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ep6.Get along with……

おっす、おらリンネ!!

ある日、他人との仲を気にしたユウナギの言動を機に、

ユサさん、アミさん、ルシェさんの三人を呼び、

宝探しゲームを発案!!


これもそれも、四天王三人と仲を縮ませるため!

はたして修羅場はおこるのか!?


はたして、行く末はいかに!

         *サヨside*

やっぱり、帰ればよかった。

後悔しながら、海の中を泳ぎ続ける。


月が綺麗な場所。リンにそのヒントを出された時、咄嗟に浮かんだのがうちの故郷である人魚の海だった。

人魚と月は切っても切り離せない関係、古の人魚は月の光で回復したりしていたこともあってどこからでもかなりはっきり見える。

だからこの海を泳ぎ続けていれば、自ずとみつかると思ったのだけどー


『闇雲に探してちゃ、見つかるもんも見つからないよん〜』


声が、聞こえる。

パッと隣を見ると、そこには機械で作られた魚が群れを作って泳いでいた。

ぎょろりと大きい目と、ぎこちない泳ぎ方……どう見ても偽物だと一目でわかる。


『メモに、印のヒントが書いていたんだけどさぁ〜アサカと違って、おいらは頭が悪くてねん〜ちょっちあがっておいでよん。その間は、この子達がみておくから』


群れの中の一匹が、ほぼ強引に自分を陸へあげようと手につんつんしてくる。

仕方なく上にあがると、すぐそばの岸に彼女はいた。


「お、本当にあがってきた。おつかれぃ〜」


ケストル・アミ、獣人族の錬金術師。

そして、人形だったアサカの持ち主で、人間にした張本人。

正直、彼女に関する情報は、うちにとってはその程度。

もう関わることなんて、ないと思っていたのに。


「あの悪趣味な魚はなに? あれも錬金術なの?」


「そ、名付けてお宝調査隊海バージョン。360度みえる映写機を搭載してるから、陸からでもばっちり。場所に構わず、印があったら反応してくれるよん」


「ふうん、でそのヒントってのは?」


「そう慌てなさんなって。アサカに倣って、暖かい紅茶を淹れたんだ。一緒にどうだい?」


そういいながら、うちに紙コップを手渡してくる。

たった今用意してくれたというように、まだコップは暖かい。

手に取った瞬間、ふと嗅ぎ慣れた匂いが漂ってきてー


「……この紅茶……懐かしい香りがする……」


「お、さすがよくわかったねん。ちみの故郷でとれた花や、野草達を練金したんだ。疲れによくきくんだよねん〜」


「別に、疲れてないけど」


「これはレクレーションみたいなものだろ? そんなに気を張ってないでさ、休憩がてら色々聞かせてよん」


彼女は少し変わっている。

ヒントで呼び出したというのに、うちに質問ばかりする。

今までとったもので大変だったものとか、一番レアなものはどれかとか。


聞かれたからといって、うちは話題を広げることはしない。財宝の名前を淡々と答えるだけ。

それでも彼女は飽きもせず、興味津々とばかりに次から次へ質問を繰り返してー


「……よく飽きないわね。知りもしない人相手に、興味のない質問攻めなんて」


「わかってにゃいねぇ〜相手のことを知りたいから質問するんだよ。そりゃあちみのことは、アサカづてで聞いてるけどさ。せっかく本人と一緒にいるなら、色々聞いてみたいって思うんだよん」


