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不思議な老人  作者: ピーターフレミング
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不思議な老人

とある街に一人の老人が引っ越ししてきた。


早速、老人が街を散歩していると少し生意気そうな若者がぶつかって来た。


「あぶねーなジジイ、ぼーっと歩いてんじゃねーよ。」若者は老人に乱暴な言葉を浴びせかけてそのまま歩いて行ってしまった。


しかし、その老人は怒ることも怯えることもなく散歩をつづけた。



それから1週間くらい経った頃、その若者の飼っている犬が誰かに殺された。


その犬は若者が子供の頃から飼っていてとてもかわいがっている犬だった。


当然、その若者の怒りは尋常ではなかった。「俺の犬を殺した奴を見つけてぶっ殺してやる。」若者は周りの人間にそう言って回った。


翌日になると、今度はその若者の車のタイヤが切り裂かれていた。


若者の怒りは最高潮に達した。「同じ奴の仕業に違いない。絶対に許さねえ。」


その翌日、今度は若者の家のポストに犬のフンが入れられていた。


執拗な嫌がらせに気味の悪くなった若者の家族は警察に連絡した。しかし、この程度のいたずらでは警察は本腰を入れて捜査してくれなかった。


「くそっ、一体誰なんだ。」


若者の家の近くを満足そうに笑みを浮かべて散歩をしているあの老人の姿があった。



それから1週間後、公園であの老人が一人のチンピラに脅されていた。


「あれくらいの金じゃ割に合わねーよ。俺も警察にマークされているようだし、しばらく旅に出るから少しまとまった金をくれよ。」


老人はあの若者に罵られた腹いせに街のチンピラに金を渡して嫌がらせを頼んでいたのだ。


「分かった、明日まで待ってくれ。昼過ぎにわしの家まで取りに来てくれ。」


老人はその場を何とか切り抜けた。



次の日、チンピラは老人の家を訪ねてきた。


「すまん。金が用意できなかった。」


「なんだと、用意できなかったで済むか?」


チンピラは老人を殴り倒した。


老人は用意してあった拳銃を取り出し、チンピラに向けて構えた。


「何だそれは?貴様はじめからそのつもりだったんだろう。」そう言うとチンピラは老人の足元をめがけてタックルをした。


老人は簡単に倒されそのはずみで拳銃を落としてしまった。


チンピラは拳銃を手に取った。「これで形勢逆転だな。」


とその時、パトカーのサイレンが聞こえてきた。あっという間に老人の家は何台ものパトカーに囲まれてしまった。


「何だこれは?」


チンピラが拳銃を手に持ったまま、窓に近づくと、拳銃に驚いた警官の1人がチンピラを射殺してしまった。


警官は老人に状況を確認した。


「わしがTVを見ていたら拳銃を持ったあの男が突然侵入してきて金を出せというんだ。」


「なるほど、強盗ですね。この男に見覚えはありますか?」


「いえ、始めてみる顔です。しかし、通報もしていないのに、なぜ警察は駆けつけてくれたのですか?」老人は尋ねた。


「ええ、隣の家の方から「お隣に強盗が入ったようだ。」という通報がありまして。」


「そうでしたか、とにかくありがとうございました。」


しかし、犯人の拳銃を調べた警官は不思議に思った。拳銃には弾も入っていないし発射された形跡もないのだ。しかし、それ以上追求される事はなくこの事件は解決した。


後日、老人は隣の家を訪ねた。


「警察に通報してくれたのはあなたでしたか。おかげで命拾いしました。ありがとうございました。」


「ええ、13時にあなたの家でお茶をする約束でしたからね。驚きましたよ。あなたが拳銃を突きつけられているのが窓越しに見えたものですから。急いで通報したんですよ。良かったですよ、間に合って。」


そう、全ては老人の思惑通り。隣人が警察に通報することも、空の拳銃をチンピラに取り上げられることも全ては老人の計算通りだったのだ。



一体この老人は何者なのだ?


つづく

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