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#36.その人形はaiで涙する。

へい、リンネです!!

好きを知りたいというアサカのため、

開催されているバザールへ来た、私たち。


いろぉんな店を見て回る中、アミさんの姿を発見!


……したのも束の間、なんとそこには、

見慣れない女の子がいて……?!

こ、これって修羅場では!!?

紫色の髪が、ぴょこぴょこ動く。

人が呼べば軽い身のこなしでとたとた駆けていっては、屈託ない笑顔で返す。

言われたことをこなしていく姿は、まるでどこかの誰かに重なってみえて……


「えーっと、戦闘系はこれかな? 欲しいものがあったらなんでもいってくれよん」


「わー、ありがと〜……じゃなくて!! その人はどちら様で!!?」


並んでゆく品々を目に、私は思わず突っ込んでしまう。

ご機嫌よう、諸君。リンネです。

現在私は、アミさんが出店してると聞きつけ、アサカと共にバザールにきている。


その道中お母さん達と会ったわけだが、アサカがあの二人に捕まったおかげで、まだきづいていないのは不幸中の幸いというほかない。

なぜなら気にしていた彼女のそばに、見知らぬ女がいるのだから!


「お、あの子がほしいのはお目が高いねん。研究のために買った子だよん。アサカと同じ、命を宿した人形さ」


「同じだァァ? そいつは聞き捨てならねぇ話だなぁ!! 詳しく聞かせてもらおうか!?」


「こらこら、そんな大声で叫びなさんな。なんかちみ、前と雰囲気かわってないか?」


「そんなことはどうだっていいんじゃい!!」


「騒がしいですよお嬢様。道端で大声を出すのは……」


私が大声をあげたせいなのか否か。

意外と早い段階で、アサカが彼女の存在に気づかれてしまう。

それだけならまだよかったのに、彼女の視線はもう一人の人形の方にむいていてー


「おや、アサカ君も一緒だったのか。よかったら、みていくかい?」


「……アミ。そちらにいる方はどちら様、ですか」


「あ、お客様デスね! ジブン、ご主人様のつかい人形デス! お探しのものがおありでしたら、なんでも……」


「聞きたいことはそんなことではありません!」


その言葉に、ドウルさんははて? と首を傾げる。

即答する彼女は、どこか怒っているようにもみえて……


「出店する時は売上一位を目指すほど意気込むくせに、こんな人形で凌ごうとするとは。らしくないですね。私なら、今よりもっと利益のある売り方ができるというのに」


あ、あかん……これ、完全に雲行きが怪しくない?

どーーみても、禍々しい空気を漂っている気がするし……

個人的に一人の女の子を奪い合う構図の修羅場は大歓迎なんだけど、こういうギスギスしたのはさすがに求めてないねん!


「そもそも、ぬいぐるみに命を宿す研究は、私で成功したはず……その私を捨て、今度は違うぬいぐるみで同じ研究を繰り返すのはなぜですか? これも、永遠の命のためだと?」


「……ちみとおいらはもう赤の他人だ。ちみに教える義理は、ないと思うけど?」


歯に衣着せぬとは、まさにこのことだろうか。

睨みあう二人からは、今にでもけんかが始まりそうな雰囲気だ。

でも、なんだろう。このもやっとする感じ。

そういえば、最初にアミさんの家を訪れた時も、その話してたっけ。

永遠の命かぁ……永遠の命ねぇ……


「あのぉ、お取り込み中ひっじょーーに申し訳ないんですがぁ……その永遠の命ってなんなん?」


「……その名の通りですよ。普段使っている物や、ロボットなど、命が無いものを完全に人間として生きられるようにする、希少な錬金術です。書籍でしかみたことないので、本当にあるのかも疑問ですが」


はーはー、成程成程……ってことは、あれがこうで、これがああで……

やはりそうか……謎は全て、解けた!!


「アサカ、分かった!! 私、分かっちゃったよ!」


「何が分かったんですか。今、それどころでは……」


「アミさんは、アサカのこと嫌いなんかじゃない! 生きて欲しいんだよ! アサカに! 永遠の命は、アサカのために研究してるんだ!!」


私がいうと、彼女は面を食らったような顔をする。

ずっと疑問だった、わざわざ人間にしたアミさんが、なぜアサカを手放したのか。

永遠の命。名前だけじゃ、まだ曖昧だったけど、その意味を知ってやっっとわかった!!


