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幻想は程遠く  作者: しばしば星
嫌いな世界を愛すため
14/17

黄金世界の悪魔①

自分はどこに連れてかれたのか、軍ではなさそうだしさらに上の何かでもないはずだ。


「次は!このオークションでNo.1として評される不死子だぁ!二億から始めます!」


なんと自分はオークションの商品として出されていた、確かにここならいろんなやつがいて人間を買うやつなら監禁設備もバッチリだろう、ただ嗜虐趣味の人間もいるので俺はなるべく早く此処から逃げ出したい。


周りが自分を求めていたかのように3億4億と値段を上げていき買われるのは確定しているようだ、その時は力ずくで逃げるまでだがもしも逃げられず拷問をされたら?なんて考えたくもなかった。


するとそんな中一人の男の声が会場の中に響いたのがまさに15億という値段だった、こいつバカじゃないのかと思ったが周りの悔しそうな声が聞こえて自分をどんな用途で使うのか考えたくもなかった。


「おぉ!今年1の金額ですな!」


俺は台ごとどこかに連れて行かれ観衆の声は徐々に薄れていく中で、人の声が電子音へと変わっていき自分は腕に焼き印か何かをつけられ荒い息を吐いて耐えている。


「歪んだ異形種か?騙したのか?」


さっき自分を高額で買った男が機械に問い出した。


「転生者です……オークションですのでワケアリもいます」


事前に確認されずに出品されたんだろう、だがいきなり人を見て異形と言うのはどうかと思うのだ、ギリ侮辱だろこれ。


「そういうのは先に……これ以上言っても意味がないか」


俺は何かを刺されて眠りについた、目を覚ましてもまだ明かりは見えなく目隠しを付けられたまま何処かに連れてこられたのだ。


相手は油断しているせいかこの空間では魔力が使えた、魔力の刃で拘束具を切り裂き警戒も兼ねて刃を周囲に吹き飛ばして誰かがいれば即死だろう。


「ぜってぇ許さねぇ!ぶち殺してやるよ!」


ここは地下牢で誰もいなかった、いったい何が目的で連れてこられたのか不思議としか言いようがなかった、だが今自分のするべきことはただ1つしか無かった。


何回も信用して何回も俺を襲った天使の軍を戦争中だろうが崩壊させることだ、なんなら政治も働けないくらいにしてやろうとも思ったが彼奴等の仕事は秘書に仕事を押し付けることだった。


(ライムは……まだいないか)


さっきしばらく会えないと言ってから何時間だろう、何か準備をしているのかもしれないが魔力しかない魂の中で何をするというのだろう?


黒い鎧と布をセンスある着方をした兵士が俺を静めに来たのだ、どうせここも天使の国だろうから心臓に石を本気で投げ貫通した。


「まだ喋れるだろ?ここは何処がどこか言えよ」

「3階まで登ってこい」


そういうと塵になり消えていった、自分を複製させて動かしていたのだろう。


言う通りに自分を買ったやつのいるはずである部屋に向かった、もう誰も逃さない。


2階に行くと杖を持つ女が自分を誘導するように上の階へと登っていく、挑発を受け取り自分もついて行った。


「俺とやり合う気か?」


階段には自分の剣と杖が置かれていた、そんなに弱く見てるなら即死させてやるよと転生前並の怒りが自分に存在していた。


暗く月明かりに照らされた3階の部屋は何人もの黒い鎧の騎士が一番奥の机で何か考える、黒いロングコートを着た男への道を作るように並んでいた。


「お前天使だろ?」

「そうだが?」


スナイパーを生成した、少し脆いが一撃で頭を撃ち抜き殺せる。


発射するとさきほどの女が弾を切り裂いた、さっさと殺したかったので熱線を放ったのだがなぜか攻撃が弾かれる。


(こいつうっぜぇ)

「残念だったな、まだやるのか?」


攻撃が通らないならあいつ以外全員殺してから軍へ向かおうと考え、自分を魔力壁で覆い魔力爆発を起こそうとすると頭を跳ね飛ばされた。


(なんで……天使のくせに!)