「でも、もう日が暮れる時間よ。そろそろ印、探しにいかないと」


「ん? ああ、言ってなかったねん。印なら、とっくの昔にみつけてあるんだよん」


そういうと、彼女はほら、と映像を切り替えてくれる。

そこには何匹かの魚が、印を見つけたよといわんばかりに泳いでいる。

ただひたすら話していただけなのに、まさか見つけているなんて……


「埋めたのはリンネ君って言ってたからねん。ちみのゆかりのある場所近くをあたってたんだけど、ドンピシャだったみたいだねん」


「……じゃあ、ヒントってのは?」


「鼻から印のヒントなんてものない。すべてはあの娘の手のひらの上、ってことかなん」


彼女はそういいながら、うちに紙を渡してくれる。

そこに書いてあったのは、うちの好きな紅茶の種類や、聞いたら良さそうなことという話題のチョイスだった。

しかも、それだけじゃない。

「サヨは話すのが苦手だから、リードしてあげるのがコツ」なんて書いてあってー


「でも、これのおかげで助かったよ。こーみえておいらも、人と話すの苦手なんだよねん」


アサカが言っていた、変わってる故に一人が多く、自分のようなぬいぐるみが友達がわりだったと。

おそらく彼女は、一人が好きなうちと似ている。

だから、性懲りも無く思ってしまうのだ。

彼女と話すのも、悪くないなって。


「じゃあ、うちがとりにいくわ。どうせあなた、泳げないでしょ?」


「にゃはは、バレたか。えーっと、地図は……まいっか。魚四号を通じて指示を出すよん」


「お願いするわ。どれが四号かわかる気がしないけど」


「あ、そだ。ついでなんだけど……帰る途中にさ、この素材をとってきてくれにゃい? 少し、ほんのすこ〜〜しでいいから。ね、サヨっち?」


舌を出しながら、両手を重ねる。

ケストル・アミ。アサカの主なだけあって、やはり、ただものではないようだ。



❄︎••┈┈┈┈••❄︎••┈┈┈┈••❄︎



        *アサカSide*

空。頭上はるかに高く広がる空間。天。

本を読んでも読まなくても、ぬいぐるみであった私でもそれくらいはわかる。

だからこそ、空上に印をつけるなんて不可能。

よって、私が導き出す答えはー


「そんなところにいては、落ちてしまうぞ」


いるはずもないと思っていた彼女が、いつのまにか後ろに立っている。

ソルー・ルシェ、かつて四天王だったという最強の名を持つ吸血鬼。

彼女は私のいる場所をみながら、ため息混じりでつぶやいた。


「空や地上を見下ろせる、ここ1番絶景と言われる丘か。考えたのう、正解ではないみたいじゃが」


「なぜ、ここにいるのですか? 私はそれぞれで探すと言ったはずです。集合の時間まで、まだありますが」


「あの娘は協力しろと言っておったじゃろう? そこにヒントがあると思ってのう」


そういうと、彼女はなぜか私を抱えあげる。

思わずびっくりしてしまうも、地上からどんどん離れていきー


「おろしてください。まだ探していません」


「ヒントは空を自由に飛びたいな、じゃろ? だとしたら、こうやって飛んで探した方が見つかると思わぬか?」


「……成程、一理ありますね」


「お主はわしより才がある。あの娘が託したと言っていた紙から、答えを導き出してくれんか?」


そう言われ、仕方なくポケットに入っていた紙を出す。

お嬢様が、ヒントを書いたと言っていたもの。

このヒントと私の知識があれば、すぐに場所がみつかる……わけはなかった。


「ルシェ様、あなたに初恋の相手はいますか?」


「……ん? 気のせいかのう。ヒントというよりは質問のようじゃが……」


「どうやら、ヒントは書いてないようです。初恋、胸キュン話、ときめき話……すべて恋愛に関する質問が記載されています」


さすがお嬢様、という他ない。

おそらく彼女は、最初からヒントなんて渡すつもりなかったのだろう。

