もう一人の消えた村人
長老はさらに話始める
「昭和63年3月11日に山崎という男が近くの林に入ったきり行方不明なんじゃ。しかもこの日は東日本大震災の25年前なんじゃ」
阿部祐一は驚きと共にその話を聞き、さらに深くこの地域の謎に引き込まれていった。長老の話には続きがあった。
「山崎は村でも評判の探検好きで、古い伝説や遺跡に興味を持っておった。彼が行方不明になった翌日、村の者たちは彼を探しに林に入ったが、結局見つからなかった。代わりに、彼が持っていたと思われる古い地図の一部が見つかっただけじゃ」
阿部はその地図の一部を見せてもらうことを申し出た。長老は少し躊躇したが、最終的に古い箱からその地図の断片を取り出し、阿部に手渡した。地図には、いくつかの謎めいた記号と、洞窟と思われる場所が示されていた。
「これは...?」阿部は地図をじっくりと見つめ、何か重大な手がかりを得たような気がした。「この地図が示す場所に行けば、村の謎や行方不明者たちの手がかりが見つかるかもしれませんね。」
長老は静かにうなずいた。「そうじゃ。この地図が何を示しているのか、誰も分からんかったが、君なら何か見つけられるかもしれん。」
阿部は決意を新たにし、地図を持ってその場所に向かうことを決断した。彼の心には、村の伝説と行方不明者たちの謎を解明するという強い使命感が宿っていた。