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第九話 戦闘準備

 翌日からも空と特訓の日々は続いた。空の上達ぶりには目を見張るものがあり十回に一回は負けてしまうようになった。


「やっぱりあなたすごいわ。たった数日でここまで上達するなんて」


私は空を褒めた。


「いやそんな淡々と言われると褒められてる感じがしねぇな」


空は笑いながら言った。


「これでもすごい褒めてるつもりよ」


私がそう言うと空は


「だったらもうちょっと表情豊かにしようぜ」


と指で口角を上げ笑顔を作った。


「こう?」


私がぎこちない笑顔を作ると空は


「いやいや、もっと自然に笑えてたじゃん」


と焦った顔をしていた。この時は空に負けたのが悔しくてわざとこういう態度をとっていた。


「じゃぁもう一戦やるか」


と空が言ったので私たちはそれぞれの配置に着いた。相手を見つけて素早く制圧する特訓だ。


お互いに距離を取ったところから始めて索敵能力と隠密行動を身に付ける。この特訓を始めてから私は負けるようになった。


今までは目を使わずに戦っていたが空に負けるのは悔しいので先に捕捉しようと目を使った。


すると南の方角に一塊の黒い集団を見つけた。


『あれは黒の月!』


「空!私はいますぐ村に戻る!空はここでじっとしていて」


私は空にそう指示をして村へ駆け出した。村へ戻ると私は村人を集めて


「ここから逃げて!今黒の月がこっちに来てる」


と言ってここから逃がそうとした。幸い紫黒はあの軍にはいなかった。けど敵の数が多すぎる。


私はこの村の人たちには死んでほしくなかったので必死に訴えた。


「紅花はみんなを逃がしてどうすんだよ」


後ろから空が私に追いついて息を切らしながら言った。


「私はあの軍を止める」


私が空を見ずに言うと


「じゃあ俺たちもやるしかねぇな」


と私の肩をポンと叩いた。


「空の言う通りです。私たちは戦います」


鏡花の父もそう言った。それに呼応するように村人たちが奮起した。私はその状況を見て焦り始めた。


「まって!相手は普通の軍隊じゃない。黒の月なの!それに私たちだと数が少なすぎる」


私は声を荒げた。


「紅花さん。我々はあの日、蒼月さんたちに救われてから、何もしていなかったわけではありません。このような日に備えて身を守るすべを教わり、鍛錬してきました。我々は断固として黒の月に対抗します」


彼が私を見る目は村人全員の強い決意がこもっていた。そんな目を見せられて私には彼らを止めることは出来ない。


「分かったわ……一緒に戦いましょう」


私は覚悟を決めて彼らと戦うことにした。作戦を入念に立てる時間は残されていない。がこの村の被害を最小限にするためにはどうすればいいか考えた。


「私は敵軍の中に入って陣形を乱すわ。あなたたちは遠距離から弓で私を援護して。私が合図したら全員で中に入ってきて。」


基本的な戦略は鳳仙花の時とは変わらない。


「あと……これと同じようなのはあるかしら」


私が指を指したものを見て鏡花の父は頷いた。


「じゃあそれを使って黒の月の殲滅を開始する」


私はそう言ってみんなを配置に着かせようとしたら空が口を開いた。


「みんな!一つだけ約束だ!」


配置に着こうとしたみんなが足を止めて空を見る。


「死ぬなよ」


空は笑顔でそう言った。みんなは


「「おお!」」


と声を上げた。空のその姿に私は蒼月を重ねた。

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