ARVRL32
マインチューブからの祝辞や、その他の儀式も終わって式も終わりを迎えようとしている。すると突然、
「続いて、景品授与。」
えっ。驚いた。ARVRLは何もいらないと言っていたからだ。ARVRLも少し驚いた様子だ。
アズ「申し訳ありません。景品はお断りさせていただくと公言いたしましたので…。」
だが主催者側は引き下がることもなくこう言った。
「では、何かお望みはございますか?」
こう言っているのは主催者側でもかなり地位の高い人だろう。大統領やロイヤルファミリーもいるこの場で望みを言えば何でも叶えてくれそうだ。まあそれよりもARVRLのまだ見ぬ発明の方が凄いとも思えるが…
するとアズとリーシャが何か話し始めた。少し心が揺らいだのか?そしてアズが口を開いた。
アズ「では、ひとつ望みを言っても構いませんか?」
会場にいる人達が一気に動いた。それもそのはずだ、これはものによればビッグチャンス。自分の国でなんとしてでもそれを叶えれば、それ以上の利益が出るはず、と。だがリーシャが真剣かつ笑顔で放った言葉は想像を絶した。
リーシャ「世界中枢で囚われている能力者の解放を請求いたします。」
ーえ、今なんて…?能力者…?!主催者側も困惑している。が、
主催者「能力者とは、一体なんのことでしょうか。」
アズ「魔法使いのようなものです。あなた方がそう呼んでいるのでそれで伝わるかと思ったのですが…。」
会場が凍りつく。その反応から察するにつまり事実ということか。世界でそんな秘密を隠していたなんて信じられないが…。主催者側が話し合っていたがどうやら意見がまとまったようだ。
「能力者を放った場合、世界が揺らぐ可能性が極めて高いです。印などをつけての解放となりますがそれでもよろしいでしょうか?」
アズ「印?」
主催者「はい。」
アズ「必要ありませんよ。能力者を危険視する必要もありません。私たちが止めますから。」
リーシャ「ええ。私たちARVRLが地球に住む能力者を止められないはずがありませんので心配はいりません。」
ARVRLの2人は強気で立ち向かっていく。ARVRLも能力者なのか?それよりももっと強い存在なのか…?
主催者「ですが、能力者を測る手立てが尽きてしまいますので…」
そう言われると2人は話し合ってこう言った。
アズ「仕方ありません。では世界全員に一律として印をつけることにしましょう。もちろん、能力者が分かるようにも考慮いたします。」
主催者側は不安そうに見つめる。それほど能力者というものは強大な力を持つのかもしれない。
主催者「ええ。わかりました。ではまた後日発表いたします。」
アズ「いえ。この件はARVRLに一任していただけますか?」
もちろんだろう。何度もARVRLと会ってしまっては不公平だ。
主催者「はい。ではそのようにお願い致します。」
こうしてノーベル平和賞の授賞式は幕を閉じた。主催者側はきっと自分たちが抱えている能力者とよく似たもっと強力なARVRLを自分たちの監視下に置きたかったようだが、逆に境地に立たされることになった。印…世界全員ということは自分にもつくということ。一体どんなものなのか…色々ありすぎて全く想像できない。




