#41.情けは人の為ならず
Hey!! リンネです!!
ついに四天王全員リア充達成!!
……え? 何か大事なこと忘れないって?
はて……
はっ、私魔王の娘じゃん!!!?
やっべ、魔王に殺されるー!
次回! 転百合、リンネ魔王の手に死す!!
心してかかれ!!!
長い長い螺旋階段を、一段、また一段と登ってゆく。
ここにくるのは、随分久しぶりな気がする。そのせいで、どこか足取りが重い。
魔王の娘。転生後のオプションとしては、普通なら誰もが喜ぶシチュエーションであろう。
そんな肩書きを忘れるとは何事か! なんて、大半の人に怒られ……
る筋合いなくない!? だって私、生活のほとんど四天王と過ごしているんだもん!!
最初から私の目的は、あくまでも百合叶えることだったしね! 文句は言わせません!!
まあ、だからこそ困ってるんだけどね〜魔王の娘なんて、あくまで肩書きだけだしぃ。
百合のためにしか動いてこなかったせいで、四天王総出で魔王に向いてないって言われる始末。
ほな魔王目指して頑張れ〜、なんて言われたら、どうしたらいいのか……
「すみませーん、リンネでーす。失礼しまーす」
いまだここを家だと慣れない私は、毎回人様のお家に入るような挨拶を交わす。
重いドアの先には少し不機嫌な魔王と、にこにこ笑った巳胡さんがいてー
「ほう? お前の世界では、自分の家に入る時に失礼しますというのか?」
「あ、いや、そうじゃないんだけど……」
「もぉ、リンネちゃんってば何度も言ってるじゃない。ここはリンネちゃんのお〜う〜ち。帰ってきたら言うこと、あるでしょ?」
「あ、あはは……いまだに慣れなくて……えっと、ただいま」
「ふふっ、おかえりなさい。リンネちゃん」
いつでも、どこでも彼らは、私のことを本当の家族のように接してくれる。
だからこそ、私は二人の母が好きだ。
こりゃ、ますますいいづら……
「そういえば、アミちゃんがこの前来てね! アサカちゃんを引き取りたいって来てくれたの〜!」
な、なに!!?
「え、アミさんってあのアミさん!?」
「お母さん、嬉しかったわぁ〜ちゃぁんとアサカちゃんを迎えに来てくれて。ユウナギちゃんを貰いたいって言ったユサちゃんにもきゅんってきちゃったけど。マヒルちゃんとサヨちゃんが付き合ったって聞いた時は、びっくりだったわ」
「す、すごい! お母さん、全部知ってるの?」
「ルシェちゃんが自慢げに話しに来たのよ〜二人の告白の話を聞いた時、お母さん、ドキドキして夜も眠れなかったわぁ〜」
ほえー、ルシェさんもきたんだ!
サヨからは彼女が四天王だったのは、今の魔王よりもっと前の魔王って聞いてたから、てっきり関わりないのかと思ってたけど。
こうしてみると、魔王の関係者って多いんだなぁ。
私が言うより先に二人が言ってるあたり、なんだかんだ嬉しかった……のかな?
四人があの反応のせいか、あんまり実感が湧かないんよなぁ……
「ユウナギ、サヨ、アサカ、マヒル。不仲だった四天王が互いに思い合い、そして想い人と結ばれた……四天王結成時からでは考えられなかった。リンネ、すべてお前の功績だ」
「えっ、そ、そんな大袈裟なことしてないよ! みんなからは迷惑にしか思われてないし……」
「みんな、素直じゃないだけよぉ。他人の恋愛を自分のことのように考えられるなんて、普通ならできないことよ?」
「で、でも、魔王の娘、関係ないし……」
二人があまりにも褒めてくるのを、私は否定するかのように濁してしまう。
確かに、彼女達のことは二人から頼まれた大切なものだ。
でもそれが叶ってしまった今。いつまでも、うつつを抜かしていいわけではない。
なぜなら私は魔王の娘。魔王になることが決まっている存在。
そりゃ、正直百合は見たい。
前世でできなかった、色んな人の恋を叶えたいって思っちゃうけどー
「リンネ。お前は、我と巳胡の間に生まれた娘である以上、いずれ魔王を継がなければ……そう思っているだろう?」
「え? そ、そりゃあ、娘だし?」
「ごめんねぇ、リンネちゃん。娘だからって、無理に魔王になんてならなくてもいいのよ?」
なん、だと!?
「前の魔王さんはね、ディアちゃんのお母さんとか、そういうのじゃないの。推薦とかぁ、立候補とかぁ、魔王の選ばれ方って色々あるのよ〜」
「実際、魔王になるものが親族でなければいけない決まりはない。仮になりたい時がきたとしても、お前はまだ小さいから間に合うだろうな」
「そ、そんな先の見えない話、お母さん達が大変じゃない? 跡継ぎが見つからないみたいなもんだし……」
「やぁねぇ、お母さんもディアちゃんもまだまだ現役じゃない。心配しなくても、次期魔王なんて遠い先の話よ?」
え、何これ。
ほんとに、ほんとにいいの?
だってこんな……私得すぎる展開……
「あ、あのぉ、つまり……無理に魔王にならなくてもいい、ってこと?」
「簡単に言えば、そうなるな」
「やりたいこと、やっちゃっていいってことですか!?」
「もちろん。リンネちゃんのやりたいことを応援する、だってお母さんだもの♪」
「決めるのはリンネ、お前自身だ」
風が吹く。新たな、優しい風が。
「あの、だったら私、やりたいことがあって……!」
新たな物語が、またここから始まるー!
(つづく!!)
3章は主に、四天王の百合を叶えるのと同時に、
リンネの才能がテーマで、
全員の話に何かしら関わっております。
ということで、リンネのしてきたことを
振り返ってみましょう。
①舞踏会でユウナギのために、婚約者対決の火種を撒く
②サヨの相談にのる
③アミの心理を推理する
④強力なライバル出現に、マヒルを焚き付ける
……ただのヤバい人ですね笑
でも初期からしたら、かなり変わってます。
そう思うとリンネの存在は、
なくてはならない存在ってきづく……はず笑
次回、なんと! なんと本編最終話です!!
よろしくお願いします!!




