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幻想は程遠く  作者: しばしば星
嫌いな世界を愛すため
13/16

時の流れは言葉の意味を風化させ

勇者の言うA/1とは「カオスハート-dawn」にも登場した半径50kmを炎と化した臨界実験の失敗と国の悪意で生まれた最古の最強兵器の一つである。


そのデータを消して欲しいと言うのはまだA/1は制作されていないがまた作り出すだろうと言う不安で仲間を作りたかったのだろう。


勇者が神のように最強の具現化であったとしても殺すことでしか英雄になれないようでは何もできないと自分でも昔から実感していたのだ。


勇者のほぼ強制的な誘いに断っていいのか分からなかったが旅の終着点エンゼルトまでここは近いし外に出る方法も知っているはずであるのだから着いていくほかには選択肢なんてないだろう。


「一つ聞きますが外に出る方法があると?」

「もちろんあるのだが、第6層にいるミミックの転移魔法だけに当たらなければいけない」


深淵のミミックと言えば冥王とも呼ばれ今まで見た者は百人に満たず、一度でも攻撃を与えられた者はいたのかどうかと言う化け物だった。


だが勇者がいれば例え国が敵であろうと怖さなんて微塵も出てこなかった、これこそが正真正銘の安心感である。


「貴方がいれば怖いものなんてありませんよ!」

「仲間だから助けることができたら助けるが、私にも不可能はある」

「それでも頼もしいですよ」


勇者は今まで自分が決めた目標は必ず成功させ失敗した事なんて一度たりともなく、だからといって自分にも悲しい事が舞い降りる事はあるとその悲しいが自分にもできない不可能が勇者にできない事だ。


と言ってもその被害は小さすぎて、その不可能とは昔に各国が地球に現れた魔法使い達のデモ隊の事で戦争を起こしたのだが、勇者が黒幕の魔力を仲間の少女に承諾を得た上で吸い取ってもらったのだが短く長い旅は黒幕の魔力に少女が乗っ取られ、最終的に殺してくれと頼まれ勇者が殺した。


勇者の不可能なんてものはその時代では些細で身近なもので、勇者以外の国民は少女か国どちらを選ぶかなんてのは言うまでもない事だ。


詰まるところ勇者ら超人すぎるが故に真の不可能は存在しない。


「……ライムは深淵を好きなようにしていいよ」

「分かりました」


何故勇者がエネスの魂の中にいるライムの事に気づいたのかと思ったがそれは今まで自分達を導いたスライムの名前であった。


「それでは着いてきてくれ」

「はい」


この部屋は単純な構造で扉が2つしか付いていなく、ベッドの隣にある扉をあけると大穴の側面で少し足を踏み外せば落ちてしまいそうだ。


「しっかり掴まってくれよ」

「はい?」


勇者がエネスの背中を掴むと、突然大穴を直下するように落ちていきもう命が助かる事は諦めたがそもそも不死である事に気づき安心したが、それでも痛いのに変わりはなく抵抗した。


「何やってんすか!」

「舌を噛むぞ」


3分ほど落ち続けたのだろうか、辺りは明るさを失い何も見えない地獄のような場所で音も響かないせいでより恐怖を呼び覚ます。


地面に降り立つと爆風が辺りに生息していた花の生えていない頭だけとなったワイバーン達を吹き飛ばし、刃雷の侍というミミックを守るゴーレムを呼び覚ました。


「勝てます?」

「問題ない」


勇者がワイバーン(魔力頭骨)と刃雷の侍をスマホで撮ると、弓を取り出し敵の頭をただの矢で撃ち抜くといつの間にかゼロ距離で頭を撃ち抜き心のないものであってもかなり強い相手だと言うのに隙を作り出すのはとても至難の業に見えた。


(カッケー)

(ここはもう勇者に任せていいんじゃね?)

