#40.うちの四天王が尊すぎて辛い!
やほ! リンネです!
サヨにお礼をするため、マヒルとともに
あぶなぁぁいところに行った私たち。
なんやかんやあって、無事花をみつけ、
マヒルとサヨもゴールイン!!
ついに四天王、コンプリート!!!
その先に待ち受ける、私の運命とはいかに!!
青く澄んだ空が、綺麗に広がる。
街を歩く楽しそうな人々の声が、ここまで聞こえてくるようで、思わず頬がニヤけてしまう。
「平和だなぁ」
ご機嫌よう諸君。我が名はリンネ。
かつては人間として暮らしていた、別世界の者である。
美少女好き、百合好き。癖ありまくりな四天王を知るため、かたや隠された百合を探すため。赤ん坊ながら奮闘していた。
が、それももはや懐かしいレベルである。
転生してかれこれ数年。今となっては状況がガラリと変わっている。
何が変わったかって? ふふふ、仕方ない。一つずつ紹介してあげようじゃないか。
この私、リンネが頑張った証をな!!
「ユ、ウ、ナ、ギぃ? お手紙届いてたよ〜宛先はもちろん! 愛しの愛しのユサさんから❤︎」
「……あー今手放せないから、そこに置いててくれ」
「今日はいけなくてすまない。たった少しの時間でも、君に会えないのは寂しいよ……だが、離れている時ほど愛は深くなると言う。僕は君を、たまらなく愛しているよ。ナギ……だってさあー!」
「こ、声に出して読むな!! はずかしいだろーが!!」
一つ! ユウナギとユサさんが、いてもいなくてもイチャイチャすること!!
家に来ることも多いけど、どーーしても来れない時はこうして手紙をやりとりしているらしい。
相変わらずの中身に、受け取るのすら躊躇ってるみたいだけど。
だが、私は知っている。ユウナギの部屋に、手紙がぜーんぶ保管されてるのをな!!
「以上が、必要な素材です。すべて山や谷でとれるとは思いますが……また妙なものに目をつけましたね。らしいといえばらしいですが」
『まあそういいなさんな。錬金術はこれこみで楽しいんだよん。それにしても、まさかちみが錬金術を手伝いたいっていうとはにゃぁ。本当にいいのかい?』
「構いません。アミの役に立てることが、私の喜びなので」
二つ!! アミさんとアサカがいい感じぃになったこと!!
アミさんが出不精のせいか、二人は通信で毎日のように話してるんだよね!
アサカなんて、家にいない時はほとんどアミさんのとこに行ってるっぽいし!
こうしてみると、アサカって溺愛タイプなんだなぁ、意外や意外。
「はぁ!? これ超遠いとこじゃない! こんなとこいけるわけないでしょ!? その辺の店にいけば売ってるじゃない!」
「価値がわからない人ね。財宝系は、自分で取りに行くのが常識。その方が手に入れがいがあるでしょ? 嫌なら来なくていいわよ」
「べ、別に嫌ってわけじゃないわよ! こんな危ないところにあんた一人を行かせるわけにはいかないわ! 仕方ないから、あたしが守ってやるわよ」
「随分と威勢がいいのね。まあ、一緒に行きたかったから、いいけど」
そして三つ!! あのマヒルとサヨが両思いになったこと!!
相変わらず口喧嘩しているけど、昔と比べて雰囲気や会話は優しくなった気がする。
二人とも好意を口にはしないけど、まず距離が近い! 近すぎる!!
右を見ても百合、左を見ても百合。
いやぁ、これぞまさに望んだ百合ライフってもんよ!!
「……リン、さっきから気になってたけど。その顔やめた方がいいわよ。気持ち悪いわ」
サヨが呆れたようにつぶやく。
それでも私は、緩んだ口元が戻ることはなかった。
「だってさぁ? みんながこれでもかってほどイチャコラしてくれるんだよぉ? 嬉しいに決まっとるやん! これも私が頑張ったおかげ!! お母さん達が聞いたら、よろこ……」
自分で言いかけて、ん? と思う。
あれ? 私のお母さんって、誰だったっけ??
おかしいなぁぁ、なーーーんか大事なこと忘れて……
「あーーーーー!」
「ちょっ、何!? いきなり大きな声出して!」
「そうだよ! 私のお母さん、魔王じゃん! すっかり忘れてた!!」
そう、私はリンネ!! 魔王の娘!
