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幻想は程遠く  作者: しばしば星
嫌いな世界を愛すため
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生きる事を許されたなら

今この星では一瞬にして最大の出来事が起きていた、それはこの世界で生きるものからしたら幻想的過ぎて、あるいは信じたくなくてというそんな意見がでてしまうような理由で炎を上げていた。

きっと皆からしたら何故こんなことになってしまったのか今はまだ検討もつかない、今は深夜そんな皆が眠り静寂に包まれるはずだった夜も街中から悲鳴が聞こえてくる。


        「幻想は程遠く」


時は2026年7月11日

突如リンワットと異世界が融合した、原因はずっと解明されないまま。

この世界では異世界に元からあったであろう崖や湖陸など様々なものが混ざり合い、そのようなものだけが現れるはずもなく元は真たちの住む星に人しかいなかったものの、融合したことにより獣人、エルフ、ドワーフ、魔族などもあらわれたその者たちはなぜだか翻訳機能なんかもあるはずがないというのになぜだか皆が言葉を理解し合っている。


そんな一見平和そうな世界も魔物などが住んでいて、文明を進めようとすれば魔物に襲われての繰り返し。

そうは言うが様々な種族たちも争い、それに差別だって存在する、少し世界観が変わったからといい皆の感情が大きく変わるなんてことはなかった、時に戦争だって起きた。


こんな残酷といえるのか曖昧な世界を変えようと立ち上がった者もいたが皆殺された。

そして今のこの世界は20年前ほどの文明やら栄光なんてものはとっくに消え去り立つ建物のほとんどが西洋風の建物やらで周りを見ればほんの少しだが終末世界とも言えてしまうような風景だった。

だが皆はもうこの光景に慣れてしまったのか、異常だとかそういう感情は沸いてこない。


本当はその感情こそ異常なのだが、誰も気づきたくないのだろう。

今この世界では悪魔が差別されていた、それは世界が融合する前から理由は誰もがわかる通り悪の象徴といえば悪魔だからだ。


こんな幻想的な世界に住んでいた一人の成人真、この人間は言ってしまえば正義感の強かった英雄のような存在だ、だがその正義感が自分の身を滅ぼしたと言ってもいい。

それで今これ以上自分の身が他の誰かに傷つけられないために首をつっている、こんな悲しく可哀そうな存在を誰かが守ってやれればよかったがもう遅いのだろう。


(もう悔いはない)


本当は悔いしかなかった、恋人がほしい有名になりたい誰かに慰めてほしいしたいことなんて数えきれないほどあったが今はそんなことは忘れこのまま死のうと決意した、だがまだ生きることが許され転生出来れば幸せになりたかった、そんな思いを残し自殺した。

真は昔に、自殺した者は地獄行きというおかしなはなしをきいたことがあったこんな自分ならきっとそんなことしなくても地獄に落ちてしまうような存在だなと今までのことを振り返ってみるとそんな風に思えてきた。


死んだはずだ今この瞬間、死んだというのにまだ生を実感しているような感覚だった。


(もしかして死んだ、なんてのは夢なのかな……)


死ぬ勇気も持ったというのにまだ死に切れていないというあってはならないような感情がこみ上げてきそうだった、まるで集団で侮辱された時のようなあの感情が。

だが怒る気力がなっかた、こんな自分に呆れてしまったのだろうか。


少しの間無の感情で時が経つのを待っていた、すると目の前には明るすぎるとまではいかないほどの光つまり灰色の明かりが自分を照らしていた。


(夢だったか……酷い夢だったな!)


言い聞かせるように考えるとぼやけていた視界がだんだんと目の前に何が映っているのかを表しだした。

そこに映っていたのは白衣を着た女性と見知らぬ一般人のような成人した二人が自分を眺め皆が絶望しているかのような目でこちらを見てきて少し驚いた。


「あーうーうー……」(ここはどこですか?)


