんな国に行っているという噂はよく聞くし、また会えた時はより良い子を買いたい。
「じゃあついてきてね、それと目立たない様にしててほしいな」
人と喋るのを恐れてしまったのか口を聞いてくれなくてやっぱり後悔は消えない、どうして俺があんな人間の言う事を書いてしまったのだろうと、自分の人生の変数になり得ることはないのに。
「まぁ、ついてきてくれればいいよ」
(戦闘もできないらしいし)
この先の未来を考えてみたが良いものは一つも思い浮かぶことはできない、昔小説で変化を恐れず変化を楽しめと書いてあるのが何故か頭から離れず今も思い出した。
でも、俺はそんなに強くないし皆の言う世間に立ち向かっても勝てるはずがない、でも諦めてはいけない気がするのだった。
今向かっている所は瘴気という毒に侵された武器が襲ってくる人の住むことができない地域らしい、そんな場所にこの子を連れて行くのは嫌だ、だって絶対に死ぬじゃないかこの子!
「今向かってる所は危ないから離れないでね」
「はい」
やっと瑠美の声を聞けたが目は開かない、そういうキャラ作りなのかもしれないし厨二病ならそっとしえおこうと決めたが、今の俺は忌み子を拾ってこの先の未来に不安を覚えて偏見は増えて行く一方だ。
町から出るまでに人によくジロジロ見られている気がした、髪色でバレてしまうのは分かっていたがここまでとはなかなか酷いものだ、俺は前を見ると言うより少し下を向いて耐えた。
(なんでこんな責任持たないといけないんだ……)
奴隷であって人権なんてないがそれでも俺からすればこれは大きな責任で、生きることが罪の人間はどの本でもどっかの教会の奴らに保護と言った安楽死を強制させられているらしい、理由を見てみてもよく分からなかったが悪魔との子は生きてはいけないらしいから殺すらしい。
それが正しいが幸せな人生を送ってきたエネスはそんなことは理由になってないただの洗脳じゃないのか?と思っていたが言葉に出すことはできず今のまま生きてきた。
「どうしたんですか?」
瘴気の蔓延る地域へと足を踏み込みたいのに王都西門精鋭兵の名の知れた男が道を塞いでいきた。
「ここから先は立ち入り禁止なんです」
「何かあったんですか?」
「誰にも言わないでくださいね?……リーデデモ隊のNo.2が来ているんですよ」
あのデモ隊は今の世界では必要のないものだが今も存在している、16年前に世界融合が起き魔法を使えるのは当たり前となったが、その前地球では何百年も昔に国が魔法使いを虐殺して迫害した。
そして徐々に魔法使いが受け入れられてきた時にあの屈辱を無くそうとしている一般人達を心の底から憎んだとされた魔法使いがリーデを作った、そして今度は立場を逆転させたデモ隊だがこの物語を始めた本人が地球の勇者達によって殺され、魔法使いは認められていったが彼らはそれを認めたくなかった。
今でも彼らはあの出来事を忘れてはいけないと使命感を背負って生きている、今では憤怒の大罪から加護をもらって不老の集団となっている。
「No.2って今はいないんじゃ?」
No.2と言えば深淵から逃がしてくれた魔法使い達の味方と一時はなった地球の勇者だ、だが2027年にはもうデモ隊を抜けて他の誰かがなったはずだがそんな主力残っているだろうか?