今日まで、日々百合をみるため、四天王を幸せにするために走り続けてきた。
あまりに必死すぎて、みんなに手がかかりすぎて、すっっかり頭からすっぽ抜けていた。
転生当時はすんごく嬉しかったのに、こうも見事に自分の肩書きを忘れるとは……自分の好奇心が恐ろしい……
「忘れてたって……お嬢、さすがにそれはどうかと……」
「だ、だってさ! 最近一人前講座もなかったじゃん! それだけ私、みんなのことを幸せにしようって必死だったんだよ!?」
「人のせいにすんじゃないわよ! そもそもあたし、あんたに叶えて欲しい、なんて頼んだ覚えはないわ!!」
「隙あらば他人の色恋沙汰に首を突っ込み、問題ごとを引き起こしてましたね」
「中身が別人とはいえ、魔王の娘として自覚が足りてないんじゃない?」
ぐぬぬ……おのれ、人の努力を好き勝手に……
だが、こういわれるのもわかる。実際私は、今の今まで忘れていた。
魔王の娘、その肩書き通りなら私はいずれ魔王にならなきゃいけないはず。
でも……うーーーん……
「仮にさ、私が魔王になったとして……みんなは、どんな魔王だと思う?」
咄嗟の質問に、みんなが怪訝に顔を顰める。
自分が魔王になる姿を想像しろ、なんていわれてもまったくピンとこない。
だから、この世界に長く住んでいる四人なら、「私の魔王像」を教えてくれると思ったんだけど……
「お嬢様が魔王に、ですか……考えたこともないですね。というより、似合わないと思います」
……ん?
「あんたが魔王になるなんて、あたしだったらぜっっっったい嫌ね。適当なこというだけいって、やらない絵が目に浮かぶもの」
ん? ん?
「それどころか、国が滅んじゃうかもしれないわね。いまのうちに逃げる準備でもしておこうかしら」
んんんん?
「ちょいちょいお三方? その言い方はあんまりじゃないですかねぇ? 私のこと何だと思ってる?」
「そうですね……恋愛事に貪欲すぎる悪魔、でしょうか」
「ガキの仮面被ったくそ生意気なばばあ」
「……変態?」
かぁぁぁ!! 何だこの3人は!!
自分で合わないとか思うならまだしも、他人に言われるのはなんか、なんか癪に触るねん!
「別に魔王ってのは魔族で一番偉いってだけだし、そんなに難しく考えなくてもいいと思うけど」
「ぐすん……ユウナギぃぃ」
「まあでも、三人の言ってることもわかるかな。お嬢が魔王って姿、あんまり想像できないし……」
あれぇ? おかしいなぁ、リンネちゃんに味方はおらんの???
まあね、わかるよ? 言いたいことは。
だって私、百合を見たいがために四天王を幸せにしようって思ってたほどやし。
魔法が使えるってだけで、秀でた才能もないしなぁ……
「……あ、そういえばお嬢様。魔王様から伝言です、お昼に城にきて欲しい、と」
なんてタイミングが悪い話だろう、と思う。
こんな状態で、会っていい相手ではない気がする。
魔王の娘という肩書きを忘れていただけでなく、四天王総出で向いてないと言われたのだ。
こりゃ、どうしたものなぁ。
「この機会に、お嬢が思ってること全部話してみたらどうだ? マスターならきっと、わかってくれるよ」
優しげな言葉が、心に染みる。
不安を抱えながら、私はゆっくり頷いてみせたのだった。
(つづく!!)
その肩書きを持っておいて、それはないやろ、
なんて言われそうな展開ですが、
リンネは1に恋愛、2に百合なので
薄くなるのも無理はないんです。
実はこのために、第3章からは
魔王の娘という肩書きに、一切触れていません。
常に百合に全力全身、それがリンネなので。
今の今まで、全力で四天王の百合への道をお届けして、
コンプリートまでにかなり時間がかかったに対し、
終わるのはあっという間というこの差……
ですが、まだ終わりません。
本編が終わってからも実は少しだけ続くので
ぜひ、ご期待ください。
その前にまずは、リンネです。
彼女が選ぶ道をどうか見守ってください。




