悪役令嬢になる前に手を打ちます。
「婚約を破棄してください」
「……え?」
私エリス・トゥカーナの発言に目の前にいる婚約者であるルイモンド・フォーイズ王太子が固まった。
「ど、どうしたんだ、急に……」
……この状況で言いますか。
私は内心呆れてしまった。
ここは貴族学院の中庭にある休憩所で現在休み時間、ルイモンド様はお仲間と一緒に優雅なお茶会をしている。
ただ、その中心にいるのは最近噂になっている男爵令嬢……。
婚約者がいるにも関わらず他の令嬢と仲良くしているのを見たらそりゃあ色々根も葉も無い話が出てくる。
「最近の殿下の行動は目に余る物があります。他の令嬢と仲良くしたいのであれば私は邪魔でしょう?」
「わ、私はただ困っていたミーナを助けてあげただけだ!」
「そ、そうです。私は田舎育ちなので殿下に色々教えてもらっていて決してやましい関係ではありません」
「今はそうですがいずれはどうなるかはわかりません。殿下は今学園内である噂がされている事をご存知ですか?」
「う、噂?」
「私との婚約を卒業記念パーティーで一方的に破棄してそちらのミーナ男爵令嬢を新たに婚約者にしようと画策している、という噂です」
「なっ!?」
「あくまで噂ですから殿下が本当にそのような事を考えているかはわかりません。ですが、このような噂が出てくるような事を殿下がしている、という事です。そして婚約者の私にも影響が出ているのです」
「影響?」
「私がミーナ男爵令嬢を虐めている、という噂です」
「そ、そうなのかっ!?」
「勿論、そんな事はしていません」
大体そんな暇はないしこうして直接会って話をするのは初めてだ。
「ただ、このまま進めば噂が真実になるかもしれません。手遅れになる前に手を打っておいた方が良いのです。私は既に両親に相談しています。殿下も国王様と是非お話してください」
そう言って私はその場を去った。
とりあえず、これで私がこの件には一切関係無い、とアピールは出来たはず。
私は『悪役令嬢』になるつもりは更々ないのだ。