それがわかったからなのか、ルシェ様も豪快に笑い出してー


「カッカッカッ!! まんまとはめられたのう。さすがは、ディアボロスの娘じゃ」


「せっかくの機会です。あなたのことを、お聞かせ願えますか?」


「別に構わぬが、お主は興味ないのではないか?」


「他人を知ることは、人間を理解するのと同じ。故に興味しかありません。私はあの二人と違うので」


彼女の情報は、四天王だった頃の記録しかない。

唯一知り合いだというサヨ様やマヒル様も、彼女は未知数だとかで役に立つ情報はない。

だから本人から知れる機会など、私に取っては願ってもないチャンスなのだ。


「妙に抱き心地が良いと思っておったが……そうか、お主はぬいぐるみであったか」


「吸血鬼は、異種族内でもかなり長く生きると本に書いてありました。ルシェ様が出会った方々の中で、素敵だと思った方をあげるとしたら、どなたですか?」


彼女の顔色を窺うように見上げる。

なぜかルシェ様は私の方をみようとせず、ただ前をまっすぐ向いていた。

ただその瞳はどこか、何かを懐かしむようにもみえてー


「そうじゃのう、皆個性的で愉快な連中ばかりじゃったが……なんせ遠い昔の話じゃ、もう顔も名前も忘れてしまったよ」


「それは、血が美味しかった人、とかもですか?」


「そりゃあたくさんおったが……今はもう生きておらぬ奴ばかりじゃ。長く生きるとは、そういうことじゃよ」


そう言えば、サヨ様も同じようなことを言っていた気がする。

種族でも、時の流れはそれぞれ違う。

他に比べればアミだって長生きな方だが、彼女からしたら、それでも短いのだろう。

私はぬいぐるみ。命をもらって嬉しかったはずなのに。

生きるということは同時に、寂しさも生まれてしまうのだろうかー


「……そんな顔をするでない。長く生きれば生きるほど、楽しいことも数えきれんほどあるものじゃよ。わしでいうところの、四天王時代のようにな」


「四天王時代……ルシェ様が支えた魔王様は、どんな方だったのですか?」


「ディアボロスとは比べ物にならない、変わり者で困った奴じゃった。このわしを四天王においたのが、何よりの証拠じゃ」


昔の魔王様のことは、私は知らない。

本で書いてあるのはどれも名前だけで、その詳細は描かれてはいない。

それでも楽しかったのは、彼女の目を見ていれば私でもわかってー


「よっぽど素敵な方だったんですね。私達を救ってくれた、ディアボロス様のように」


ルシェ様の目が、私に向く。

どこか驚いたように見開いたようにみえたが、すぐにそうじゃなと返してくれる。

どれくらい、飛んだだろう。

ふと下を見た時、大きな印が書いてあるのが見えてー


「ありました、ルシェ様。おそらくあれが印です」


「やはり魔王城の近くじゃったか。読みが当たったのう」


「……もしかして、最初からわかっていたのではないのですか? ヒントではなく質問だと。私に話をさせるために、あえて遠回りをして飛んでいた、とか」


「さて、どうじゃろうなぁ。わしも、あの娘に感化されたのかもしれんな」


そういうと、彼女はゆっくり降下する。

描かれた印の場所に降ろすと、思い出したように彼女は私にこう言ってー


「そういえば、さっきした話じゃが……ここだけの話、誰にも話したことがないのじゃ。秘密にしておけるか?」


ルシェ様が、少しいじわるそうに笑ってみせる。

その言葉がなんだか嬉しくなった私は、つい、笑みが溢れてしまった。


「かしこまりました。二人だけの秘密ですね」


本にものっていない、誰も知らないルシェ様の秘密。

それを知ることができた私は、なんだか特別な気がして、こそばゆくて……とても、嬉しかった。



❄︎••┈┈┈┈••❄︎••┈┈┈┈••❄︎



*マヒルSide*

イライラする、イライラする、イライラする!!