蘇生するよりも早くに頭の代わりに魔力精霊を付けて、レーザーを放ったがそれも当たらなかった。


きっと今の自分が今まで生きてきた中でもかなり辛いほうだろう、許したのに騙され挙句の果てにはこんな奴らの所に運ばれる。


「どうせ才能だけで楽な人生送ってきた天使が、生意気な口聞くなよ!」

「確かに、努力もあったが才能がほとんどだったな」


あっさり認めた相手がさらに憎らしく感じた、自分も不死という才能は持っていたが不名誉な価値を手に入れて、不死というだけで国に追いかけ回されたりもう散々なんだ。


「どうして誰も……」

「救いなんて求めるのか?不様だな」

「もういいさ、このの人生はじゅうぶん面白かったよ」


俺は不死の唯一の弱点であり救いの自殺を行おうとした、自殺をすれば本当の死を味わえるとそう書いてあったから信じて切腹しようとした。


本当なら生きることは許されない世界で生きていたのだ、もう自分はこれ以上求めたいものはほんの少しもないしあったとすれば強欲すぎる。


(ごめんね、ライム……)


腹に剣を突き刺すと人にやられるよりも痛さは感じなかった代わりに、今まで救ってくれた人間たちに申し訳ない気持ちで罪悪感が強く残り人じゃいられないような気持ちだった、死ぬ前に希望を持った俺が馬鹿だったと昔の自分を恨んだ。


「待て!殺すつもりもない!」


最初からあの男の言葉なんて自分の心に届いていなかった、殺すつもりがなくても俺は殺したいほどお前らを憎んでいたのだと、それもあるが最後に諦めをつけさせてくれたのは感謝しているのだ、所詮この世界は才能とかいう神に好かれたものを持つ人間しか生きていないと。


「待たせたね」


自分が死んだことで契約が解除されたライムが自分の力を取り戻し、人として完全体のまま現れた。


敵も歴史を少し習っていれば分かることでライムは開祖であり最凶の魔術師だ、と言っても相手も相当なやり手で勝てるは勝てるが今は時間がない。


「リンワット家の……復讐か?」


挑発的な笑みでそう言われていたが、俺の死体を抱えてルニアの館へテレポートした。


ルニアが駆けつけ驚いた表情で俺の傷を見た、ライムがここに連れてきた理由は回復専門のルニアに蘇生させてもらおうと考えたのだろう。


「おいおいエネス、死んだのか!?」


ノナカも駆けつけてきて傷を見た、この中で一番早くに死因に気付いたのはノナカで腹の傷の深さだけでそれを見抜いたのだ。


「……俺じゃこいつの側にいてやれるような優しさ無かったんだ、こいつを蘇生させてやってくれないか?」

「気に病むなよ、これはエネスの人生なんだ」

「……知るか、俺はもう帰る」

「帰るってどこに?」


ライムは黙って池の中へと飛び込みリンワットへ帰った、ライムに帰るところなんてないだろうに一体どこへ行ったのだろう。


「蘇生……させたほうがいいの?」

「俺には、分からない」


こういう事はたまにあるがいつもならもちろんと言って蘇らせる、が今回は理由の分からない自殺でありがた迷惑になるかもしれない。


死んだ者の過去を見ることはできないしどうすれば良いか分からないが自分を信じて、ルニアが蘇生させた。


「ありがとう……おかげで旅をする目的を見失うところだったよ」

「お、おう」


俺も池の中に飛び込みリンワットへ帰った、あの池に飛び込んで奈落に入った事を思い出したが今度は町にいた。


(なぁ、ライム)


返事はない。


(どうしたんだ?)


未だ返事はなくもしかしてと考えたが、そんなはずがない、いつも一緒にいたんだから。


(返事してくれよぉ、ドッキリか?)


