村で聞き込み
若い考古学者の阿部祐一は、『失われたジムニー』の伝説に迫っていた。村の長老が
「昭和63年3月2日の事だった。赤いジムニーに眩しい光が突然現れてジムニーを飲み込んだのじゃよ」
村人みんなで探したのに見つからなかったそうだ。
長老から謎の石版を渡された。アンノーン文字のような古代文字で書かれていた。阿部祐一は石版を慎重に受け取り、その重さと質感を確かめた。石板の表面には、過去の痕跡が刻まれているような感覚があり、彼の指先に微かな震えをもたらした。アンノーン文字のような古代文字がびっしりと並んでいるが、それを解読することは一筋縄ではいかないと感じた。
「これは一体…?」阿部は呟いた。
長老は深い皺の刻まれた顔に微笑を浮かべ、「この石版には失われたジムニーの行方を示す鍵が隠されていると言われておる。しかし、その意味を解き明かす者は未だにおらんのじゃ」と語った。
阿部は石版を持ちながら、村の外れにある自分の調査小屋に戻った。そこには彼の研究資料や道具が揃っており、彼はすぐに解読作業に取り掛かった。アンノーン文字の辞書や古代文字の研究書を引っ張り出し、石版の文字を一つ一つ照らし合わせていく。
夜が更けるにつれ、阿部は少しずつ石版の謎に迫っていった。文字の一部は地名や方角を示しているようで、他の部分は暗号化されたメッセージのようだった。
「これは…地図の一部か?」阿部は独り言を呟きながら、古代文字が示す場所を地図上で確認し始めた。すると、ある特定の地点が浮かび上がってきた。それは村の近くにある古い森の中の一角だった。
次の日、阿部は村人たちと協力してその森に向かうことを決意した。彼らは道具を持ち、森の奥へと進んでいった。やがて、石版に刻まれた文字が示す場所にたどり着いた。
その場所には、地面に埋もれた大きな石の扉があった。阿部は村人と共にその扉を開けようと試みた。重たい扉がゆっくりと開かれると、中からは冷たい空気が流れ出し、彼らはその奥に進んでいった。
そして、彼らの目の前には、長年失われたとされていた赤いジムニーがひっそりと横たわっていた。その車体は時の流れを感じさせる錆びつき具合だったが、確かに昭和63年3月2日から姿を消していた赤いジムニーそのものだった。た。その時、阿部はジムニーの中にもう一つの石版を見つけ、それを取り出した。それにはさらなる謎と、新たな冒険の予感が刻まれていた。