自分で喋って思った、「なんてだらしない声なんだ!」と言ってしまえば寝起きだからと言ってこんな酷い自分は見たことがなく、かなり恥ずかしい。


「お!  だ!  安  して」


男の声が途切れ途切れで聞こえこれは寝起きで耳が悪いだとかの問題じゃない気がしてきた真は病院に行くことにしたが、足が動かない。


(足が動かねぇ……)


きっと今ここにいる中で一番絶望を味わっただろう、なんせ足が全く動かない足の状況を見ようにも首も動かないこんな地獄みたいな恥ずかしさを味わったのは久しぶりだった、自分の状況が見れないでただどうにかしようとするのはなんだか馬鹿らしくなってきた。


「あーううあー」(寝ますごめんなさい!)


目を閉じるとすぐに眠れてしまい夢の中ではただ普通の学校生活を送っている自分が映っていた、嫉妬してしまいそうなくらい幸せそうに暮らしていた。

こんな夢だと分かりきっている世界に長くいたいと思えることはなかった、目を覚ますとここには誰もいないようだ。


先ほどとは全く視界の良さや音が鮮明に聞こえたり、いったいこの少しの間で何があったのだろう。

今度こそは立ち上がれる気がして手を上に伸ばすとその時はじめて気づいた自分の手が、いや自分が赤さんになっていることに。


(マジィ……俺赤さんみたい)


自分の体を見てまだ気づけていないようだがこれは、転生だ異世界ではなく普通に転生だ。

このことに気づけたのは真が転生してから三日目の時に窓に自分が反射されていて覗き込んだ時だ。


(嘘だろ…!?)


未だ信じられないが一度椅子に座り込み考えた。


(いや、こんな簡単に転生するなら身近にもいたろ転生者、あぁ言っても周りは信じないもんな)


そうだ、もし転生者がそこらにホイホイいたとしてそれをノベル内でしかあり得ないと感じている者達に自分が転生していると言ったら、厨二病乙や関わったら危なそうだなと思われてしまうだろう。


真もネット内で自分が転生者と言っている者がいたがコメント欄は発達障害などの人の心なんてないような陰キャに誹謗中傷されてしまう、そんな存在だから信じてもらえないのだろう。


(現実を受け入れるしかないよな)


そうやって思い込もうとすると、やはり自分が自殺したのも夢なんかではなく現実という事に気づきなんだかこの場にいたいと思えなくなってきた。

だが世界もそんなに甘くはなく、今の身長と力では外に出たら魔物に殺されるのがオチだ、そんな事は常識のように身に染みたように分かっていた。


(まぁ5歳までは流れるように生きていくか)


正直この時の真はどこか面倒くさそうな雰囲気を出していたが、本当は以前の自分を知る者は誰もいないという大きすぎる祝福を得て解放されたんだと涙を流してしまいそうなほどに嬉しかった。

それに親であるはずの2人が自分を育ててくれるのだから。


5歳になるまでに知った事だが真の親の名前は、

父 リデス・ルペラ

母 ラエル・ルペラ


そして真の今の名前が

エネス・ルペラ


この世界にはステータスが無い、ステータスがなければレベルもないだが、この世界には剣士や魔法使いにも等級がある、それをステータスとして考えるのはこの世界では当たり前だ。

そしてその等級がこれだ


駆け出し 初級 中級 上級 天使級 勇者級 

奈落級 終焉級


とこれを小学校で最近のリンワットでは習うようだ、そしてエネスも知っている通り終焉級はこの世界が融合する前も数えるとまだ2人しかいないようだ、その二人は永遠の命を手に入れ不老というユニークスキルを持っていた、不老を持っていることによって超再生なども持っていて戦で負ける事はなかった。

だがそのうちの1人は大英雄になった後なんらかの事情で自殺し、その後もう1人の終焉級は姿を消したらしい。


まぁ今はそんな事はどうでも良いのだがエネスの両親の職業がリデスがギルドマスターでラエルが専業主婦らしい。


2人はエネスに優しく、厳しい面など見た事が無かった、父はギルドマスターで威厳ある厳しい感じの人かと最初は思っていたがそんな事はなく、失敗した所をサポートし補ってやるよ!って感じの人の失敗をそんなふうに優しく咎めたりなどはしない人だった。


エネスは今年で5歳になり言葉も身体が成長していくごとにだいぶ話せていった、ただ今のエネスの精神年齢は高校生で語彙力なんかも案外あり親はエネスが喋る時によく感心する。


(俺もやっと5歳か、5年経ってこの世界はどうなったんだろうな……)


この世界の悪い所なんて言おうと思えば何個もありどのように世界が変わったのか知りたくなったエネスは、近くでスマホを見ていたリデスに最近の世界について聞いてみることにした。


「ねぇ父さん、今この世界って5年前と比べてどう変わったの?」


リデスからしたら5歳が知りたいとは思えないような事を聞いてきて、驚いたが自分の物心ついていない事に興味が湧くのも当然の事だと思いキチンと答えた。


(5歳になって物心つく前の世界のこと知りたくなったのか?)