どうしてこんなことに、なんでこんな目に。

考えを巡らせれば巡らせるほど、腹正しくて仕方ない。

それもこれも全部、こいつのせいだ。


「行った、わね……なんであたしが、逃げなきゃなんないのよ……悪いことをしたわけでもないのに……」


「ふふ……まるで愛の逃避行のようだね。そんなに他の子猫ちゃんに、僕を取られたくないのかな?」


「なわけないでしょ!? どんな思考回路してんのよ!!」


スキバ・ユサ。かつて、あたしに膝をつかせたムカつく奴。

それだけではない。あたしが一番きにいらないのが、王子様気取りの態度や言動だ。

あたしが何を言っても素直じゃないだの、照れてるんだねだのと、これでもかというほどポジティブに変換する。


会話するだけでイライラするのに、その言葉に惑わされた野次馬が、彼女を見つけたと同時に追ってくる。

ユウナギもユウナギだわ、こんなやつの何がいいんだか……


「ったくいい迷惑だわ。思うように身動きもとれないなんて……あんたのせいよ! 見つかるもんも見つからないじゃない!」


「……成程。子猫ちゃんは僕がいなければ勝てる、そう言いたいのかい?」


「当たり前でしょ! あたしは仲良しごっこするつもりも、協力するつもりもない! あんたなんかいなくても、あたし一人でやれるわ!」


「やれやれ、頼もしい子猫ちゃんだね。でも、本当に一人で答えに辿り着けるのかい?」


その言葉に、思わずぐっとつまる。

リンネが印をつけるような場所、あたしにはそんなもの見当もつかない。

ヒントというヒントも、あまりに雑で適当だったから、覚えてすらない。

正直あたしは、ヒントなんて回りくどいことしないで、さっさと答えを書いてほしいくらいー


「そう焦る必要はないよ。子猫ちゃんのために、リンネちゃんはヒントを記したと言っていたじゃないか。一人では無理でも、二人でなら……」


「そうか!! ヒントを書いた紙を入れたって言ってたわ!! えっと、確か紙に………」


『ユウナギ曰く、ユサさんは、虫が嫌いらしいです。話題に使ってne☆』


「ヒントじゃない!! なんなのよ、これ!!」


あまりの雑さに、メモを握りつぶして投げる。

まるでそこにリンネがいるように思えてきて、余計に腹が立つ。

やられた。考えてみれば、あいつが答えどころ、ヒントを渡すはずがない。

どうしても仲良くさせたいのだ、あたしとサヨをくっつけた時と同じように。


「ヒントというのは、印ではなく話題のヒントか。さすがは僕が見込んだ子猫ちゃんだ、実に素敵なヒントだね」


「呑気なこといってんじゃないわよ!! 振り出しに戻ったじゃない!!」


「嗚呼、そんなに怒らないでくれ子猫ちゃん。安心してくれ、答えはすでに僕の頭にあるよ」


「だから、子猫子猫うっさ……は? 今なんて……」


「僕の勘が正しければ、だけどね。僕についてきてくれないかい?」


いちいち聞かなくてもいいのに、こいつはいつも誰かのの顔色を窺ってくる。

まるで、あたしの心をのぞいてくるかのように。

そんなことも知らない、というように彼女は慣れた足つきで先を歩いて行く。


「彼女は、行ってみたかった、といっていた。願望、ということはリンネちゃんがいけないところだと思うんだ。そして今日、と日時を指定されている……つまり、この空のことを言っていると思ってね」


顔を上げた先、そこには虹が重なっていた。

一つ二つじゃなくて、何個も、何個も連なって。

あまりの光景に、言葉を失ってしまいー


「年に一度、虹が重なって見える日がある。君の住む街が見えるこの場所が、一番綺麗にみえると聞いたことがあるんだ。下を見てごらん」


言われて初めて、そこに印があることに気づく。

そこでやっと思い出した、以前彼女が虹がみたいとうるさくごねていたこと。

まさか、答えは近くにあったなんてー


「はーあ、やられたわ。まさか虹とはねぇ……よりにもよって、あんたとみることになるとは」


「……やはり、僕のことが嫌いかい?」


らしくない声が、あたしの耳に届く。

それが彼女から発せられていると、すぐに理解できなかった。

いつも見ていたこいつとは違う、どこか弱い、不安そうな声でー


「かつて僕は、君に酷いことをした。とても申し訳ないと思ってる。だからこそ、君をもっと知りたいんだ。話を聞くだけでは知り得ない、君のことを」


そういえば、ユウナギが言っていた。

強そうに見えるのは表上だけ、本当のあいつは誰よりも弱い。

多分それが、普段の言動や行動にきているのだろう。

こいつの優先事項は、決まって他人。

それは相手が誰であっても、関係なくてー


「なによ、その言い方。まるであたしが、何も教えてくれない悪者みたいじゃない」


「そ、そんなことは……もしよければ、またこうして話してくれないかな? 無理に、とはいわないが……」


「言われなくても勝手にすればいいじゃない。今までもそうだったんだし。さ、いつまでもこんなとこにいるわけにはいかないわ。帰るわよ、ユサ」


正直、あたしにはまだわからない。こいつのいいところ。

かといって嫌いとか、苦手とかそう言う感情が全てというわけでもない。

なんたって、ユウナギが好きになる奴だもの。それなりにいいところがある、ってことよね。


「嗚呼、初めて名前を呼んでくれたね。嬉しいよ、マヒルちゃん。今日という記念に、虹をバックに記念撮影でもどうかな?」


前言撤回。やっぱりあたし、こいつ苦手!


fin

長くて本当にすみません。

きがついたら一人二千くらいありました。

本当はあれやこれや語りたかったんですけど、

長くなりすぎたのでやめておきます。


ちなみに宝の場所は陸海空で、

書いていて楽しかったのはマヒルです。


次回くらいから特別版の締めに入ります。

最後までお付き合いくださるとありがたいです!

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