(だよな、俺いても足手纏いだし)


今の自分には役目がない事は分かっていて、自分を守る事だけに専念する事を誓った。


刃雷の侍が塞いでいた道の奥に勇者が闇属性と光属性を纏わせた熱線を今までに見たことのないような威力で放つと、人の悲鳴がいくつも聞こえたが幻影系の魔物がそのような声を発しているのだろう。


勇者は無言で奥へと進んでいくので何か気を悪くしたのかと思っていたが会った時からこれで、どうせ最初から無口なだけだろう。


「ミミックは瀕死になると転移魔法を使ってくるからなるべく攻撃してくれ」

「本気でやります」


深淵の最深部にいるミミックはドラゴンの頭を職種の先に付けていて、顔は無くただ丸い黒曜石のような何かが触手を操っているようにしか見えなかった。


まずはエネスがミミックに水魔法を目では追えない速度で放つが敵の大きさに対してこちらの魔法なんて効いている気がしない。


「効いてないっす……」

(ミミックには炎魔法が強いぞ!)

(じゃあやってみるか!)


ミミックに火炎を放ってみたが全く攻撃が通っていなく、今の攻撃の光でやっと自分達の存在に気づいた程度であった。


自分達ではどうしようもない相手であり、全て勇者に任せようとしたがいつの間にか勇者がミミックの目を切り裂きこの空間がいきなり魔力暴走を始めた。


「マジかよ……」


魔力壁を張っても詠唱の代わりにミミックの目が魔力暴走した元素をシールドと同じ周波数にして貫通してくるせいで、体に石の針が突き刺さる。


もう痛みに慣れたのか悲鳴をあげたりだとかそういうことが少し我慢すれば無くなってくるのを感じた、こうやって身をもって体験すると強くなってきていることがよく分かる。


(そろそろだな)


勇者がこの空間から目を離した瞬間に消えていて、それに気づいた時にはもう転移魔法で王都に飛ばされた……と思ったら転移場所はランダムで、中級天使と悪魔の分裂体が戦争をする人間の土地。


リーデ大荒野へ転移していた、勇者は悔しそうにしていたがエネスからすれば新しい場所はただ楽しいの一言しかなかった。


「ここですか?」

「全く違うな……まぁ良いさ、ここから先は私が全て解決するよ」

「え、できます?」

「勇者にできない殺しはないよ」


1人で国の持つミサイルの機密情報を無くすつもりならもしかしたら殺されてしまうかもしれない、と思ったが地球の勇者が負けるのは想像もできないし魔王よりもずっと強い存在なら世界征服も夢ではないだらう。


(これ以上関わってもろくな事はないぞ)

「うーん……でも俺はついて行きたいですよ」


勇者は昔の出来事のせいで仲間を作るのが嫌になっているのは知っているが、せっかくの勇者が何百年ぶりかに作った機会を無くすわけにはいかない。


「いや、私は1人で全て解決させるよ」

「でも相手は国なんですよ?」

「だが私は勇者だぞ?誰であろうと救うのが私の勤めだからな、また会えた時は君と旅をするのも悪くないかもな」


勇者はそう言い残しライムと同じく黒い膜に覆われてどこかに姿を消してしまった、勇者はもちろんA/1のデータは消せるだろうが国側は勇者が襲撃してきてどうたらこうたらと流すのが少し心配であった。


「行っちゃったよ」

(きっとお前の事を巻き込むのが途中で嫌になったんだろ)

(そうなのかなぁ、まそうだよね)


これ以上結論を出そうとしても言ってしまった事には変わりもない、今はこのまま目に映る少し遠い王都に向かう事を考えよう。


だが運の悪い事にここは戦争地帯できっとではなく必ず巻き込まれるだろう、ランダムじゃなくもっとちゃんとした場所に転移させてほしいものだ。


(ここじゃ戦争に巻き込まれるだろうし、夜になるまで待とう)

