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5話 最強と味方殺し

PUBG Continental Series(PCS)が開催されて日本のチームも2チーム出場してたんですが、アジアや世界で最下位争いしてた日本が2回連続のアジア大会で別チームがあわや優勝できるのでは? などと思わせるような活躍ぶり。

結果は8位や、10位で終わりましたが、とても面白かったです。

「ちょっと間違って撃っちゃっただけじゃん! いきなり殺さないでよ、この人でなし!」


 山と海に囲われた場所にて、ひとみの声が駆け巡る。

 オーディンに頭を撃ち抜かれ、その姿は半透明となっていた。

 その半透明の姿でも、動きながら喋ることが出来ていた。


「このように、この銃は頭を撃てば一発で倒すことが出来る。防具が有る状態だと、頭以外は2発必要だな」


「ちょっと、だからと言っても実際に撃つ必要ないじゃん! 謝ったのに! 結構衝撃もあるんだよ!」


「だが、安全装置があるから痛くないだろう?」


 そして、容赦なく半透明となったひとみのに2発目を撃つ。

 胴体に風穴が空いたひとみの身体は砕け散った。

 まるで防具が無いから一発で倒せるというお手本のように。


『痛くなくっても怖いんだけど』


 姿は存在しない。

 しかし、オーディンは未だにひとみの声を聞くことが出来た。


「半透明の状態はダウン状態だ。味方が【蘇生薬】ってアイテムを使うことで生き返ることが出来る状態だ。だが、攻撃することが出来ずに移動速度も遅くなる。この状態で更に一定ダメージを受けるか、時間経過すると味方と視点を共有できるようになる。身長や体形は全員同じだからそんな違和感は無いかもしれんがな」


 そう言われてひとみは自分の視点がさっきまでの視点と違うことに気付く。

 目の前からオーディンが消え、視界の端に見えた手は自分の手より角ばっていた。


「更に言えばこのゲームはFF(フレンドリーファイア)。つまりは味方に対して攻撃が当たるようになっている。さっきのように誤射して味方に当たった場合大変だから今度から気をつけろよ。戦闘になりそうな時以外は引き金から指を離すんだ」


『はい……』


「まぁ、実際俺様は大して怒ってない。お前を倒したのは最初に俺様の視点を見て欲しかったからだ」


 オーディンはそう言うと、地面に向かって手を伸ばした。

 そこにはスマートタブレットのようなものが存在した。


「プレイヤーがキルされると、その場所にそいつが持ってたアイテムが落ちる。武器も同様にな」


 オーディンがタブレットを拾い上げるとそこには【バレットM82A1】【ワルサーP99】【12.7×99㎜弾 4発】【9x19mm 16発】と書いてある。


「ただし、武器が落ちるって言っても二つ武器が持てるわけでは無い。持ってる武器と入れ替わるだけだ。そしてーー」


 タブレットを持ったまま移動する。

 しかし、直ぐにタブレットだけが見えない壁にぶつかった。


「タブレットは周囲1mぐらいまでしか動かせない。だから懐に入れといて後で貰うなんてことは不可能だ。持てるアイテムの量は自分の空き容量分だけだな」


 そしてオーディンは【12.7×99㎜弾 4発】と書かれた場所をタッチする。

 すると、その文字は灰色となりもう押すことが出来なくなっていた。


「装着してるマガジン内に弾が残っていた時にリロードした場合、マガジンの弾は自動的に自分の鞄の中に転送される」


 既に2発撃った【バレットM82A1】のマガジンを外すと、地面に落とす。

 地面に落ちたマガジンは砕けるように消えて行った。


「そして、全員が装着されてる腰のポーチ。そこに手を突っ込みながら欲しいものを念じれば、既に持ってる物なら握ってる状態で取り出せる。今回は替えのマガジンだな」


 黒いポーチに手を突っ込めばそこには先ほど捨てたのと同じ、しかし弾が最大まで入っているマガジンが握られていた。

 そしてオーディンは素早く【バレットM82A1】に装着する。


 その後に再びポーチに手を突っ込み、何かを取り出す。

 先ほどひとみが死んでいた場所に有った、ポーチ以上の大きさのタブレットが出てきた。


「生きてるやつもこのタブレットを持つことが出来る。ここにはマップ、アイテムリスト、ウェブなどのタブがあるんだが、さて配信の視聴者達のコメント見てみようかな? さぞかし俺様を面白おかしく叩いているのだろう」