「あの神話に出てきてた人造天使だよ」
暴食の大罪と同等かそれ以上の力を持つ魔法使い五人を混ぜ合わせぐちゃぐちゃになった感情の塊、それが人造天使で今は封印されているはずだ。
「あー……でも天使と悪魔の戦争に巻き込まれてるはずですし僕たちは大丈夫ですよ」
「見た目からすると、あのエネスさんっぽいし見つけても走って逃げれると思うんで通って大丈夫ですよ」
俺は一応英雄なので通らせてくれるらしいが人造天使からは逃げられても魔法を一度でも放たれれば確実に当たるだろう。
だがせっかく通らせてくれると言うのだからこんな好機逃がすわけにはいかない、少し無茶してでも目の前に進まなければ人生を歩めないと決断した、むかし戦うのは勉強よりも簡単だと感じていたが今の自分には守るものができてしまい今までとは違う恐ろしさと虚無を見たくないとかいう感情が同時に戦いには増えて行く。
だがその感情を無くしたら本当の自分から遠のいてしまうはずだ、この時を楽しめていればもう問題はないことにしておこう。
「あざっす」
瘴気が地面に染み込んでぐちょぐちょになっている、生肉を靴で踏むようなこの感触は気持ちが悪くスライムの様な見た目もしていなく見るに耐えない。
(なんだここ気持ち悪い)
足を一歩前へと踏み込ませると自分の魔力を狂わせてしまいそうな瘴気が自分達を食おうとしてくる、生物がこんな所で生きていると考えたらどんなやばいやつがいるか気になってきた。
瑠美は涙を目に溜めていてこんな空間耐えたくもないのはよく分かる、だが泣けば魔物が近づいてくる事を知っているから我慢してくれている。
(右からなんか魔力感じるし左行くか)
最近ではそういうこともよく探知できる様になってきて便利だが使う場面はそうそうない、左に体を向けると瑠美に体を掴まれて殺されるんじゃないかと思った。
「な、なんだ!」
忌み子は悪魔との子で人を殺すのが趣味と世間では教えられていて捏造の様なものもあるがそれも信じている、自分も本当はこうではなかったが親に教えられていた内容では恐ろしいものの具現化だと伝えられている。
「行ったらダメ」
震える手で俺を掴んでいるがこれも何かの作戦だろう、同い年で少し可愛いからとそんな手には乗らないということで、何かあればすぐ助けるが先に右の道へ進ませる事にした。
「じゃあ先行ってくれたら信じるよ」
無口になり右はスタスタと行くと本当に何も襲って来なかったし、人造天使の姿が突然現れるだとかいろいろな能力が使われている様な場面はなかった。
「凄いじゃん……」
きっとたまたまだ、能力も大したことのない人を欺くために貰ったような忌み子に相応しい能力しかないはずだ。
左は一本道で結局何事もなく外に出る事ができた、そこにはリーデ一般兵がいて門番をしているようだがあまり気にせず通してくれた。
「聞きたい事はいろいろあるけども、能力教えて」
殺されないために対策は必要だ、もしもそれが何時間以上一緒にいれば人を即死させられるなどなら聞かなければわからないがそもそも教えるはずもないだろう、吐く言葉は嘘なんだろうし。
「千視工です、聞いたことありますか?」
「あるよ、でもそれって本当?」
千視工、すべてを見透かす神の目、聖職者の相手のオーラを見る事だって魔力も闘気も何もかもが見えるからそいつは必ず教会に勧誘される才能を持っている、だが忌み子が本当にそんな能力持っているか?