「じゃああそこの倉庫で隠れるよ」


近くに頑丈そうな倉庫が建てられていてそこに隠れていれば人間を巻き込む戦争ではないだろうし、と隠れることにした。


扉を開けると強面の男達が銃をこちらに向け頭を撃ち抜かれた、が蘇生して立ち上がると驚きはしていたが隙をなくすために蘇ったら何度も撃ってきて考える隙もない。


「おいおい……こいつって」

「は?何が?」

「うわ!最初に撃ったの誰だよ!」


大悪魔討伐の名が広まっているのか天使の兵士も焦っていて、今回も蘇生したが目は開けず死んだふりを続ける事にした。


どこに行っても最初は必ずボコボコにされるのがエネスなのか、不運を極めている。


「とりあえず死体隠すか?」

「燃やして灰にした方が良いだろ」

「お、俺はこの会話に混ざらないからな」


燃やして灰にすると言われ想像してみると、火で焼かれ何度も蘇生してまた火傷を負い拷問の始まりだ⭐︎

と言うのを予想できたので言葉で解決する事にした。


「あのさぁ、いきなり撃ち殺してくるとか人としてどうなんすか?」

「うわっ気持ち悪」

「何で生きて!?」


この旅でこんなことが多すぎて怒りも交えて言ってみると自分が生きていることが不思議らしく、話を聞いてくれない。


「上の人間呼べよ!俺殺されたんだよ?人間と戦争起こしちゃうつもり?」

「いや、そんなつもりじゃないですけど」

「とりあえず隊長呼んでこいよ!」


天使も謝ってくれるようだが、上の人間が謝ると言う流れが見えて自分はただいきなり撃ち殺してくるのを見つめ直せと言いたいだけなのでこいつらに謝らせる事にした。


「俺はあんたらに謝って欲しいわけ、分かる?」

「それは本当にすいませんでした!あの……これって国に報告したりするんですか?」

「それはめんどくさいからしないけども……ただ俺は戦争に巻き込まれたくないんで夜までここで待機するつもりなんです」

「それなら隊長に聞いてみますね」


天使からしたらただのクレーマーにしか見えないだろう、こんな話が戦争をしているというのに長引くと思っていたのかすぐに話終わるとホッとしたような表情を見せていた。


自分も争いにならなくて良かったと思っているが、この姿を見たライムは引き気味であったがそんな事は気にしたくもなかった、この対応の仕方はいきなり殺してきた相手に対して妥当なのにそんなふうに引かれてたまるか。


隊長を待っていると突然頭をスナイパーで撃ち抜かれこの瞬間何も考えることができなかったが信用は心の底から一瞬で無くなった、ほんの少し留まらせて欲しいだけなのに何故殺されなければならないのだろう。


こんな奴ら許して良いのだろうか?

天使と言えど野蛮な魔族なのだろうか、いやちがうんだこんな事を思ってはいけないと思いたくてもどうしてもこんな奴ら差別したくなるし殺したくなる。


自分はこんな人間ではないはずだ、地球で一度も会ったことのない他国の人間を批判する自国の人間のようにはなりたくなかったが、普通に考えてみれば自分を何回も殺して信用したと思えば殺してきたのだから許さなくても良いだろう。


蘇生してまず自分から生まれた感情は裏切られたという先入観混じりの悲しさと、もう一つが今までの旅のストレスもあるが何で自分は死んだのにまた一からやり直さないといけないのだろうという、まるで病んでいるかのように根っこから世界を否定したくなってきた。


「打ったのは誰なんだ?」


名乗りでないのでじれったくなり隣にいた天使2人の足を地面に落ちていた鉄棒を見つけしゃがみ、何かに気付いたのか天使がピストルをこちらに向けるが人間に撃つ度胸はなく、ほんの0.1秒躊躇っただけで天使達はエネスの拾った鉄棒で足の骨を砕かれた。


天使が悲鳴をあげていて犯人を探すには良い道具だと思ってもいないし、思えるはずのないようなことが頭の中にふと思い出た。


(おいエネス……そんなキレることないだろ?お前は何度でも蘇れる)

(は?)