―――――――――――――――――――

ジャック 草

BlackO lol

ヨシナ やべ、バレた

RWhite てへ

権東 ひとみちゃん、大丈夫でござるか

ざっぎょ ばれた

やーちゃん 草

†Zer0† さすがオーディン

ZE空 バレたか

―――――――――――――――――――


 ウェブと書かれた欄を押せば自分の後ろ姿が映る映像と、このようなコメント欄を見ることが出来た。

 次にアイテムリストを押せばそこには【12.7×99㎜弾 2発】とある。

 マガジン内の弾や武器などは表示しないようになっているようだ。

 最後にマップを押せば、そこには場所の名称付きの地図が存在していた。

 最初に見せたマップと違う点としては歪な三日月型の島を囲うように白い円とそこに近づくように外側を緑で塗りつぶされた円が迫ってくるところだろう。


「この緑の部分は毒ガスだ。この範囲に入れば毒ダメージを受け続ける事になる。更にこの範囲が大きくなるほどにその濃度は増して大きなダメージを受けるようになるんだ。まぁ、戦闘が起こらないで膠着状態になるのを防止するためだな」


 オーディンは海の方を向く。

 まだまだ遠くだが、徐々に迫ってくる緑色の壁が存在していた。


「アレが白い線まで到達すれば、残ってる安全地帯より小さい形でランダムに次の白い線がが出てくる。そうしてまた毒ガスによって範囲が狭まり、決着が付くまで繰り返すわけだ。さて、時間も惜しいからな」


『本当に怒ってたわけじゃないんだよね? 良かったー』


「さて、どうだかな?」


 そう返すオーディンの顔は柔らかった。




 そこからの動きは速かった。

 近くにある家に入り、落ちてる弾や道具を触っていく。

 触ったアイテムは消え、アイテムリスト内に追加されていった。


 この時漁った家は爆撃を受けたような半壊した家や銃痕などがあり争った形跡がある家などだ。

 そうした家の中には間取りから家具、銃痕の場所まで同じものが存在した。


「建物は何パターンか有って、その形を覚えればどうやって見るべきか分かる。例えばこの家だと窓からのぞいた時に大部屋は全て見れるが、そこに隣接してる廊下は見えない。敵が潜んでるとして一番最初に当たるのがそこだから其処に銃口を向けたまま扉に入るんだ」


 オーディンは説明してるどおりに【バレットM82A1】を直ぐ撃てるように入っていく。


「まぁ、最初に周りにパラシュートが見えなかったから敵がいない事は分かっていたがな。ただ、敵が居るかが分からなかったり居たりするのが分かってる場合は居るかもしれないところに向かって撃てる準備を整えたまま動くんだ」


 説明しつつ彼は次々と物資(アイテム)を拾っていく。

 ヘルメットを触れば頭に装着した状態になり、鞄に触れれば背中に背負って持てるアイテムの合計量が増える。

 照準器(スコープ)に触れれば銃に直接付き、拡張マガジンに触れれば【バレットM82A1】の装填可能数が5発から10発に増えた。

 他にも薬剤や包帯、丸い物体。グレネードや円筒状のスモークグレネードなどを拾っていく。


「予め何が必要か、何をどれだけ持つか決めておけ。そうすれば物資を漁る速度が早くなる。早くなれば多くの物資が手に入る。多くの物資が手に入れば戦闘が有利になる。戦闘が有利になれば自分と互角か、実力が高い相手に勝てるようになる。得だらけだな」


『でも、持てる量が同じなら結局互角にならない?』


「それならば有利な場所が手に入る。そうだな、次は有利な場所を説明するか。山に行くぞ」


 オーディンはそう宣言すると、目の前にある山に向ける。

 地図で見れば、そこには高さの異なる4つの山が四角を作るように存在していた。

 彼が見ているのはマップでは左下に存在する、現在の位置から最も近い山であった。


「おそらくここからお楽しみの戦闘タイムだ」


 その様に宣言するオーディンの顔には獰猛な笑みが浮かんでいた。

Tips

【フレンドリーファイア】

味方を攻撃する事。

ゲームによっては味方を撃ってもダメージを与えられないゲームもあり、それはFF無しなどと言われている。

Alles Battle Royale Onlineでは敵にダメージ与えられるすべての行動が、敵と同様に味方にもダメージを与えられるようになっている


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