#42.転生したら魔王の娘だったけど、これからも百合を堪能したいと思います!
おっす、おらリンネ!!
桟縁の記憶を糧に、魔王の娘という身分ながらも
四天王の百合を叶えてきた私。
終盤にて、まさかの第二の選択肢が!!?
はたして、私の運命とは!
四天王みんなの反応は!!
……え? 大体わかる?
そんなこといわない!
兎にも角にも、本編堂々完結!!
チャンネルはそのままでお願いしまっす!
「ねえ。調味料は、このくらいでいいの?」
「資料によれば、味は濃い方がいい、とありますね……適量がどれくらいかわからないので、ここはたくさん入れましょう」
「ちょ、まて! それ辛いやつ……あー……すでに遅かった……」
「うわっ、何よこの匂い! 見るからに危険なやつじゃない! 言っとくけど、あたしは食べないからね!?」
なんだか賑やかだな、なんて思いながらそうっと玄関に入る。
台所から香ばしい匂いがするあたり、何か作ってるんだろうか。
ども、リンネです。現在、魔王城から無事帰還しました。
魔王の娘ということをすっかり忘れ、百合を楽しんできた私。
いよいよ本格的にやばいと思っていた最中、両親から告げられたのは魔王にならなくていいという第二の選択肢だった。
まさかの事態に驚きすらあったが、問題はそこではない。その話を、彼女達にどうきりだすかである。
正直、ユウナギだけに言いたい気持ちもあるけど、みんなが一緒にいる以上、全員にちゃんと言った方がいいだろう。
あの3人のことだし、興味ないとかいって、突っぱねられそうなんだよねぇ。
「あ、お嬢。おかえり、ちょうどよかった」
そんな中、私に一番に気付いたユウナギが、声をかけてくれる。
作り終えた料理をお盆にのせながら、優しげな表情で私に微笑んでくれた。
「お嬢に、とっておきの料理ができたんだ。食べてくれねーか?」
え、ユウナギの料理!? ひゃっふーー!
嬉しさのあまり考えたことがふっとぶくらいの勢いで、私は椅子へとかじりつく。
しかも、あーんとスプーンを向けてくれたので、何の疑いもなく口に入れる。
が、途端に広がってくるのは、鼻の奥がツーンとしたような感覚。
同時に、口の中がカーーッと熱く、噛めば噛むほどヒリヒリしてきてー
「かっっっっっら! え、やば! 無理!」
「……やっぱり、だよな。ごめん、止めようと思ったんだけど……気がついた時には遅くて」
「わ、わかってて食べさせたの!? み、水ぅ、水をくれぇい」
あまりの辛さに悶絶する私に、ユウナギは水を渡してくれる。
そのおかげで引いたことには引いたが、まだ口の中のヒリヒリするなぁ……
何でこんな辛いものを、と思う私の前に、いくつもの皿が置かれてゆく。
茶色くて濃厚なソース、その中に野菜とお肉ゴロゴロ入っているものが、白ごはんにかけられている。
あれ? もしかして、これは……
「これって、カレーライス?」
「お、正解。覚えてるか? お嬢と四人で、初めて作った料理だよ。もしかしたら、マスターに怒られてしょげて帰ってくるんじゃないかって3人が心配してさ。元気づけるために、久々にみんなで作ったんだよ」
さ、3人が心配でだとぉ!!?
「私はあくまで皆さんで作った方が効率的かつ、有効的だと考えた結果です。言い出したのは、この二人が先です」
「よ、余計なこというんじゃないわよ! ディアボロスは怒ると手がつけられないから、慰めてあげようと思っただけで……勘違いしないで!!
「別に、気が向いただけ。あなたのためじゃないわ」
はぁぁぁぁ、なんやこのツンデレの嵐。
わかりやすい、わかりやすすぎるよお三方……
愛されてなかったあの頃が逆に可愛くみえてしまうほどの変わりぶり……おばちゃん、涙が出てきそうだよ……
「それで、どうだったんだ? 話したいこと、ちゃんと言えたのか?」
ユウナギが、顔を覗き込んでくる。
よし、いうぞ! 過半数否定的意見かもしれんけど!
だって、あの時から変わってないもん。
私がやりたいことはー!
「私ね、お母さんにいわれたんだ。魔王にならなくてもいいって。だから私、魔王にはならない。恋愛相談所、開きたいんだ。前世のこと思い出して、みんなの恋を見て思った。魔王としてじゃなくて、一人の人間として、いろーーーんな人の話聞いて、助けてあげたいって!」
かつての友人がいっていた、私は誰かの手助けをするのに向いていると。
みんなの中心に立つのではなく、その人に寄り添えるタイプだと。
多分私は、魔王には向いてない。
多少強引だったとはいえ、結果的に四人を幸せにすることはできた。
だからきっと、他の人にもー!