「前から思ってるんだけどよ、価値観がおかしいんだよ……何で蘇れるからって痛い思いしなくちゃいけないんだよ?それなら周りの奴らが死ねば良いだろうが?」


こんな事を言っている自分を見ると悲しくなってくるが至極真っ当な事を言っていた、自分を殺した人間も同様に死んでしまえ場合という考えは何も言い返せないし、言い返せたとしてもこの世界では今も使われる綺麗事だけだろう。


(でも……いや、俺が悪かったよ)


ライムも綺麗事でいいから何か優しい言葉をかけてやりたかったのだが、そんなこと言えばエネスを無理やり優しくいなさいだとかこれ以上やっても意味ないなんて事を言えば、転生前のエネスのように取り返しがつかないところまで行ってしまいそうで今はただ時の流れに任せたほうが良いのかもしれない。


「次は頭を砕くぞ?さっさと出てこいよ」


そういうとエネスの足元には床があったのだが、いつの間にか無くなっていてその暗いどこかに落ちてしまった。


「ここはどこだよ……なんで、俺がこんな事になるんだよ!ゴミみたいな奴らが死ぬべきなのに!」


暗い空間は真っ暗で、広く見えるのにとても狭い棺の中にいるような感覚でこれは即席魔攻封印をエネスに使ったのだろう。


「なぁライム……」

(どうした?)

「これで怒るのは俺が悪いのか?」


この質問がライムの中では間違えてはいけない気がした、確かに怒るスピードとしてはいきなりで今まで旅をしてきてずっと見ていたがこんなことで起こるようなやつじゃなく、積み重ねで怒ってしまったのだろうとは分かっていた。


だからこそここではライムの思った偏見も嘘も何もない、自分の思った事を素直に言うことにした。


(いや、殺されて怒らないやつはこの世にいないよ……それにエネスは騙されて殺されてるんだから)

「……そうか、ありがとう」


エネスの心の中ではライムの自分に対する優しい言葉が魂に突き刺さるように痛く、自分の中では本当にこの行動は自分のして良い権利のはずなのに何故かとても嫌ってしまう行動なのだ。


(もしも辛くなったら強欲の大罪の名を持つ大悪魔に話を聞いてもらえよ)

「俺は幸せすぎるくらいだ……怒ることも許されてるんだし辛くなって誰かに縋ることなんてできないよ」


この空間から出るために、自分が一番傷つかないように封印は闇属性でできているがその闇を越える元素のない魔力を大量に流し込み封印を割った。


「増援を呼ぶんだ!生かして返すなよ!」


隊長がそうやって指示する理由は、国に帰り市役所だとか警察または兵士などそんな人間達にこの件を吹き込まれる可能性を見て今ここで始末したかったのだろう。


だが今のエネスはこの前に起きた覚醒状態よりも自分に一番関わりのある怒りがさらに自分を強くして、どんなふうに今だけは力を使っても許されるので殺されるのは天使側だろう。


「俺を騙して殺したこの種族を根絶やしにする、こいつらの国はどこにあるんだ?」

(え……もしかして関係ない天使まで殺すつもり?)

「連帯責任だ」


これを聞いた天使達が仲間と話しているのだろうと勘づき一斉にライフルを放ったが、風魔法で精霊を完全顕現させて精霊が弾を風元素で包み込むと天使達に全て跳ね返った。


(俺は今ガイドにしかなれてないけどさ、この天使達も戦争で感覚が麻痺してんだ……許してあげてくれ)

「さすが開祖だね、強い心を持ってる……確かに俺も能力を持ってるんだしこれ以上はもう何もしない事にするよ」


今のエネスには後悔と悲しみしか脳内に存在していなく、話し合いで通じていればどれほど俺は穏やかでいられたのだろうや、俺は能力を持ってるからと言ってもやっぱり傷つくのは話が違うだろ……だとかのどうしようもない最低な現実と向き合っているとこの前から薄々現れ始めてた、何と言うのか自分の弱みを自分で増やしていると実感するとどんどん辛くなっていく。


だがこんなんで辛いと嘆いているくらいならこの世界で生きていくのは無理だろう、確かにエネスは他の人よりほんの少し人生は酷かったが人の愛に触れられただけでも幸せだと思ったほうが良いと言い聞かせて、なんとか今を諦めずにいることができ安心した。


「はぁ……いつもこうだから本当嫌だわ」

(運がないな)


この後に何かが起きるかを見透かすこともできるのでこれは運ではないが、一般人の言う運のないは何か自分に悪いことが起きた時にしか使わない、つまりこれはエネスのせいでもある。


