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プロローグ

キュインキュインキュイン!

テーッテレテーッテレテテテテーン!


脳にまで響くような轟音と脳裏に焼き付くような発光がどこからとなく聴こえてくる。この一文だけで分かるやつはわかるかもしれないが、ここは所謂パチンコ屋。


Uニコォォォォォォォォォン!!!


金の使い方を忘れた人たちがこぞって集まる、まぁ大人専用のゲームセンターというのが分かり易いだろうか。ここに来る者は皆揃ってガラス盤で覆われた多数の釘が撃ち込まれた液晶付きの遊戯機械と対面し着席する。目的は様々だが、金がなく一発増やそうと躍起になる者、日々の生活に疲れた者、唯々暇つぶしに来る者etcだがいろんな人が集まる場所だ。

勿論俺、玉出輝(タマデテル)もその中の一人だ。


SINフォギアァァァァァァァ!!!


着席した後はサンドと呼ばれる遊戯機で遊ぶためのメダルや玉を借りるための機械に紙幣を入れ、玉やメダルを借りたら準備完了。あとは貸出ボタンを押して玉が出てきたら、宝玉を持った竜の爪のような形をしたハンドルに手を添えゆっくりと手首捻る。玉が射出され盤面に打ち込まれた釘にカンカンとあたりながら下り、盤面少し下の中央にある入賞口に入ればこれで遊戯開始。


すーぱーらっきー♪


タンタンタンと子気味いい音を立てながら液晶上に三つの数字が並び、数秒でばらけ、そしてまた三つの数字が並ぶを繰り返すが一向に同じ数字が三つ揃わない。先ほどサンドに入れた1万円札が俺の最後のユキっちゃんなのだが、その命もあと一回の貸出ボタンで尽きてしまう所まで追い込まれてしまっている。


(だ、大丈夫・・・後ワンプッシュで当てる!そして60%通せばループ率は80%!数連もすれば今月食い繋ぐ分ぐらいは返ってくる!)


震える手を抑えつつ5と表示された貸出ボタンをグッと押し込む。じゃらじゃらと音を立て最後の125玉が排出され、捻ったハンドルによって次々と打ち出されていく。

十数発打ちだされたところでようやく一玉が始動入賞口に入る。・・・がしかしこれまた何事もなく消化してしまった。

段々と失われていく上皿の玉、焦りと共に少し強くハンドルを握ったそのときだった。


ズキュキュキューン!!!


「お”ぉ”ッ!?」


もうほとんど諦めかけていた時に突然来るこのエグイ音、思わず声が漏れてしまったのが恥ずかしくさっと手で口元抑える。


(保留は赤、前兆も赤、これじゃまだ足りない・・っ)


気持ちのいい音とともに入った保留は、この数時間の間で一番激しい動きを液晶で見せる。ガチャガチャと激しく役物が動き、最強リーチへと発展。


(行けるっ!タイトルは・・・普通だが保留は金!後はチャンスアップが一つでも入れば当てれる!!)


その後チャンスアップは一つもないまま当落演出まで行ってしまったが、もう後は当落ポタンがデフォルトじゃないことを祈るしかない。


ぽこんっ


(キタァぁぁぁぁ!!ボタンポップアップ!信頼度は90オーバー!貰ったぁぁぁ!!)


・・・・ぷすん。


えっ?あ、あー・・・そう、そういう感じぃ・・・

これが絶望、財布の中身はすっからかん。残りの玉の数からしても次の当たりを狙うのはほぼ不可能だろう。


あっ頭の中真っ白になりそう・・・・燃え尽きちゃう。そう思って再度ハンドルを握ろうとしたところで


きゅいん!


「お”」


復活だ、復活大当たりだ。当たったというのを確信したその瞬間だった、溜まりに溜まっていた脳汁が一気に解き放たれ・・・・俺の意識は暗転してしまった。





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