表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/14

第五話 再開

 辺りはだいぶ暗くなり周囲の様子を視ながら歩いていると村の方から人が歩いてきているのが視えた。


歩き方や周囲の警戒の仕方などを視ると玄人の動きだ。


人を警戒しているというよりか動物を警戒するような動き、おそらくこの子を探しに来た村の大人だろう。


私はその人物と鉢合わせするように歩いた。


「鏡花!」


村から来たであろう男はランプを持ちながらこちらに走り出した。


「お父さん!」


女の子は毛皮を放り投げて父親に駆け寄り抱き着いた。


「鏡花……良かった、ダメじゃないかこんな時間まで森の中にいるなんて。最近大きなイノシシがでて危険なんだぞ」


父親は女の子を抱きしめながら言った。


「お父さんお父さん!そのおっきなイノシシはあのお姉ちゃんがやっつけたんだよ!ほらあれイノシシの毛皮」


女の子は放り投げた毛皮を指さして言った。


「え?」


父親は不思議そうな目で女の子の指がさす方を見る。必然的に私のことも目に入る。


「えっと……あなたが?」


 父親は信じられないという顔をしながらこっちを見つめる。


「えぇ」


 私は短く返事をする。それと同時に父親は警戒心をあらわにしている様子もある。当然だ。


自分の子どもが森で見知らぬ誰かと歩いている。


それだけでも怪しいのに巨大な獣を仕留められるようなやつは、まともな人間ではない。


「お姉ちゃん早くこっち来て。私のお家でお肉一緒に食べよう」


 女の子は私たちの様子を気にもせず無邪気に笑って言った。その様子を見た父親は私への警戒心を解いて


「どこの誰だか存じませんが娘がこれだけなついているので悪い人ではないでしょう。もし急ぎでなければ家へ来ていただけませんか?」


と言った。私は黒の月を止めるという使命がある。


だが今の状況ではどうすることもできない。行く当てのない私は彼らの好意に甘えることにした。


「ありがとう、行かせてもらおうかしら」


 彼女が放り投げた毛皮を拾って私は彼らのもとへ歩み寄った。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