「はい」
「じゃあ俺の過去見れる?」
これは勇者級の冒険者ほどでないとできない、もしくは記憶を探る能力だけを極めたもの、これでできたら信じる事にするが仲間として認める事は一生ない。
「もう見ました、言いますか?」
出会った時に見られていたのだ、俺の過去なんてどうしようもないゴミみたいなものしかないから言わないでもらおう。
「信じるよ」
(忌み子なのに良い能力持ってると、周りに誘拐されそうだし……その時なんとかすればいっか)
能力だけなら超優秀だが人種の問題が無くなったとしても国に誘拐されるかどこかの教会に誘拐される、とにかく誘拐される事から逃げるのは無理かもしれないがなんとかするしかない。
また出発し始めようとするとスナイパーがこちらを除いて弾を撃とうと構えている、銃を向けられるのはこれで何度目だろうか。
「あそこの兵士と一緒にいててくれよ」
スナイパーの身元を知るためにそこまで吹き飛ぶと空中で頭を撃ち抜かれたがすぐ蘇生して隣に立った、ライフルを蹴って崖の下に落とすと降参するようだ。
「別にお前を殺す気は無いよ、それで誰から命令されたの?」
「金もらってないし教えるけど誰にも言うなよ?天界に行ったら軍に脅されてやってただけだ」
最初は冷や汗を垂らしていたのに見逃してもらえると思ったらこれだ、若いからそれもそうだろう。
(人の国に帰すのはやはりマズいと……)
もう俺が逃げた事は伝わっていたようで本当に天界を襲わなければいけなくなりそうだ。
いつか天界による事があれば軍と政治は崩壊させるのは決めている、民は一人一人強くそもそも関係ない奴は巻き込みたくない。
「お前はこの後どうするんだ?」
「そうだなぁ、俺は世界を旅するって事以外にすることないし旅を続けるよ」
名前は出したくないが1人どこかへ行ってしまって埋め合わせにはちょうど良い、絶対に手に入れる。
「……仲間になればさっきのあれ許してやるよ」
「おぉ!やっと仲間ができるのか!なるなる!」
「逃げないでね!」
こいつの背中を掴んで兵士の元へ行った、きっと忌み子を見たらこんな俺達から逃げ出すことなんて想像できるが逃げるなと言ってあるから、多分大丈夫だろう。
こいつは瑠美を見た、特徴的な髪色だけですぐにばれると思っていたが予想とは大外れで。
「可愛い子もパーティーにいるのか、入って良かったぜ」
(忌み子を?世界には変なやつもいるんだな)
「そ、それは良かった」
きっと根から自分とは価値観が違うのだろうとそれくらいのことなら全然受け止めた、生きる事が罪と教えられなかったのだろう……いや何かが違う。
「はぁ…」
(最近の俺、なんだか違うな」
語彙力を足らなくしないと今の自分が狂ってしまいそうだ、この考えはまるで一時の苦悩から逃げるための酷い妄想のようだ、昔9歳の時に酒にハマって嫌なことを全部忘れるために大量に飲んだ時のように他人を見下せる存在じゃないのに、見下している気がしてたまらない。
「どうせ王都に向かってるんだろ?それなら黄奈立に行こうぜ」
少し寄り道になるが様々な快楽が彷徨う旅人なら一度は行ってみたいチャイナタウンだ、自分の浅い考えで少し覚悟はいるが行ってみるのも一つの機会だ。
「それじゃ行ってみるか」
「この子の名前とお前の名前聞いてなかったな、俺の名前はツユ ランジーだ」
「俺はエネス・ルペラだ、それでこの子は瑠美だ」
「そうか、瑠美は行きたいか?」
自分が酷い人間……いや普通の人間である事が少し嫌だった、奴隷にそんな事聞かなくたって別に良いんじゃとふと思ってしまったのだ、もうこんなことを考えた後に来る感情にはうんざりだ。
「私は2人について行きます」
「じゃあ決まりだな!」
この旅が本当に終わりを迎えた頃に自分が優しくなれるような人間になれたら良いなと同時に、とりあえず微笑んだ。
(地図で見るとここからどこか分かる?おーい…………)
自分で呼んでおいて思い出したがもうライムはここにはいない、どこかへ行って今頃信徒か何かでも作っているところだろう、今は気にすることなんてないのに何故こうも考えてしまうのだろうか。