返事はずっと返ってこなかった……仲間がとうとう誰もいなくなってしまった、ずっとそうだった、すぐに現れてはすぐに消えて。


もうこれ以上考えても仕方ないことは分かっていたが、考えていないと本当の自分が自分を蝕んで狂わせてしまいそうだった。


「お前が消えたら……俺に残ったものは何なんだよ?いつもみたいに教えてくれよ……?」


もうエネスに残った大事なものは、考えても分かるように何も残らずたった1つのものが消えてしまっていた。


「はぁ……傲慢だよな俺は……誰かに俺といてくれなんて最低だ」


ライムが消えてしまったというのは信じ切らずに町の中をただ歩いた、人は絶望すると絶望するまでに何もしなかったくせに突然何かをしだす。


いつの間にか路地裏に入っていた、案の定チンピラに絡まれてしまったが声が全てぼやけて何も聞こえない。


「こんな雨の日にてめぇみたいなガキがこんなとこ来て……駆け出しか?」

「んなこといいからよぉ、金出せば見逃してやっからよ」


こいつらはこれでもマシな方だ、子供を殺して死体を表通りに投げつけるやつだってこの世界にはいるくらいだ。


俺は言われたとおりに金に入った袋を水に濡れた地面に落として少し睨まれたが、一人の首を掴んで壁に押し付けると壁が割れた。


「仲間に、なってくれないか?」

「お、おいキリトを離せ!」


言ってることとやってる事が化け物に近い、これじゃあ両方が悪になってしまう。


仲間の言うことは聞かずに今痛め付けているやつの返事を待っている、まだ声は出せる余力は残してやっているからだ。


「わ、分かったよ……」


失神しかけた状態で言われてやっと手を離して地面に一人が落ちた、後ろを振り向き残りの二人に聞いた。


「お前らはどうする?」

「仲間に……なりますよ……」


なんでこんな些細なことで酷い目にあわなきゃいけないんだと言いたげな目だ、先に何もしてないのに喧嘩を売ってきたのはそっちだろうに生意気にもほどがあると思った。


「ありがとう、ここらに小さくて人の寄りつかないダンジョンはあるか?」

「それなら俺たちのアジトっすね……ついてきますか?」

「もちろんだ」


皆のポケットの中に金額20枚ずつ入れた、これだけあれば豪邸が買える金額だからそれほど期待しているという意味だ、3人は恐ろしい目にあった甲斐があるもんだ!と喜んだ表情を見せていて俺もことが上手く行き少し微笑んだ。


だがこの時から少しづつ自分では無くなっていっている気がした、恐れなんて無かったのにもう遅いと言うところでやっと現れてくれた危機感。


アジトは確かに小さなダンジョンで、モンスターも湧かない神の失敗作のような場所であった。


「良い場所だな、この一ヶ月の間に奴隷商のもとに行き言う事を聞きそうな奴隷を買ってきてくれ」

「そ、そんなのでいいんですかい?」

「成功したものに10金貨だ、俺はそうだな…あそこの塔で待ってるから1ヶ月後を楽しみに待ってるよ」


3人が笑顔を取り戻して奴隷商のもとへ行ってしまった、あの金で真っ当に生きてもらいたいがそれはどうやら無理そうだ。


塔はもう誰も使っていなく今にも崩れ落ちそうな石塔だ、中に入ると螺旋階段が上へ向かっていて壁はところどころ穴が空き日差しがこの中を照らす。


「はぁ……」


油断すれば涙を流してしまいそうな自分を押し殺してとりあえず上に登る事を考え進んだ、こんな自分の姿は誰にも見られたくないな。


「いつになれば、都合の良い世界ができあがるんだ……」

「来るわけないでしょ?」


独り言に対して誰もいないはずの塔から返事が来たのかと思うと、下には黄色と白の稲妻のような可愛らしい服を着た幼女が俺を純粋ではあるが目には何が見えているのかわからないような見方をしてくる。


「そうだな、世界は平和にならない」

「チッ……何個か質問に答えて」

(舌打ちした!?)


