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第三話 迷い子

「はぁ……はぁ……」


 もう何時間走ったか分からない。やつが追いかけてきているのは視えない。私は一息つこうと座り込んだ。


服はボロボロになり息は荒くなっていた。


「紅月……私はこれからどうすればいいの?私の隊はみんな死んだ。別の隊との連絡手段もない。一人で黒の月と……紫黒と戦うことは出来ない。分からない……分からないよ……」


私は膝を抱え下を向く。


ガサッ


私は音のする方を見る。


「えっと……お姉ちゃんけがしてる?だいじょうぶ?」


小さな女の子が私に話しかけてきた。私は顔をあげて


「けがはしてないわ。あなたこそこんなところで何をしてるの?」


 私が声を出すと少しおびえたように木の後ろに隠れて、こちらの様子をうかがう。


「なにもしないわ……こっちにおいで」


私が微笑みながら話しかけると、おそるおそる木の後ろから出てきてくれた。


「えっとね、山菜を取りに来たけど迷っちゃってそしたらお姉ちゃんを見つけたの。けがしてるように見えたから心配になって……」


女の子は少しうつむきながら話した。


「そう……心配してくれてありがとう。あなたの住んでいるところはここをまっすぐ行ったところにあるはずよ」


私は北の方を指さした。近くに視えた村はそこしかない。


まだ幼い少女が歩いて来れる距離は限られている。だからその村だろうと私は思った。


女の子の表情は明るくなった。


だが、すぐにまた下を向いた。


「どうしたの?」


私は女の子に問いかけると


「あのね、一人じゃ怖いの。お姉ちゃん一緒に来てくれる?」


女の子はもじもじしながら私に言った。


私は行く当てもなくさまよっていた。


この子一人ぐらい送っていくのは、なんてことは無かった。


「わかった。私も一緒に行ってあげる」


女の子は顔を上げて笑顔になった。


「ありがとう、お姉ちゃん」


私と女の子は森の中を抜け出すため歩き出した。

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