「あそこの渓谷を抜けたら黄奈立だな」
「そうなのか、かなりでかいんだろうな」
渓谷はとても大きくその後にチャイナタウンがあるならばそこは王都並みに大きい可能性がある、不法建築に塗れているだろうが本当に楽しみで旅はこういうことがあるから素晴らしい。
するとツユがひそひそと俺に聞いてきた。
「瑠美ってさ……本当は奴隷だったんだろ?」
「だったじゃなくて今もだよ」
「あ……そういえばそうだよね、俺瑠美のことよく分からないからほんの少し教えてくんね?」
俺には適当に話しかけるくせに女となれば丁寧な口調で話したくなるようだ、まぁ俺に忌み子の荷は重いしツユがいれば少しは世間からの負担も減ってwinwinというやつじゃ?そして小声で話し出す
「瑠美は忌み子って呼ばれる世界的に嫌われた人種で、千視工って能力を持ってる」
「おい、あんま忌み子なんて言わないであげてやれよ」
「でも気にすると思うか?」
相手は所詮人と同じ考えは持たない異常者と言える、世界から見たってそういうに決まってる。
「そういう話じゃないぜ、あんな可愛い子にそんな言葉似合わないし人に言って良い言葉じゃない」
「でもそれは世界で異端者って呼ばれてるんだぞ?」
「世界が関係してたとしても、それはどんな事があっても俺の意見は間違っちゃいない」
何か大事な事を思い出せそうなのに思い出せなかった、長き疲労と共に戦ったせいでなぜ自分は転生したのかやなぜ死んだのかを、たったこの前までは思い出せそうだったのに。
嗚呼誰か教えてくれはしないか?自分の見れるはずの世界を。
「そうかなぁ、控えておくけども」
今は何か思い出せそうなのに思い出せない状態で曖昧な返事しかできない、確かにツユの言っていることは正しいと分かるが世間の問題がある。
「はぁ……こいつってこんなやつだっけ」
「最初から俺はこうだよ」
過去を知るわけでもないのに過去を知るように語った、エネスも昔のことは昔のこととして忘れてしまってもう過去なんて捨てた事にしている、ならば今世を体感して最初からの自分はどうだったかを言えばこうなってしまう。
「んなわけ、ほら黄奈立が見えてきたぞ」
荒野に大きな門が目の前には広がっていて周りにはマフィア、またはヤクザのような柄の悪そうなやつや品はあるが絶対やばいだろみたいなやつが大量にいた。
「自分から殺されに来るとは自殺志願か?」
瑠奈に高身長の黒人がそう語りかけた、このチャイナタウンは思想の強い物が多いのは分かっているが殺されるほどなのか?
瑠奈も言葉に詰まっていたので代わりに俺が言う。
「忠告ありがとうございます、ですが僕も強いので安心してください」
「うーん……ま、危なそうなやつには極力関わらない事だな」
「それでは」
門へ5歩進んだだけで白いローブを着た神創教会の者がリボルバーで瑠美の頭を狙い殺されるところだったのだが、ツユがスナイパーをいつのまにか構えて二発放たれた弾を全て貫通させツユの弾は信者の頭の隣に当たった。
(え、すご)
瑠美は目を閉じていて何も見えていないはずだが音で焦っている、それともう一つ罪悪感を持ったような顔もしていた。
「あいつらは弾一発しか持ってないみたいだね」
「らしいな」
信者達は焦って門の中へ逃げて行った、この光景を見た高身長黒人も微笑んで安心そうにしていた。
今度こそ黄奈立に入ってみると匂いから違く、バターと砂糖を煮込んだような良い匂いや化粧の匂いそれと生物が腐ったような匂い。
音はいつまでも騒がしくて銃声や泣き声それに笑い声と料理を作る音何かを作る音、きっとここは多種多様によって日々を楽しくして生きることができる人間が多いはずだ。
(いろいろ売ってんな)
「今日はみんな好きなところ行った方が良いと思う、瑠美はどっちについていく?」
ツユがそう聞くと少し考えはした瑠美だが結果は当然のようにツユ側だ、まぁ俺も忌み子の争いだとかに巻き込まれはず1人で静かにいられるならそれで良いと考えた。