突然のことすぎて驚いたが面白い子だ、質問くらい答えてやろう。


「罪を犯すことは何が悪いと思う?」

「相手が悲しむとか」


なんだか呆れたような顔をされた、こんな目で見られると何もしてないのに恥ずかしくなってくる。


「罪を犯した人を裁く権利のある人は完璧だと思う?」

「さすがにそうでしょ」


なぜだ!この幼女は俺を憐れむような目で見ている、どちらかと言うと見苦しいものをみる時の目だ。


「あなたの望む世界はどんな世界?」

「平和な世界かな」


自分の思う通りに動く世界だとかいう子供じみたことは言わずにちゃんと言ってみたが更に酷い目つきで俺を見てきた、期待に添えなかったのだろうか。


「あなたは人は好き?」

「……好きだ」


ため息を吐かれるとこんな幼い子から出るとは思っていなかった言葉が聞こえた。


「あなたは夢しか見れない理想主義者……結局自分は何もできずに他人に自分のすることをやられてるでしょ?」

「……俺を殺したいの?」


自分のことは自分がよく知っている、いや全て知っていると思っていたのに自分よりも初対面のこの幼女の方が自分の事を何倍も知っていた、こんなに心が抉られて救われたような依存性のある気持ちは久しぶりだ。


「全然?それより……私の答えは合ってた?」

「認めたくないけどそうだよ」


なんでこんな幼女に言われなければいけないのだろう、こんなこと言ってくるなら転生者だろとも思った。


「転生者?」

「はぁ、年上は皆自分の見透かしてきた人を知ろうとするのね……違うわ」


嗚呼、神はなんて子を産んでしまったのだ!

少し相手を知ろうとしたからってそんなこと言わなくていいじゃないか。


(なんかなぁ……)

「無知は罪、いつも人は相手を知るために争う……だからあなたは無知のままでいなさい」

「はい」


俺はもう異常な人間ではない別の生物を見たような気分だ、これは幻影なのかとも思えてきたが図星を突かれたからとそう逃げるのはやめた。


「人を知るのは怖いわね」

「そうですか?」

「人を知れば自分を再確認するでしょ?それが怖いの」


この子はそこらの大人よりも考え方が深く自分から相手に言ったことを本当は自分もそうなのではないか、だとかの考えが恐ろしか感じているのだったがそんなのは些細な憂鬱だろう。


「俺は人を知る事は好きだけど、そこまでは考えたくもないな」

「誰もがそう思うものよ」


こんな争い以外の事で自分に深く心に残った場面は今までなかった、俺はこの子の話を聞いてから詮索しようとしたりするのはやめた。


もう夜も近いのにまだ家に帰らないのかと思ったがこの事は声には出さず、何も考えず町を見下ろした。


そうしないと今までのことを思い出して狂った本当の自分が現れてきてしまうからだ、本当は顔にもそんな事は出ていないのに心の中では苦しみ忘れたいという欲が強くどんどん鬱というものに近づいて行く気がした。


「私は聖職者の印を持っているからあなたのことがよく分かる、この世界はあなたの人生に必ず存在するものだから、耐えるしかないの」


確か聖職者はオーラという魔力とはまた別の何かを見て、相手の感情と次に向かいたいと思った場所などを読み取ったり、それで傷を確認したりするらしいが本当のようだ。


「耐えたくないなぁ、壊れる時は盛大に壊れて全部忘れたい」

「抑えきれないのね、それでもあなたは人を殺せるけど殺してこなかった……なんなら魔物にすら抵抗ができてきたのね」

「そんなの当たり前だ……」


こんな当たり前のことを言われて涙がでかけている自分こそが異常者なのかも知れない、エネスは人に全てを奪われてもただ抵抗ができなかっただけで本当ならいつ殺していてもおかしくはないのに……そんなふうに言わないでほしい。


「周りに奪われてもあなたは何一つ奪わなかった、あなたは偉いのよ」


こんな幼い子に頭を撫でられ涙を流した、自分はなんて情けないのだろう。


年上でありながらも自分よりも下の子に慰められている、いやこの話し合いに年齢なんて最初っから関係していなくそれを知っているから俺は泣けたのだ。


「ありがとうな、俺は仲間のところに行ってくるよ」

「行ってらっしゃい」


俺は塔から吹き飛び仲間のいる奴隷商がオークションをしている裏路地へ向かった、探すのに案外時間はかからずビルとビルの隙間から俺は小さな風圧の波を起こして地面に落ちた、そこには例の三人がいた。