「……あー、やっぱりそうくるのね。いいんじゃない? 勝手にすれば」
あれ?? 思ったより反応が薄い??
おかしいなぁ、もうちょっと驚いてくれてもいいような……
「正直、そうくると思ってました。むしろ魔王になる、と言われたらどうしようかと」
「え? そんなに私魔王に向いてないって思ってたん?? 何気ひどくね」
「事実だから仕方ないでしょ? 正直、うちはそう思ってたわ。あなたに相談には乗ってもらった時、すごく心強かったもの」
おお? あのサヨが珍しく私をほめてる???
そんなことあるんやな、今日は雨でもふるんか?
「アミが、おっしゃっていました。自分の気持ちにあそこまで気づいたのは、彼女だけだと。アミと面と向かってちゃんと話せたのは、お嬢様のおかげです。私からも、お礼を言わせてください」
おろろ? アサカもとな??
え、すでに雨降ってる説ない??
「ま、まああたしも? あんたに背中押されて?ちょーーーっとはありがたかったけど……」
なんと!! マヒルもとな!?
揃いも揃って、みんな変なもの食べたんじゃね?!
こんなに感謝される日が来るとはなぁ。私のこと、ちょっっとは見直してくれて……
「で、でも! こいつに入れ知恵したことは許してないから! 調子に乗るんじゃないわよ!?」
なぁんてことはないね、はい。
ほんっとこの四天王は可愛くない!
ここでいい雰囲気で終わらせてくれれば、まだいいものを……
「お嬢は、お嬢のやりたいようにやればいいんだよ。それに文句言う奴なんて、ここにはいない。それでも不安な時は、オレ達が支えてやるから」
この四天王は、本当にめんどくさい。
優しい言葉もかけてくれるけど、大半は口が悪くて、素直じゃない。
それでも自分はすごい、ありがとうって言ってくれる。
この四人とだから、きっと自分の道を進む決意ができたんだろうなぁ。
「……魔王を継がない、とならば魔王教育は必要ない、ということですよね? では、私達はこれでお役御免ですね」
……おや?
「え? 今めっちゃいい雰囲気だったよね?? なんでそうなるん??」
「あなた、もう忘れたの? うちらの仕事は、時期魔王として一人前に育てること。魔王にならないなら、うちらは必要ないと思うけど?」
「はっ!! そうじゃない!! なんで気が付かなかったのかしら!! そうとわかったら、すぐ出ていきなさい! あんたなら、一人でやって行けるでしょ!」
な、なぁぁぁぁにぃぃぃ!?
「3人とも、そういうなよ。相談所開くって言っても、まだまだ先の話だろうし。流石に今すぐは無理なんじゃ……」
「ユウナギのいうとーーり! それに、なんだかんだ言ってる3人が一番、本当は寂しいって思ってるのわかってるんだからね!?」
「そ、そんなことあるわけないでしょ!? 何言って……!」
「誰がなんと言おうと、私は出て行かない! 四人の百合、まだまだ全然見足りないし!!」
「明らかに後者が本音ですね、さすがお嬢様」
「……当分、賑やかになりそうね」
マヒルが怒り、呆れるようにサヨやアサカがため息をつき、ユウナギが笑みを向ける。
そんな彼女達を、いつものようにちょっかいをかける。
ただの一般人だった私、桟縁。
その経験を糧に、今度はこの世界にいる、たくさんの人を笑顔にする。
魔王の娘、リンネの新たな日々は、彼女達と共に永遠に続くのです!!
(the story never ends,
go to the next stage...‼︎)
正直、鼻からリンネが魔王になる予定は
ありませんでした。これこそリンネです。
そんな彼女を褒めると思いきや
最後に落とすという……
まさに、四天王の愛の成せる技ですね、
そういうところが好きです。
これで物語は全て完結……
と、いうわけにいかないのが私です。
だってまだ、百合堪能してないじゃないですか笑
叶って終わり、なんて宝の持ち腐れです。
これからは、番外編という形で少しだけ続きます!
本編本編と強調していたのも、そのためです笑
来月の更新ペースはまだ未定ですが、
書いて欲しい物語があれば、全然描きますので
コメントくださると嬉しいです!
次回の更新はできたら金曜ですが、
なかったら来月だと思ってください!
まだまだ続く転百合を、よろしくお願いします!