「そうかじゃあ俺は行ってくるよ、夜にはここ集まろう」
「それが良いな、俺達も遊びに行こうか」
遠くから見れば2人はカップルみたいで微笑ましい、いや何思ってる!忌み子がそんな関係許されるはずもないしツユだって望むわけがないだろ。
(しゃっ俺1人ぃ!仲間といるのも良いけど仲間がいるっていう安心感の上での1人は最高)
るんるんで表通りを歩いて装備屋の中へ入った、客は想像通りの柄の悪い人間で俺はまだ15歳の少年であいつらからしたらただの餌だろう。
と思っていたのだが殴りかかってきたりそういうことはしてこなかった、非常識というわけではないようだ。
剣は振れればいいから今のでいいが小杖は魔力操作性もあるので闇属性を纏った小杖を買う事にした、今まで闇属性なんて使ったことがないから楽しみだ。
実際のところ使い方が上手くないと魔法そのもの使えないし、自分はナイフ一本で戦争中の兵士350人殺せる実力は持っている。
「これください」
「それはゴミだが杖をもう一本持ってるか?」
何年も前に魔道具屋で貰った自分の人生で色の変わる灰色の石がはまった杖を渡すと、ゴミと言われた杖を合体というよりかは溶けるように灰色の杖に流れ込んでいく、妙に変化はない。
「これで杖を振るだけで少し遠くのものまで切れるようになった、しまっておかないと大変な事になるからな」
「マジか!」
すぐに懐にしまった。
「あざっした」
テンションはマックスになってとりあえず誰もいない裏路地にあった石に向けて杖を振った、想像通りに石は壊されたが威力はあまりない。
(こんなもんだよな)
結果に納得して表通りに入ろうとしたら頭を何かでフルスイングされて眠ってしまった。この流れ三度目か?
「またこれか……」
目を覚まして裏路地に入った事を後悔しながら魔力を周りに人間が耐えられないような雷属性も混ぜて放った、が全て自分に跳ね返り一度死んで蘇生した。
(もうこれ詰みでしょ)
周りを見たいがそんな勇気自分にはない、とりあえずの絶望を味わってから自分に付けられているはずの拘束具を外したい、だから俺を攫ったやつに交渉をする事にした。
「助けてください、何もしないんで」
というのは言葉だけだが今は丁寧を添えておけば少しは考えてくれるはずだ。
「自分の知ってる事全て話す?」
「もちろんっすよ!」
何もしないという言葉を聞きたかったのかこのタイミングで話しかけてきた、大体この流れからしていきなり爪を剥がされるんだろうと確定していると思っていたのに。
「あなたは大罪と共に生きるか何も持たずに生きるか、どっちを選びますか?」
別に大罪を持ちながら生きていない人間なんてこの世にいるはずがないし、そこで窃盗だとか殺人をしなければ罪には問われない、ならば大罪と共に!
「大罪です」
「自分を痛めつけてくる自分に必要な存在をあなたは殺しますか?」
こいつは俺の過去を見てこの問題を出しているのかもしれない、確かに昔は大罪の具現化みたいな人間性をしたゴミ野郎だと自覚している、今思い返せばあの時親を憎んでいた事に世間から見た時に罪は生まれるかもしれないが、法の上ならなんの問題もない、それに普通に殺すのは間違っていなかったはずだ。
「……そんなん後悔はあってもやらないと狂っちまう」
「あなたは、過去の自分に会ってみたいですか?」
また時間なんて与える隙はくれなかった、それに意味不明な過去の自分に会いたいかなんていう質問だ、実現できるはずもない。
「会いたくない」
しばらく沈黙が続くと目隠しをされていて分からないが頭に何か突き付けられている感覚が伝わってくる。
「もう良いだろ?こいつにさっさとラヴィニアファミリーに入れって言えば済むじゃないか」
「え?絶対入らないっすよ」
ここで不死の能力を使ってしばらくの間死んだままにしていれば、片付けられる頃に逃げ出せるだろう。
「あーあ……やっぱいらなくなっちまったぜ」
「安心してください、エネスさんは死んだ後にどうにかして逃げるつもりでしょう」