「今日はありがとな」


本当なら一人だけに10金貨渡すつもりだが一人ずつに10金貨渡した。


「え!?みんな貰えるんすか?」

「そうだ、俺も気が変わったんだ……アジトに帰りなよ」

「あ、あざっす!」


三人はダンジョンへ帰ったようだ、俺は奴隷商が怯えた目で見てくるものだからさっさと買ってエンゼルトに向かうことにした。


「一番強いのを買いたい」


奴隷商が紹介してくれたのは、喋る星楼という魔物とキアルという仲間にしたらすぐに殺してきそうな化け物しかいなかったので、やっぱり弱い奴隷を買うことにした。


それは紫と黄色の髪の毛をした忌み子で有名なあの悪魔と人の子だ、見た目は可愛い同年代感はあるが絶対何かしょうもないことに巻き込まれるというのは決定してしまう。


「マシなのはいないのか!?」

「私も頑張ってますよ!ですが今月はこれしかいなくて……」


俺はため息を吐いてどれにしようか迷ったが、こんなやつらしかいないならもう諦めて旅に出た方が良いはずだと後ろを振り返ると奴隷商が俺に駆け寄ってきた。


「お、お待ちを!私は最近まともに何も食べれていません……ここにいる奴隷達を皆1金貨でお譲りします!どうかお買い上げを!」

「えぇ……嫌だよ」


奴隷商がナイフを取り出し自殺をしようとしたので焦って止めに入り、俺は結局買う羽目になた。


なんで俺はこんなやつのために人生を蔑ろにするような行為を取ってしまうのだろうと悔やんだが、きっとこれも善行のうちの一つだろうと考えるのをやめた。


(なんで忌み子と化け物しかいないんだよ……)

(やっと買ってもらえる!)


奴隷商が喜んでくれているなら俺は良かったと思えた、だがこの奴隷達は俺が来たことに絶望しかしていないに決まっている、オークション会場で出品された時の俺と同じような気持ちだろう。


「勘違いしないでほしいが、俺はお前らを傷つけはしないからな」


この言葉を言ったが三人……いや二匹と一人は変わらないためなのか俺を睨みつけている、こんな買いたくもないやつらを買うのかよと愚痴を小さくこぼして決めたのは、歳が近そうな女の子を買うことにした。


「この子で」


女の子は絶望したように目の色を無くして下を向いた、俺の方が何倍も絶望してるのになんでこんなやつが。


1金貨を渡して牢屋から出てきた、きっとこの子は性奴隷やそちらの類で売れるはずだったのだろうが俺はそういうのはあまり興味はない、それに俺には性関連によるトラウマもあるのでそれが消せるまでは到底無理だろう。


「この子の名前は?」

「古田 瑠美という名前でございます、年齢は16歳でありますね」


瑠美は日本人らしくリンワットの世界の者でもないし外国人でもない、話しやすい仲ではあるが奴隷であった者にいきなり話しかけるのは嫌われるかもだし、そもそも忌み子とは喋ってはいけないというのが常識だ。


「ちなみに、A/1生還実験のエリアで見つけた子です」


生還実験という名のA/1爆発実験での失敗で起きたエリアで奴隷商が見つけた子だ、A/1が連鎖して爆発したあとに国からは実験と名付けられ国の情報ではほとんどの人間は生きて帰ったと言われるが、真相は誰も分からない。


「はぁ……瑠美は何ができる?」

「……返品はできませんからね?」

「はいはい、それで?何ができるんだ?」

「……家事でございます」


家なんて持っていない自分に対する侮辱とも思える能力だ、こんな子は世界で誰からも必要とされた事は一度もないだろう、リンワット人との交流のおかげで男女共通で家事は当たり前にできるというのが常識なのだ。


「は?いやいや、俺家事全般できるのに?」

「と申されましても」

「もう良いよ、次会う時はもっと良いのを持っててくれよ」

「もちろん!」



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