「そうだな……戦争が消え世界は豊かになり、文明も発展した」

「戦争が?そりゃ凄い」


そんな事を言ったエネスを見てリデスからしたら、将来は知的な人間に育つと考え嬉しくなり父として何かを教えてやれて嬉しい気分になれた。


「分からない事があれば聞いてくれよ〜」

「うん」


とにかくエネスの中では戦争が消えたという新時代と言って良いほど世界が優しく殺し合う代表のような場面が起こらなくなったという、素晴らしい事を知れて自分は関わった事がないのに嬉しくなれた。


(マジか戦争消えたんか、いやそりゃそうだよな十分豊かだしこれ以上に何かを求めても意味がないもんな)


真達の世界が融合するまで戦争は絶えず続き絶対に消えないものだと皆の心に根付いたまま消えなかったが、融合後に世界には魔力という生活面や技術面全てに役立つものが現れ、これ以上争う理由がなくなり戦争は無くなったんだとか。


(そういえば俺って学校来年行くんだっけか……最悪だマジで終わった!)


自由なこの時間も来年には学校の時間で潰れて生前のエネスの様に誰かを助ければ誰かにいじめられるというのを、また繰り返してしまうのではないのだろうかと考えるとなんだか生きる気力が無くなりそうだ。

いや、生きるしかないと考えると学校では上手く友達関係を作りそこそこの学力をつけようと考えた。


一旦今の気持ちを整理したくなりここから近い村の友達に会いに行く事にした。


「村行ってきて良い?」

「良いぞ」


父に言うとすんなりと外に出る事を許され放置主義か?と思ったがそんな親ではなくきっとこの辺りではモンスターが出なく許してくれたと言う事にした。


扉を開けるとやはり生前とは違い終末世界感は漂っていなく融合後にできた壊れかけのビルなんかもこの辺りには無く畑などが広まった綺麗で長閑な光景だ、空気も灰や埃にまみれていなくエネスの好きな世界だと言う事が再確認できた。


「行ってきます」


村に行くまでずっと田んぼなどが広まっていて、育てているのは麦のような作物で道も太陽に照らされ明るく決して気分が悪くなる様な事はない道で安心感が溢れていた。


村に着くとなんだか騒々しかった、近くにいた友達に何があったのか聞く事にした。


「なぁ、皆んなどうしたの?」

「それが岩を纏ったスライムが村の周辺にいるらしいから気をつけろって村長が言ってんだよ」

「へー珍し」


岩スライムと言えばそこらのスライムとは別格の強さを持った中級冒険者1人がやっと倒せる様な相手だった、そしてこの村の周辺には上級冒険者兼ギルドマスターのリデスとこの村の村長である雷神だけだった。


ちなみに雷神は魔族であり人とあまり関わらない種族だが皆と仲良く暮らし、エネスにも優しくしてくれる強く優しい中級魔族だきっと魔族の中ではかなり心優しい方である。


「じゃあ今日は遊べないな」

「そうだね」


エネスは友達にそう言うと家に帰る事にした、モンスターが近くにいて遊べないのなら仕方ないと思い少し悲しくなりながら家に帰っていた。


道中何もなく家の近くまで辿り着いた、だが草むらから石やクリスタルを纏ったスライムが現れた。


(あ……終わった)

(やっと会えた……)


エネスは絶対に勝てるわけのない相手を前にし泣き出し逃げ出したい様な心情だったが、そんな事をしてしまえば魔力ですり潰されて死ぬか岩で潰されるかのどちらかで、まずは静かに目を逸らさず逃げる事にした。

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