「その研究に気づかれたくなくて、アサカを遠ざけた! ねえ!? そうなんでしょ!? アミさん!」


まるで名探偵のように、彼女を捲し立てる。

すると彼女は、ため息まじりに頭を掻きながら


「……あーー、まさかこんな形でばれるとはにゃあ」


と笑ってみせた。

っしゃーーーー! ほらみろ!! やればできるじゃん、私!!

てことはぁ……この人、めんどくさ……じゃなくて、やり方不器用すぎない!!?


「……ほんとは、すぐに引き取るつもりだったんだよ。出来上がるまでの一定期間だけ。でも、甘かったねん〜本しかない眉唾物なんて、簡単にできるわけないのに」


「そんな……そんな、ことって……」


「とはいえ、おいらがちみを捨てた事実は変わらない。ちみは、これからもディアっちのもとで……」


「アミのバカ!!!!!」


アミさんが何かを言おうとした瞬間、彼女の怒声が飛ぶ。

その目にはたっぷりの涙が浮かんでいて、次から次にこぼれ落ちてきてー


「バカ! バカバカバカ!! どうしてあなたはいつもそうなのですか!? 私が……どんな思いで、どれだけさみしかったと思って……!」


「アサカ……? なんで、泣いて……」


「わかっています……あなたはそういう人だって……ずっとあなたを見てたのに、気付けなかった……それだけ、悲しかったんです! それだけあなたと、離れたく、なかったんです……!」


まるで子供のように泣きじゃくるアサカは、涙を必死に拭おうとする。

初めて、みた。アサカがこんなに感情をむき出しにするところ。

それをアミさんは責めることも、慰めることもしない。

きっと、受け止めてるんだ。自分がやったことに。

ひとしきり泣き終わると、彼女ははぁっとため息をつくと……


「人間は不思議ですね。怒っても嬉しくても、涙が出るなんて……でも、今のではっきり分かりました。やっぱりあなたには、私がついていないとダメみたいですね」


……ん??? こ、この空気は……


「好きです、アミ」


はわ!!? 


「ぬいぐるみとしてではなく、私を人間として、一生そばにおいてください」


はわわわわわわ!?


「言っておきますが、誰かにいわれた命令ではありません。これが、私がぬいぐるみとしてではなく、一人の人間として抱いた、私のやりたいことです」


や、やだ……誰このイケメン……

まさかまさか、アサカから告白を聞ける日が来るなんて……

私が一人で興奮してるのをよそに、アミさんはやれやれと呆れたようにため息をついて……


「あーーなんでこーなるかにゃぁぁ。あんなに冷たく突き放したってのに……ちみはほんと、一筋縄じゃいかないねん」


「飼い主は持ち主に似る、と言いますから。いちいちやり方が回りくどい、あなたにだけは言われたくないですけど」


「言っておくけど、おいらの恋人になるのは大変だよん? 研究で昼夜逆転が日常だし、寝相は悪いし、大体の人に面倒臭がられるし」


自分の悪いところを、自嘲するように笑う。

まぁぁたこの人は、こんな時までめんどくさいことを……

なんて思っている私とは裏腹に、アサカは思い切りアミさんに抱きつく。


そんなアミさんに、アサカは思い切り抱きつく。

大好きな人に駆け寄る、一人の女の子のようにー


「わかっています。だからこそ、そばにいたいのですよ」


そう言うアサカの顔は嬉しそうで、綺麗で。

心の底から笑っていると思えるような、そんな笑顔だった。

こうして、一度切れたと思っていた二人の糸は、再びつながることとなったのです!!


(つづく!!!)

アミ登場時のタイトルだったり、後書きだったり、

本編でも散々とめんどくさい、と称しましたが

これが全ての真相です。納得いただけましたか?

相手が他のメンツだったら、

絶対殴られてそうだな、なんて思ってます笑


そんなアサカですが、こう見えて実は攻めっていう図、

めちゃくちゃよくないですか??

ただおとなしいだけのキャラと思ったら大間違い。

多分、四天王で一番やりおると思ってます笑


次回は火曜更新!

そんなアサカと、アミの過去です!

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