「隊長……私の判断が戦争を起こしてしまい、申し訳ございませんでした……」

「まだだ、まだ殺せるかもしれない」


こんなに人の話を聞かないやつらがいると分かると救いようも見出せない、エネスはこんな自体になってしまったが話し合いを今さらしたくなってきた、きっと自分の転生前の親みたいな人間ではない者に育てられ、大事な家族がまだ家で待っていると考えればそう思ってしまうのは当然だ。


「なんで殺すことしか眼中にないんだよ」

「人間の国でこんなことを囁かれれば、すぐに戦争へ発展するからだ、いやそれ以前に私達は誰も信用できないからだ」


今の天使達は人を敵に回せば2つの国を敵に回して、自分達の敵を増やしてしまうからこれ以上のリスクはおかせないのだろう、というのと今ここで初めて会った人間の言葉を信じられるような優しさも何も残っていないからだ。


「そんな疑わなくて良いでしょう、先に攻撃してきたのはあんた達なんだしさっきのは正当防衛だよ」

「だが私達は疑いなんて持っていられないからここでお前を殺すんだ」


疑いを持っている間に事が進んで後戻りができないようなところまで行ってしまうのが嫌なんだろう、今の天使達からすればこんな些細な殺し程度で新たな危機を作るわけにもいかない。


誰も話は聞いてくれないのが現実なのだろう。


「俺は旅したいんすよ、なんでこんなしにかたしなくちゃいけないんすかね」

「大人しく殺されるんだな」


自分には不死の能力があって殺されることはあっても真に死なされるわけではない、それにこの能力は自分から死ぬことでしか効果は発揮しないので実質最強です。


「なら頭をさっきのように撃ち抜いて殺せるか試してみれば?」

「潔いいじゃないか」


自分から殺されるのを許可すると頭を撃ち抜かれたが予想通りまた蘇った、優しさなのか痛みはなく即死状態であった。


「やはり不死なのか、終焉の子か?」


これは冒険者の階級を言っていて終焉の隠し子なのか?と言われるのは終焉級全員が不老不死を持っていて、遺伝の能力なのかという意味だが、親は上級で全くそんな桁外れな階級ではなかった。


「いえ全く、俺はルペラ家の子供です」

「草原の地域を統治している者達からお前みたいな人間が生まれるか?」

「才能が少しあっただけですよ」


まだ不信感は敵に残っているがやはり自分達が始めた物語に関係のない人間を巻き込むのは違うんじゃないのかと思い始めて、なんとか和解の道に持って行ければいいと考え始めていた。


「私達が悪いのはよく分かってる、まだ許してくれるか?」

「許すしかないでしょ」


今回の件は関係のない人間を巻き込みたくないという優しさから許しはした、戦争がそんな簡単に起きてしまっては自分だって困るだろうし。


「そうか」


今は気づかなかったが隊長がハンドサインで兵士に麻酔針を打ち込むように指示させていると、自分の首に強く刺され痛む隙もなく量の調整もされていない針を刺され致死量の麻酔が体に流れた。


意識がまた元に戻った時には見ず知らずの部屋にいて、自分は鉄の板に縛られ口と鼻には濡れたタオルを被せられ目にはなにも付けられていなかったが、何故か何も見えない。


この時にすぐ察したのは人間の国には絶対帰さないという意志が敵にあるのだろう、自分が敵側なら数ミリのリスクも取ってはいけないと指導されているだろうし、殺すか拷問をするかのどちらかだろう。


きっと眠らされている間に天界へと運ばれたのか空気の質が全く違く、砂は飛んでいなく煙の匂いもしない平和を具現化させたような雰囲気とほんの少しの血の匂い。


(エネス、俺は少し話せなくなる……大丈夫だすぐ戻るよ)


エネスはそれに対して返事をしたかったが頭が回らなく、状況は理解できたのに脳内で言葉を考えることができない。


「皆さんお集まりになられましたね、それでは私はお客様から必ず200金貨は貰ってきますよ」

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